著者
水野 知巳 丸山 拓也 日向野 純也
出版者
三重県水産研究所
雑誌
三重県水産研究所研究報告 = Bulletin of Mie Prefecture Fisheries Research Institute (ISSN:18838812)
巻号頁・発行日
no.17, pp.1-21, 2009-10
被引用文献数
4

三重重県のアサリの主漁場である伊勢湾は、海岸線延長660km、水域面積2,342km2の規模を持つ日本最大の内湾であり、西岸(三重県側)には木曽三川や宮川をはじめ約20の河川が流入し、河口域の干潟や半自然海岸にはアサリの好漁場が形成され、採貝漁業が営まれてきた。アサリの漁獲量は1970年代以降、年間10,000トン前後(日本3位)で推移していたが、1990年代半ばから急減し、2000年代以降は年間3,000トン前後に低迷している。伊勢湾の沿岸漁業は、他の漁業が衰退した南部を中心に年々アサリ資源への依存を高めており、漁獲量の減少は漁家経営に深刻な事態を招いている。本稿では、伊勢湾西岸のアサリの漁場環境の推移や漁場行使の現状を整理しつつ、今後の資源管理への展望を考察した。
著者
松本 才絵 淡路 雅彦 日向野 純也 長谷川 夏樹 山本 敏博 柴田 玲奈 秦 安史 櫻井 泉 宮脇 大 平井 玲 程川 和宏 羽生 和弘 生嶋 登 内川 純一 張 成年
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.548-560, 2014 (Released:2014-08-01)
参考文献数
14
被引用文献数
4 10

組織観察によるアサリの生殖腺の発達状況及び肥満度の季節変化に関する調査を北海道,関東,中部,九州の 6 地点で 2010 年 4 月から 2012 年 11 月に行った。アサリは 1 個体中に 2 つ以上の発達段階が観察される場合が多かったので,生殖腺の発達段階は観察された各段階の頻度で評価した。組織観察の結果北海道では産卵期は夏であり,一方他の地点では春に産卵が始まり秋まで続き,盛期は春と秋の 2 回であった。肥満度の最大と最小は北海道でそれぞれ 2010 年 8 月と 10 月,その他の地点ではそれぞれ 2011 年 4 月と 12 月であった。
著者
水野 知巳 丸山 拓也 日向野 純也
出版者
三重県水産研究所
雑誌
三重県水産研究所研究報告 (ISSN:18838812)
巻号頁・発行日
no.17, pp.1-21, 2009-10
被引用文献数
4

三重重県のアサリの主漁場である伊勢湾は、海岸線延長660km、水域面積2,342km2の規模を持つ日本最大の内湾であり、西岸(三重県側)には木曽三川や宮川をはじめ約20の河川が流入し、河口域の干潟や半自然海岸にはアサリの好漁場が形成され、採貝漁業が営まれてきた。アサリの漁獲量は1970年代以降、年間10,000トン前後(日本3位)で推移していたが、1990年代半ばから急減し、2000年代以降は年間3,000トン前後に低迷している。伊勢湾の沿岸漁業は、他の漁業が衰退した南部を中心に年々アサリ資源への依存を高めており、漁獲量の減少は漁家経営に深刻な事態を招いている。本稿では、伊勢湾西岸のアサリの漁場環境の推移や漁場行使の現状を整理しつつ、今後の資源管理への展望を考察した。
著者
長谷川 夏樹 日向野 純也
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.155-158, 2010-03-20 (Released:2012-09-29)
参考文献数
13

伊勢湾内の6地区で漁獲あるいは調査採集されたアサリを用いて殻長-重量のアロメトリー式を検討した。伊勢湾全域の測定値を用いた殻長(L, mm)-総湿重量(TWW, gWW)のアロメトリー式は,TWW = 2.4×10-4×L2.97(決定係数:0.99)となり,伊勢湾域のアサリに共通のアロメトリー式が適用可能であることが明らかとなった。伊勢湾全域の測定値を用いた殻長-軟体部乾燥重量(SDW, gDW)のアロメトリー式は,SDW = 3.6×10-6×L3.30(決定係数:0.88)であったが,95%予測区間は広範囲におよんだ。また,伊勢地区における殻長-軟体部乾燥重量の時期別アロメトリー式にもばらつきが見られた。したがって,殻長-軟体部重量の関係においては,地域別,季節別あるいはサイズ別にアロメトリー式を検討することが必要であろう。
著者
清家 泰 奥村 稔 三田村 緒佐武 千賀 有希子 矢島 啓 井上 徹教 中村 由行 相崎 守弘 山口 啓子 日向野 純也 山室 真澄 山室 真澄 中野 伸一
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

