著者
日比野 由利
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.100-105, 2009

女性の生殖にまつわる経験,すなわち妊娠,出産,あるいは中絶や流産などのリプロダクティブ・ヒストリーと女性のメンタルヘルスとの関連を明らかにするために,自記式質問紙調査を行った.女性(30.3歳,範囲16-43歳)を対象に質問票を配布し,177票を回収した(回収率;63.2%).メンタルヘルスの評価にはローゼンバークの自尊感情尺度を用いた.自尊感情に違いが見られた30歳未満と30歳以上のグループに分けて自尊感情とリプロダクティブ・ヒストリーの関連を分析したところ,30歳以上の対象者で,過去に一度でも中絶経験がある女性では,そうでない女性に比べて自尊感情が有意に低いという結果が得られた(p=0.035).これらの結果から,より長期的に見て,女性のメンタルヘルスの低下を防ぐためには,望まない妊娠を防ぐとともに,中絶後のケアが必要であることを論じた.
著者
日比野 由利
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.3-11, 2005-09-15 (Released:2012-10-29)
参考文献数
16
被引用文献数
2 1 1

中絶を経験した女性のスピリチュアリティを明らかにすることが本研究の目的である.水子供養に参加した女性にアンケート調査を実施し, 自由記述のテクストを, 帰納的手法に基づいて量的・質的に分析した. 量的分析には, コンピュータのコーディング・ソフト (KT 2 system) を使用した. 量的分析から次の知見が得られた. (1) 肯定的感情と否定的感情はほぼ同じ頻度で観察された. (2) 肯定的感情は胎児との関連が強く, 否定的感情はパートナーや女性自身と関連が強かった. (3) 胎児に対する肯定的感情と, パートナーや自分自身に対する否定的感情とは女性の観念において並存しながらも区別されていた. 質的分析から次の知見が得られた. (4) パートナーの理解や供養への参加は重要であった. (5) 生まれ変わりの観念や失った胎児との絆 (内的対話・交流) が, 中絶を経験した女性のエンパワーに繋がっていた. (6) 中絶の経験は, 女性が<生命>に対する感受性を育む契機となっていた.
著者
日比野 由利
出版者
金沢大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2021-07-09

本研究は、生殖ツーリズムと呼ばれる現象に着目する。本研究は、生殖ビジネスの最前線として、生殖ツーリズムの「利用される側」であるグローバル・サウスにおける現状を正確に記述することによって、この問題を検討するための基礎的な資料を提供する。東南アジア、東ヨーロッパ地域、中南米、ラテンアメリカ地域、アフリカ地域を対象として、包括的に情報収集を行う。文献収集、及び現地のインフォーマントにインタビューを行い情報を得る。本研究を行うことにより 、身体の商品化や子供の人権に直結する喫緊の問題に関して、国際秩序形成に向け議論を深化させることができる。
著者
日比野 由利
出版者
関東社会学会
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.16, pp.1-12, 2003-06-13 (Released:2010-04-21)
参考文献数
25

Based on feminist theory of modern family and patriarchy in the industrialized society, this paper examines the strategy of women and its changes in the history of Reiyukai kyodan. Strategy of women is changeable according to social stratum, life style, gender, and generation. The history of strategy of women in Reiyukai kyodan reflects modern patriarchy and its relationship to modernization.
著者
中村 裕之 人見 嘉哲 神林 康弘 日比野 由利
出版者
金沢大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

リポソームカプセルのリン脂質2重層にNKT細胞活性化物質「α-GalCer」を挿入し、スギ花粉T細胞エピトープを封入し、CTLエピトープを表面に結合することによってリポソームワクチンを構築した。インフルエンザウイルス感染およびスギ花粉症モデルマウスを対象に、リポソームワクチンを6日間、予防的に投与し、IFV抗体価を指標として検討した結果、新しいインフルエンザウイルスワクチンの有効性が証明された。
著者
相良 多喜子 中村 裕之 三辺 義雄 人見 嘉哲 神林 康弘 日比野 由利
出版者
金沢学院
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

自閉症傾向児の早期発見のための指標を構築する目的で1407名の3-5歳児を対象とした聞き取り調査を行った。自閉症傾向に対して喘鳴と鼻アレルギー、性別(男児)、出生順位(第1子)、喫煙と間に有意な関連が見られた。また「独特の興味・こだわり行動」の項目と鼻アレルギーとの有意な関連が見られた。食育およびアレルギーの評価を含めた新しい指標によってASDをスクリーニングすることが可能であると考えられた。