著者
冨田 祐輝 松屋 合歓 成田 智子 斎藤 良彦 西野 一三 福留 隆泰
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001547, (Released:2021-05-20)
参考文献数
12
被引用文献数
1

一家系に3人のPOMT2遺伝子変異による常染色体性劣性遺伝の肢帯型筋ジストロフィータイプ14(limb girdle muscular dystrophy 14,以下LGMDR14と略記)の患者を経験した.症例1と症例2はPOMT2遺伝子にc.1568A>Cのホモ接合性変異,症例3は同遺伝子にc.1568A>Cとc.869C>Tのヘテロ接合性変異を有していた.c.1568A>Cは病因として新規の遺伝子変異だった.全例で進行性の歩行障害を認め知的障害を合併しており筋萎縮は大腿屈筋群に強いなど,既報告と類似していた.網膜色素変性症や近視などの眼症状は既報告では少なかったが,LGMDR14を示唆する所見と考えられた.
著者
田中 克枝 神薗 洋子 氏田 直子 成田 智
出版者
弘前医療福祉大学紀要編集委員会
雑誌
弘前医療福祉大学紀要 (ISSN:21850550)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.41-48, 2013-03-29

先天性聾児や難聴児に2000年以降、人工内耳装用が目覚ましい。本研究の目的は人工内耳を装用している子どもの養育者の思い、特に子どもの聴覚障害の告知後の受け止め、治療・訓練、日常的な育児に関しての思いとその時のサポート状況を明らかにすることである。研究方法は研究趣旨の了承の得られた5 名に半構成的インタビューの面接を行った。結果として、【障害が診断された時の不安、ショック】、【初期対応の仕方に対する不満と納得】【初期の母親の心理的支援の不足】【交流の場がない】【心の支えになった教育相談】子どもの発達時期における【幼児期の関わりの難しさ】【小学校選択の葛藤】【自立への援助の葛藤】などが挙げられた。よりよい支援を考えるにあたり、初期対応は母親の思いをくみ取る丁寧な対応、障害が分かってから教育相談までをつなぐ「橋渡し」、障害への価値観差のより個別的なサポートが必要であると示唆された。
著者
吉田 益喜 成田 智彦 川田 暁
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.642-646, 2013-07-01

要約 外鼻下半分は,皮膚,支持組織の軟骨と裏打ちの粘膜とから構成され,複雑な形状をしている.その再建法には局所あるいは遠隔皮弁,遊離皮弁,composite graft(複合組織移植)などさまざまな方法があるが,今回,2001年4月~2010年6月に行った鼻再建の中で耳介部をドナーとしたcomposite graftを行った12症例を検討した.再建例の2/3は男性であり,原疾患は基底細胞癌が最多であり,部位は鼻翼が最多であった.移植片の長径は平均20.4cm,幅平均15.3mmであり,移植後は3例に部分壊死があり,他は全生着した.患者の満足度はほとんどの例が満足であった.耳介部をドナーとしたcomposite graftによる鼻再建は,外鼻下半分の形態に非常に適合し,手技が簡便で,有用な再建法と思われた.
著者
小山内 筆子 成田 智
出版者
弘前医療福祉大学内紀要編集委員会
雑誌
弘前医療福祉大学紀要 (ISSN:21850550)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.31-36, 2018-03-30

本研究の目的は青森県言語聴覚士会会員所属施設における吃音臨床実施の有無を把握し、吃音児・者とその家族に吃音臨床施設の情報を提供することである。青森県言語聴覚士会会員が所属する72施設を対象にアンケート調査を行い、吃音臨床実施施設の情報を青森県言語聴覚士会ホームページに掲載し、発信した。その結果、吃音臨床を実施している施設は有効回答を得た63施設中16施設(25.4%)にとどまり、地区別では青森地区において成人吃音を対象とする吃音臨床施設が不在であることが明らかとなった。また、青森県言語聴覚士会ホームページ掲載後、青森県言語聴覚士会事務局や会員所属施設への吃音に関する問い合わせが頻発したことから、吃音児・者とその家族が吃音臨床施設の情報を必要としていることが示唆された。 今後の課題として、現在、医療・福祉・教育分野へと繋がる受診率の高い乳幼児健康診査を担当する保健分野に所属する言語聴覚士はみられないことから、各自治体が担う保健分野と医療・福祉・教育分野における連携・支援体制作りが挙げられる。
著者
成田 智哉
出版者
利府町立菅谷台小学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

