著者
平山 琢二 北内 毅 眞榮田 知美 藤原 望 平川 守彦 及川 卓郎
出版者
日本暖地畜産学会
雑誌
日本暖地畜産学会報 (ISSN:2185081X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.67-71, 2013-03-29 (Released:2013-07-01)
参考文献数
10
被引用文献数
1

本試験では,食味試験に関して予備知識ならびに特に訓練を受けていない男性および女性を含めた 一般消費者を対象に,一般的な肥育期間で飼養された和牛,長期肥育で飼養された和牛さらにホルスタイン牛の脂肪交雑の極めて少ないランプ部位の赤身肉を供試肉として,官能試験を実施し実際の牛肉の赤身肉の美味しさに対する評価について検討した.供試牛肉の食感は,男女間で有意な差はなく,男女ともに柔らかさ,弾力およびあぶらっこさの3項目において,一般牛肉(ホルスタイン)<通常牛肉<長期牛肉の順に有意に良いと評価された.一方,供試牛肉の多汁性について,男性では一般牛肉<通常牛肉<長期牛肉の順に有意に良いと評価したのに対し,女性の場合,いずれの牛肉間でも有意な差は認められなかった.供試牛肉の食味および総合評価では,男女間で有意な差はなく,男女ともに全ての項目において,一般牛肉<通常牛肉<長期牛肉の順に有意に良いと評価された.供試牛肉の食感,食味および総合評価の年代差について,いずれの項目においても,年代間の有意な差は認められなかったものの,若者に比べ成人が牛肉間の評価差が明確であった.本試験において,牛肉の赤身肉の美味しさに関する感じ方は,多汁性には男女間差があったものの,ほぼ同様に判別し,長期肥育した和牛肉をもっとも美味しいと評価した.また,年齢層において牛肉の美味しさに関する感じ方に大きな差は認められず,長期肥育した和牛肉をもっとも美味しいと評価した.
著者
日越 博信 宮城 寿満子 諸見里 淳子 平川 守彦
出版者
琉球大学農学部
雑誌
琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
巻号頁・発行日
no.45, pp.35-41, 1998-12

沖縄県内のヤギ飼養農家22戸, 73頭の糞便由来大腸菌合計822株について, 7薬剤に対する感受性試験を, また耐性菌については伝達性Rプラスミドの検索も行った。これらの成績を給与飼料別(野草のみと野草+穀類), 地域別(北部と南部)に比較した。7薬剤のいずれかに耐性の大腸菌は, 全体では147株(17.9%)であった。給与飼料別の検出率では野草のみが17.2%, 野草+穀類が18.7%でほぼ同率であった。しかし, 野草のみでは北部31.8%, 南部5.7%で, 前者が高率であったのに対し, 野草+穀類では北部17.8%, 南部19.2%でほぼ同じであった。薬剤別ではCTC耐性が11.3%で最高, 以下SA, ABPC, SM, KM, CP耐性の順であり, NA耐性は検出されなかった。野草のみでは, CTC耐性が両地域とも1位の検出率を示したが, 野草+穀類では, 北部でCTC耐性が1位を, 南部でABPC耐性とSA耐性が同率1位を示すなど, 若干異なった。耐性型の種類は, 全体では5剤型を除く単剤型から6剤型まで17種類認められた。野草のみでは北部6種類, 南部8種類, 野草+穀類ではそれぞれ3種類と6種類であり, いずれも南部が多かった。また6剤型は南部の野草+穀類でのみ検出された。野草+穀類では2剤以上の薬剤に耐性の多剤耐性型が大多数を占め, 特に南部の全株が多剤耐性型であったが, 野草のみでは50&acd;56%が逆に単剤型であった。耐性菌147株のうち, 17株(11.6%)が伝達性Rプラスミドを保有し, 野草のみ9株(北部8株, 南部1株), 野草+穀類8株(南部のみ)であった。これら菌株の伝達耐性型は, 野草のみの9株がCTC単剤伝達性, 野草+穀類では5株がSM単剤伝達性, 3株がSM-SA2剤伝達性であった。
著者
平川 守彦 日越 博信 及川 卓郎 宮城 悦生 糸満 裕 平山 一浩
出版者
琉球大学
雑誌
琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.79-84, 1988-12-05
被引用文献数
1

本試験は野草地を蹄耕法で放牧地化し低コスト肉牛生産の可能性と問題点を探ぐることをねらいとした。約5ヘクタールの野草地を3牧区に分け平均体重350kgの黒毛和種去勢牛3頭を輪換放牧し放牧牛の食草行動を観察した。また, 数種野草の化学成分や乾物消化率を測定した。野草地におけるエネルギーの流れも調べた。その結果, 沖縄にはいまだ第2次大戦後の不発弾が数多く残っているため大型機械や火入れによる草地造成はひじょうに危険で牛による蹄耕法のほうが安全性や環境保全, 低コストなどの点でもっとも適した方法であると思われた。放牧牛の食草行動から有用な野草と思われるのはいくつかあったがその中でもハイアワユキセンダングサやノアサガオは他の野草と比べ嗜好性, 栄養価, 乾物消化率が著しく高く有望と思われた。野草の嗜好性順位は粗蛋白含量と正の相関, 粗繊維含量と負の相関関係が認められた。試験期間中の体重1kg当たりの採食量は1.8&acd;3.9%であった。乾物消化率は著しく低く35&acd;46%の範囲であった。日増体量は最高値0.88kgを示し, 平均値0.52kgであった。野草地における光エネルギー利用効率は植物蓄積エネルギーと可消化エネルギーの段階で低かった。その結果, 増体蓄積エネルギーはオーチャードグラスやバヒアグラスより低い値であった。以上のことより野草地における光エネルギー利用効率の低い箇所とその原因が推察された。これらの点を改良すれば野草地放牧での低コスト肉牛生産は可能であると思われる。
著者
大城 政一 及川 卓郎 平川 守彦
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.645-648, 1992-06-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
12