実験区(高濃度酸素水導入窪地)の他に、対照区(高濃度酸素水導入の影響の及ばない窪地)を設け、比較検討した。湖底直上1m層への高濃度酸素水の導入による改善効果として、明らかになった研究成果の概要を以下に示す。(1)対照区では底層水中に高濃度の硫化水素(H_2S)が観測されたのに対し、実験区ではH_2Sが消失した(H_2S+1/2O_2→H_2O+S^0↓)。(2)対照区では底層水中の溶存酸素(DO)濃度が無酸素に近い状態で推移したのに対し、実験区では窪地全域のDOが増大した。また、対照区では底層水中の酸化還元電位(ORP)が負の領域で推移したのに対し、実験区では正の領域まで上昇した。(3)湖底堆積物中のH_2S濃度を鉛直的にみると、対照区では表層部のみでH_2S濃度の減少が観られたのに対し、実験区では表層から5cm程度の深度まで濃度が激減した。また、メタンCH_4(温暖化ガス)もH_2Sの鉛直分布と同様の傾向を示した。(4)対照区に比べ実験区では、底層水中PO_4^<3->に明瞭な減少傾向が観られた。実験区の湖底泥表面に酸化膜の形成が観られたことから、湖底泥界面における共沈現象及び湖底からのPO_4^<3->の溶出抑制が示唆された。(5)対照区に比べて実験区では、底層水中の無機態窒素(NH_<4+>+NO_<2->+NO_<3->)に減少傾向が観られた。酸素導入により、湖底泥界面における窒素除去機能(硝化・脱窒)が活性化したことを示唆する。湖底堆積物の深度別脱窒活性を観ると、対照区では表層部のみ活性を示したのに対し、実験区では表層から5cm程度の深度まで顕著な活性を示した。この結果は、高濃度酸素水の供給により、脱窒部位が大きく拡大したことを意味する。(6)対照区ではベントス(底生生物)が皆無であったのに対し、実験区では、アサリやサルボウガイのような二枚貝の加入は認められなかったものの、多毛類を中心とするベントスの棲息が確認された。以上のように、松江土建(株)社製の気液溶解装置を用いるWEPシステムは、無酸素水塊への酸素供給を起点に、生物に有毒なH_2Sの消失、温室効果ガスであるCH_4の消失、栄養塩(N,P)の減少及びベントスの復活等に絶大な効果を発揮した。通常、還元的な湖底堆積物に対する自然任せの酸素供給では、その効果は、精々、湖底泥表層部の数mmまでと云われていることを考えると、本システムによる底質改善効果(泥深約0~40mm)は絶大である。このようにWEPシステムは、本研究で対象としたような比較的広範囲の窪地に対して有効であり、特に湖底の底質改善に極めて有効であると云える。今後、ランニングコストの低減が図れれば、有用性はさらに高まるものと考えられる。
著者
山崎 慎太郎 日向野 純也 渡部 俊広
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.368-373, 2002-05-15
被引用文献数
1 2

貝桁網で漁獲された二枚貝にみられる足部の欠損(舌食い)の発生を低減するため,チョウセンハマグリの舌食いの発生機構について検討した。舌食いの発生率は水温の高い時期に高く水温の低い時期に低くなり,曳網速力の増大と共に高くなった。行動観察から,舌食いは貝が足部を伸張した状態で貝桁網の爪と砂に殼を圧迫されて発生すると考えた。潜砂している貝を引き上げてから底質へ潜入を開始するまでの時間は水温の高い方が短かく,潜砂深度は水温の高い方が大きかった。水温の高い時期には潜砂深度の増大と活発な潜砂行動により舌食いの発生率が高くなると考えた。舌食いの発生を抑えるには,曳網速力の低減が最も有効な方法である。