著者
鈴木 俊明 米田 浩久 谷埜 予士次 高崎 恭輔 谷 万喜子 鬼形 周恵子 吉田 隆紀 文野 住文 浦上 さゆり 若山 育郎 吉田 宗平
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.126-127, 2012-04-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
4

本研究の目的は,パーキンソン病患者への運動イメージ効果を脊髄神経機能の興奮性の指標であるF波を用いて検討することである。Hoehn and Yahrの重症度分類II 4名,III 3名,IV 3名であるパーキンソン病患者10名(男性2名,女性8名),平均年齢63.9 ± 11.0歳の非利き手(左側)を対象として,以下の検査を実施した。被験者を背臥位とし,非利き手(左側)正中神経刺激のF波を非利き手(左側)母指球筋より導出した(安静試行)。ピンチメータのセンサーを軽く把持した状態(センサー把持試行)で,非利き手(左側)正中神経刺激によるF波を非利き手(左側)の母指球筋より導出した。次に,ピンチメータを用いて,左側母指と示指による対立運動の最大努力の50%のピンチ力で対立運動を練習させた。その後,センサーは軽く把持したまま50%収縮をイメージさせた状態(センサー把持運動イメージ試行)とセンサーを把持しないで運動イメージを実施した状態(センサー把持なし運動イメージ試行)で,非利き手(左側)の母指球筋より同様にF波を測定した。F波出現頻度,振幅F/M比は,安静試行と比較してセンサー把持試行,センサー把持運動イメージ試行,センサー把持なし運動イメージ試行で増加傾向であり,安静試行とセンサー把持運動イメージ試行の2群間では有意に増加した。立ち上がり潜時は各試行での差異は認めなかった。健常者での先行研究と同様に,パーキンソン病患者への等尺性収縮による対立運動を用いた運動イメージは同側の脊髄神経機能の興奮性を増加させるが,運動イメージの方法は実際の運動に近い方法で実施することが大切であることが示唆された。
著者
鈴木 俊明 文野 住文 鬼形 周恵子 谷 万喜子 米田 浩久
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.27-31, 2014 (Released:2014-12-27)
参考文献数
5

For the adequate management of abnormal muscle tonus, it is important to first determine the underlying etiologies. These include primary causes such as spasticity, rigidity, and flaccidity, and secondary causes such as muscle and skin shortening. This study discusses whether abnormal muscle tonus is directly caused by primary etiologies or by a combination of primary and secondary etiologies, and describes treatment strategies for both types. Specific approaches for the management of abnormal muscle tonus are as follows. For secondary impairments such as skin and muscle shortening, measures to directly stretch the muscles and skin are considered effective. For primary impairments, prolonged stretching, motor imagery, and measures to enhance voluntary movements are important approaches. Patients can be self-trained in these approaches, which can improve the muscle tonus by altering brain and muscle function.
著者
髙森 絵斗 水口 真希 早田 恵乃 渡邊 裕文 文野 住文 鈴木 俊明
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.939-943, 2015 (Released:2016-01-09)
参考文献数
9

〔目的〕脳血管障害片麻痺患者の麻痺側母指球筋の筋緊張抑制に対する手太陰肺経の尺沢への経穴刺激理学療法の効果を明らかにすることとした.〔対象〕本研究に同意を得られた脳血管障害片麻痺患者7名とした.〔方法〕尺沢への経穴刺激理学療法施行の前後に麻痺側母指球筋からF波を測定し,安静試行と他の試行との間で振幅F/M比,出現頻度,立ち上がり潜時をそれぞれ比較した.〔結果〕振幅F/M比は安静試行と比較して,経穴刺激理学療法試行中,終了直後,5分後,10分後,15分後に有意に低下した.出現頻度,立ち上がり潜時は,経穴刺激理学療法試行前後の変化を示さなかった.〔結語〕筋緊張抑制目的の経穴刺激理学療法では,脊髄神経機能の興奮性を抑制することが示唆される.
著者
鈴木 俊明 谷 万喜子 浦上 さゆり 文野 住文 鬼形 周恵子
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-6, 2012 (Released:2012-12-27)
参考文献数
3

We describe the following 3 important points in muscle tone evaluation. (1) It is important to examine the tension of the skin and other soft tissues as well. (2) The results of research into the rectus abdominis indicate that muscle tone in the central belly may not reflect the overall tone of that muscle. (3) Detailed evaluation of the function of all abdominal and back muscles should be performed.
著者
鈴木 俊明 鬼形 周恵子 文野 住文 谷 万喜子
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.13-19, 2011 (Released:2012-01-06)

