著者
新里 玄徳 矢崎 明美 濃野 正博 吉川 昭仁 日越 博信 新城 明久 古田 賢治
出版者
Japan Poultry Science Association
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.407-411, 1994-11-25 (Released:2008-11-12)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

食鳥処理場でブロイラーの解体作業に使用した爼板,包丁及び作業時に履いた作業靴を60, 80及び100°Cに保った湯にそれぞれ30及び60秒間浸漬し,汚染した細菌の除去について検討した。1. 使用後の爼板から1cm2当り104.7,包丁の柄と刃(金属部分)から104.9及び103.8の菌が検出された。洗剤で洗った後で80又は100°Cの湯に浸漬すると検出された菌数は60°C浸漬の場合に比べ有意に少なく101.0/cm2以下となった。2. 使用後の作業靴の底から1cm2当り104.6,踵から104.5,爪先から104.0,脛から103.6の菌が検出された。洗浄することなく浸漬を行ったが,浸漬温度が高くなるに従い検出された菌数は減少し,浸漬温度が80°Cの場合検出された菌数は1cm2当り100.3-101.2の範囲にあり,60°Cの場合の菌数101.2-102.5より有意に少なかった。100°C浸漬後には底と踵の菌数は80°C浸漬に比べ有意に少く100.5/cm2以下となった。3. 爼板,包丁及び作業靴のいずれにおいても60秒浸漬としても30秒浸漬と比べて検出された菌数に差が認められなかった。以上の結果から,食鳥処理場における爼板,包丁及び作業靴に付着した細菌を除去するには,洗浄した後に温度80°C以上の湯に,30秒以上浸漬するのが実用的と考えられた。
著者
日越 博信 宮城 寿満子 諸見里 淳子 平川 守彦
出版者
琉球大学農学部
雑誌
琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
巻号頁・発行日
no.45, pp.35-41, 1998-12

沖縄県内のヤギ飼養農家22戸, 73頭の糞便由来大腸菌合計822株について, 7薬剤に対する感受性試験を, また耐性菌については伝達性Rプラスミドの検索も行った。これらの成績を給与飼料別(野草のみと野草+穀類), 地域別(北部と南部)に比較した。7薬剤のいずれかに耐性の大腸菌は, 全体では147株(17.9%)であった。給与飼料別の検出率では野草のみが17.2%, 野草+穀類が18.7%でほぼ同率であった。しかし, 野草のみでは北部31.8%, 南部5.7%で, 前者が高率であったのに対し, 野草+穀類では北部17.8%, 南部19.2%でほぼ同じであった。薬剤別ではCTC耐性が11.3%で最高, 以下SA, ABPC, SM, KM, CP耐性の順であり, NA耐性は検出されなかった。野草のみでは, CTC耐性が両地域とも1位の検出率を示したが, 野草+穀類では, 北部でCTC耐性が1位を, 南部でABPC耐性とSA耐性が同率1位を示すなど, 若干異なった。耐性型の種類は, 全体では5剤型を除く単剤型から6剤型まで17種類認められた。野草のみでは北部6種類, 南部8種類, 野草+穀類ではそれぞれ3種類と6種類であり, いずれも南部が多かった。また6剤型は南部の野草+穀類でのみ検出された。野草+穀類では2剤以上の薬剤に耐性の多剤耐性型が大多数を占め, 特に南部の全株が多剤耐性型であったが, 野草のみでは50∿56%が逆に単剤型であった。耐性菌147株のうち, 17株(11.6%)が伝達性Rプラスミドを保有し, 野草のみ9株(北部8株, 南部1株), 野草+穀類8株(南部のみ)であった。これら菌株の伝達耐性型は, 野草のみの9株がCTC単剤伝達性, 野草+穀類では5株がSM単剤伝達性, 3株がSM-SA2剤伝達性であった。
著者
平川 守彦 日越 博信 及川 卓郎 宮城 悦生 糸満 裕 平山 一浩
出版者
琉球大学
雑誌
琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.79-84, 1988-12-05
被引用文献数
1

本試験は野草地を蹄耕法で放牧地化し低コスト肉牛生産の可能性と問題点を探ぐることをねらいとした。約5ヘクタールの野草地を3牧区に分け平均体重350kgの黒毛和種去勢牛3頭を輪換放牧し放牧牛の食草行動を観察した。また, 数種野草の化学成分や乾物消化率を測定した。野草地におけるエネルギーの流れも調べた。その結果, 沖縄にはいまだ第2次大戦後の不発弾が数多く残っているため大型機械や火入れによる草地造成はひじょうに危険で牛による蹄耕法のほうが安全性や環境保全, 低コストなどの点でもっとも適した方法であると思われた。放牧牛の食草行動から有用な野草と思われるのはいくつかあったがその中でもハイアワユキセンダングサやノアサガオは他の野草と比べ嗜好性, 栄養価, 乾物消化率が著しく高く有望と思われた。野草の嗜好性順位は粗蛋白含量と正の相関, 粗繊維含量と負の相関関係が認められた。試験期間中の体重1kg当たりの採食量は1.8∿3.9%であった。乾物消化率は著しく低く35∿46%の範囲であった。日増体量は最高値0.88kgを示し, 平均値0.52kgであった。野草地における光エネルギー利用効率は植物蓄積エネルギーと可消化エネルギーの段階で低かった。その結果, 増体蓄積エネルギーはオーチャードグラスやバヒアグラスより低い値であった。以上のことより野草地における光エネルギー利用効率の低い箇所とその原因が推察された。これらの点を改良すれば野草地放牧での低コスト肉牛生産は可能であると思われる。
著者
大城 政一 中前 均 古田 賢治 平川 守彦 日越 博信
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理研究会誌 (ISSN:09166505)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.33-38, 1995-10-31
参考文献数
15

昼夜点灯下ヤギの反舞行動への3回給飼及び4回給飼の影響を検討した。昼夜点灯下で飼育しているザーネン雑種雌ヤギ5頭を供試した。1日の給飼時間は3回給飼実験で00 : 00、08 : 00、16 : OOとし、4回給飼実験では00 : 00、06 : 00、12 : OO、18 : 00とした。その結果、反舞行動は3回給飼実験より4回給飼実験において有意に活発であった。また、いずれの実験においても給飼後1時間の反芻行動は不活発であった。1反芻当たりの反芻時間・再咀嚼時間・再咀嚼回数は3回給飼実験より4回給飼実験において有意に活発であった。採食行動は3回給飼実験より4回給飼実験において有意に活発であった。また、両実験において採食行動の日内変動についてみると、給飼後1時間に採食行動が活発であった。給飼後1時間における反芻行動の減少は採食行動の増加によるものと考えられた。給飼後1時間における採食行動の増加と反芻行動の減少は3回給飼に比較して4回給飼において小さく、給飼回数の増加に従って24時間の反舞行動と採食行動が特定の時間帯に片寄らず分散する傾向が示唆された。日本家畜管理研究会誌、31(2) : 33-38.1995.1995年5月18日受付1995年8月15日受理