絶食下のヤギにおける反芻行動について検討を行なった.実験にはザーネン雑種成雌ヤギ3頭を供試した.自由採食期における1時間当りの吐出回数と反芻時間は24時間でほぼ一定していた.絶食期第1日における1時間当りの吐出回数と反芻時間は絶食後5時間に著しい増加を示したが,絶食期第2日と第3日では24時間一定していた.反芻時間は自由採食期で329.8分/日を示し,絶食期第1日の反芻時間は自由採食期に137%に増加したが,第2日は59%,第3日は22%に減少した.吐出回数は自由採食期で334.5回/日であったが,絶食期第1日は自由採食期の130%,第2日は156%と増加した.第3日は89%で自由採食期に近い値に回復した,絶食期における1反芻当りの休止時間を除く反芻行動は絶食期第1日において自由採食期と同じ値を示したが,第2日と第3日には顕著に減少した.
著者
平山 琢二 福田 真 平川 守彦
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.1-8, 2013-09-30 (Released:2016-03-24)
参考文献数
17

今回の調査では,ヤンバルクイナの鳴き声の経時変化ならびに季節変化を観察し,ヤンバルクイナの活動との関連性について検討した。鳴き声は4~6月に特異的にkekソングを多く確認した。また,鳴き声の時間帯は季節によって異なり,3~6月は6~9時および15~18時にもっとも多く確認できたのに対し,8~10月は18~21時に多く,11~2月は12~15時に多かった。これらのことから,ヤンバルクイナの鳴き声の頻度ならびに時間帯は季節によって変化することが示唆された。また,ヤンバルクイナの発する「kekソング」は,4~6月の繁殖期に多く観察されたことから「kekソング」と繁殖行動の関連性が示唆された。
著者
平川 守彦
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

「亜熱帯における島嶼型アグロフォレストリーシステムに関する研究」の一環として下記の通りの成果を得た。本研究の実験現場は,今なお,大戦時の不発弾が多数存在するため機械による造成はひじょうに危険である。そのため蹄耕法(不耕起造成)により野草地を利用している。しかし,自生する野草は放牧牛にとって嗜好性が悪く,また,栄養価や再生力も劣るため改善する必要がある。その改善策として,短草型牧草であるセントオーガスチングラス(St.Augustine grass)の導入を試みた。方法は,(1)過放牧後(草高約5cm)(2)火入れ後(3)裸地(地際除草)の区画に30×40cmのセントオーガスチングラス張芝を植え,積算優占度,草量の推移を調査した。その結果,セントオーガスチングラスの積算優占度は,火入れ区において常に70%を維持していたのに対して,裸地区・過放牧区においては低く,20%であった。乾物重は火入れ区,裸地区,過放牧区の順に多かった。火入れ区以外は雑草の占める割合が高かった。以上のことから,火入れ後に張芝を植える方法が,雑草の侵入を防ぎ,セントオーガスチングラスの生育に良い効果をもたらすことがわかった。今後はセントオーガスチングラスの生育を長期間調査し,その牧草の導入が野草地の造成を可能にすることができるかどうかを調べる必要がある。また,アヒルと食肉鶏を利用したウコン畑の雑草防除を比較行動学的に調べた結果,両家禽ともウコンより雑草を好んで採食するため除草作業の一役を担うことがわかった。しかし,アヒルでは休息行動が多くみられ,踏み倒し行動による雑草防除,一方,食肉鶏では,探査行動が多く,つつきによる防除が認められた。
著者
大城 政一 中前 均 古田 賢治 平川 守彦 日越 博信
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理研究会誌 (ISSN:09166505)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.33-38, 1995-10-31
参考文献数
15

昼夜点灯下ヤギの反舞行動への3回給飼及び4回給飼の影響を検討した。昼夜点灯下で飼育しているザーネン雑種雌ヤギ5頭を供試した。1日の給飼時間は3回給飼実験で00 : 00、08 : 00、16 : OOとし、4回給飼実験では00 : 00、06 : 00、12 : OO、18 : 00とした。その結果、反舞行動は3回給飼実験より4回給飼実験において有意に活発であった。また、いずれの実験においても給飼後1時間の反芻行動は不活発であった。1反芻当たりの反芻時間・再咀嚼時間・再咀嚼回数は3回給飼実験より4回給飼実験において有意に活発であった。採食行動は3回給飼実験より4回給飼実験において有意に活発であった。また、両実験において採食行動の日内変動についてみると、給飼後1時間に採食行動が活発であった。給飼後1時間における反芻行動の減少は採食行動の増加によるものと考えられた。給飼後1時間における採食行動の増加と反芻行動の減少は3回給飼に比較して4回給飼において小さく、給飼回数の増加に従って24時間の反舞行動と採食行動が特定の時間帯に片寄らず分散する傾向が示唆された。日本家畜管理研究会誌、31(2) : 33-38.1995.1995年5月18日受付1995年8月15日受理