We conducted evaluation and physical therapy for the affected arm function of a patient with cerebrovascular disease. In the evaluation of affected arm function, it is important to understand the relativity of the overall problem using observation not only of the movement of the affected arm but also of the whole body such as in walking. An effect of physical therapy on the problem of the affected arm may be found, but to maintain the effect of physical therapy we need an approach for the whole body together with the affected arm. ASPT (Acupoint Stimulated Physical Therapy) on Ba-geae was very effective for fine movement of the affected finger.
著者
鈴木 俊明 谷 万喜子 文野 住文
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.1-2, 2015 (Released:2016-01-06)
被引用文献数
1

The important points of motion analysis in basic movements are as follows. The movements of simple joints should not be observed alone, but together with the movements of several joints that participate in the basic movement. Next, basic movements should be expressed as anatomical and kinematic data. Furthermore, to clarify problems such as impairment disorders, whether characteristic movements are needed for performance of basic movements needs to be determined. If these goals are definitively accomplished, then the appropriate timing of physical therapy can be accurately determined. In this report, the importance of motor analysis in the field of physical therapy is reconfirmed.
著者
岩月 宏泰 由留木 裕子 文野 住文 中村 あゆみ
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2013, 2014

【はじめに】近年,本邦では医療や福祉の領域でも雇用就業形態や若者を中心とした職業観の変化が急速に進み,理学療法士を確保したい施設や企業のニーズとの間に解離が生じている。このため,理学療法士養成校では各方面との連携を深め,企業などの最新の情報や人材についてのニーズを把握する必要がある。また,在学中の学生に,将来従事する仕事や職場の状況を理解させ,自己の職業適性,職業生活設計について考える機会を与えることが不可欠である。例えば,理学療法士養成校や地域の実情に応じて,就業やボランティアの体験,卒業生との対話など多様な機会を与えることも前述の目的を達成する上で有用と考えられる。これまで理学療法学生が入学時から卒業までにどのような過程を経て就業意識を培うか,入職後の職業生活に対する適応力を高める教育方法に言及した報告は少ない。今回,理学療法学生の職業生活に対する意識について,質問紙調査の結果から学年別特徴を明らかにし,卒業後に社会的・職業的自立が可能となるような教育的方策について検討した。【説明と同意】本研究の対象者には,青森県立保健大学研究倫理委員会の指針に従って,予め調査の趣旨を説明し了承した上で実施した。また,調査票表紙には「調査票は無記名であり,統計的に処理されるため,皆様の回答が明らかにされることはありません」と明記され,集められた調査票は研究者が入力し,入力後はシュレッダーで裁断した。【方法】対象は青森県,北海道及び高知県に所在する理学療法学専攻の大学及び4年制専修学校に在籍する学生のうち,回答した569名(1年生146名,2年生143名,3年生143名及び4年生137名)であった。調査(留め置き法)時期は2011年6~9月と2013年6月の2回であり,調査票は基本属性,職業志向尺度(若林1983,12項目),成人キャリア成熟尺度(坂柳1999,9項目),職業決定尺度(研究者が作成,4項目)ほかで構成されていた。統計学検討はSPSS VER.16.0Jを使用し,各測定尺度の下位尺度別に集計を行い,学年別比較には多重比較検定(Tukey法)を実施した。なお,各々の下位尺度間でPearson相関係数を算出した。【結果と考察】職業志向尺度の下位尺度のうち,「労働条件」と「人間関係」では学年差を認めなかった。しかし,「職務挑戦」については1~3年生が12.5点台であったが,4年生で11.7±2.8点と下位3学年より有意な低値を示した。また,成人キャリア成熟尺度の「関心性」には学年差を認めなかったが,「自律性」と「計画性」で4年生が下位3学年より有意な低値を示した。なお,職業決定尺度では学年差を認めなかったが,4年生における成人キャリア成熟尺度の下位尺度との相関係数は「関心性」0.27,「自律性」0.22及び「計画性」0.45(p<0.05)であった。1~3年生では学年進行に伴い,自己のキャリアに対して積極的な関心を持ち,それに対する取り組み姿勢も自律的と考えられるので,職業観や職業意識を高める啓発活動の継続性が重要と考えられた。一方,成人キャリア成熟尺度の学年別比較では「自律性」と「計画性」について,4年生では下位学年より有意な低値を示し,職業志向尺度の「職務挑戦」でも同様の結果を認めたことから,彼らには職業生活設計に対する積極的な関心が見出されず,社会的・職業的自立するためのレディネスの確立が遅れていることが推察された。【理学療法学研究としての意義】本研究の結果,4年生が下位学年より「職務挑戦」やキャリア形成で重要な位置を占める「自律性」と「計画性」で消極的な態度を示した事から,長期休暇や入職前に理学療法職場でインターンシップを体験させるなどの機会を与えることで,主体的に選択する職業観や就業意識を育成する必要性が示唆された。