- 著者
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澤田 純明
奈良 貴史
中嶋 友文
斉藤 慶吏
百々 幸雄
平田 和明
- 出版者
- 一般社団法人 日本人類学会
- 雑誌
- Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
- 巻号頁・発行日
- vol.118, no.1, pp.23-36, 2010 (Released:2010-06-23)
- 参考文献数
- 52
- 被引用文献数
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骨の組織形態学的検討は,動物種の同定に有効な方法である。青森県朝日山(2)遺跡から平安時代の焼骨片が出土したが,小片のため肉眼形態観察では種の同定が困難であった。そこでヒトかそれ以外の動物なのか鑑別することを目的として,出土四肢骨骨幹部片4点を薄切し,骨組織形態の観察と計測的検討を行なった。比較資料として,ヒト・クマ・ウマ・イノシシ・ニホンジカ・カモシカ・ウシの四肢長骨を用いた。比較資料の骨組織形態計測の結果,ヒトのハバース管の面積(H.Ar)とオステオンの面積に対するハバース管の面積の比(H-On示数)は他の動物より有意に大きい傾向があり,人獣鑑別の指標として優れていた。朝日山(2)遺跡出土焼骨について,焼成による収縮の影響を考慮しながら検討した結果,出土骨試料4点のうち3点は人骨とみなしてさしつかえないと考えられた。残る1点はヒトあるいはウマの可能性があるが,どちらかといえばヒトに近いと考えられた。出土焼骨は火葬された人骨と推察され,平安時代の青森地方に火葬習俗が存在した可能性が示唆された。