○研究目的2012年度に開発した簡易で持ち運び可能な鉢等を利用したバタフライガーデン学校キット(以下BGSK)」は, 勤務町内の全小学校及び県内の小中学校計16校で活用された。企図する時期に卵付き苗を配布可能にすることで, 実物を用いた児童の観察機会を更に多くしたり, ICTを活用して児童の精密な観察眼を育成する授業プログラムを開発したりすることが本研究の目的であった。○研究方法1 BGSKを活用してチョウの蛹を前年度に確保し, 次年度羽化させた成虫を飼育し, 効率的に産卵させる方法を検討した。実物の活用とICTの活用を融合させながら, 児童にチョウの生活環や形態・生態等をとらえさせ, 精密な観察眼を育成する授業プログラムを開発し, 実践を通してその有効性を検討した。○研究成果1 BGSKを活用して, 前年度の晩秋にモンシロチョウの蛹を確保した。翌春羽化した成虫を飼育し, 産卵させる方法を検討した結果, 狭小な網製の飼育容器内で, モンシロチョウが交尾し, 食草に多数産卵させることができた。このことにより卵付き苗の配付が可能になるとともに, BGSKの周年活用のサイクルが出来上がった。2 児童の自然への関心を高め, 精密な観察眼が育成されることを期待して, 教員を対象としたBGSKの植栽方法や活用法の伝達を目的とした研修会を開催した。このことにより, 多くの児童に卵や幼虫等の実物, 及び羽化の瞬間を観察させることができた。また, 生物や自然への関心を高めることができた。3 モンシロチョウでの産卵方法をオオムラサキにも適用し, 複数産卵させることに成功した。そこで得た幼虫を用い, タブレッド端末や画像の無線転送装置を活用しながら, 互いの観察結果を共有する授業プログラムを開発した。
著者
成田 智哉
出版者
利府町立菅谷台小学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

○研究の目的小学校5年生の理科において,顕微鏡による水中微小生物の観察結果から,間接的に魚の食べ物を推論するだけでなく,糞の分析や捕食行動等の観察から「食べている証拠」を実感をもってとらえさせる授業プログラムを開発することであった。○研究の方法観察する魚種および水中微小生物の培養法を検討しながら,児童に魚が微小生物を捕食する様子を再現性よく観察させたり,糞および消化管内の内容物を顕微鏡で観察させたりした。これらの授業記録や児童の観察記録を分析し,魚が水中微小生物を捕食していることを実感をもってとらえさせる授業プログラムの有効性を探った。○研究の成果1児童の実態調査の結果を基に,魚の食べ物が何かを考え,検証させる単元を構成し授業実践を行った。まず,魚の生息する水域や無給餌状態で飼育しているメダカの水槽内の水を顕微鏡で観察させた。多数の水中微小生物が存在することを確認させ,魚がそれらを食べて生きているという仮説を立てた。児童の考えを基に(1)ミジンコを食べる瞬間を見る(2)解剖して消化管内の水中微小生物の痕跡を探す(3)糞の中の水中微小生物の痕跡を探す等,検証方法を設定し,観察・実験を行わせた。2 1で得られた結果を顕微鏡の拡大画像やVTRの動画を活用し共有させた。授業記録から,児童が複数の結果を基に「魚が水中の小さな生物を食べて生きている」という考えをもったことが分かった。3上記1,2の実践および授業後の理解度調査の結果から,(1)糞や消化管の内容物の分析,捕食行動の観察結果を基に多面的に検討させることが,「魚が水中微小生物を補食している」ことをとらえさせる上で有効であること(2)捕食行動の観察にはメダカ,消化管内の内容物の観察にはゲンゴロウブナ,糞の分析にはメダカ,モツゴ,タモロコ等の魚種が有効であることが分かった。