著者
成澤 朋之 仲島 日出男 海野 まりえ 乙部 千雅子 山田 昌治 朝倉 富子
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.315-323, 2020-09-15 (Released:2020-09-25)
参考文献数
23

Flavor is one of the important factors for udon, white salted Japanese noodles. Using gas chromatography/mass spectrometry, we analyzed the volatile compounds from the flour, dough, and boiled noodles to clarify the mechanism of udon flavor formation. Hydrocarbons were the main compounds from the flour, while aldehydes and ketones were the main compounds from the dough and noodles. These aldehydes and ketones are presumed to be generated from the enzymatic oxidation of unsaturated fatty acids by lipoxygenase (LOX) upon the addition of water. LOX activity was significantly higher in the cultivar Norin61 than in Satonosora. In conclusion, the characteristic volatile compound profiles of Norin61 are due to differences in LOX activity. These results have been applied to the development of new value-added noodle products by various companies.
著者
松本 真実 石橋 あや 高田 千夏 朝倉 富子 伊藤 圭祐 阿部 啓子 舟木 淳子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.18, pp.34, 2006

<BR>【目的】ミラクルフルーツの果実に含まれるタンパク質ミラクリンは、そのもの自身は無味であるが、これを味わった後に口に入れた酸を甘く感じさせるという性質を持つ。この効果は数時間持続し、その間、酸はショ糖のように甘く感じられる。このように一時的に味覚を変える物質を味覚修飾物質という。糖尿病や肥満が社会問題になっている先進諸国において、非グリセミック(低カロリー)甘味料は健康面でのベネフィットから注目され、また酸味の強い食品の摂取を容易にするという利点もある。本研究ではミラクルフルーツの甘味誘導効果の基礎的性質を得ることを目的とした。<BR><BR>【方法】ミラクルフルーツの果肉を100mM酢酸緩衝液で十分洗った後、0.5 M塩化ナトリウム溶液で抽出した後、70%飽和硫安沈殿画分を得、10mM酢酸緩衝液(pH5.5)で透析し、凍結乾燥して粗精製ミラクリンを得た。1mg/mlのミラクリン水溶液1mlを口に含んだ後、各種酸溶液、苦味溶液、塩化ナトリウム溶液について官能評価をおこなった。また、甘味誘導効果を消失させるものについても検討した。<BR><BR>【結果】粗精製ミラクリンによって、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸、乳酸、リンゴ酸等、各種酸溶液に甘味が誘導された。特にクエン酸溶液やアスコルビン酸溶液は強い甘みを感じ、その味はスクロース溶液の味と類似していた。しかし、苦味溶液や塩化ナトリウム溶液の味の変化はみられなかった。また、塩化ナトリウム溶液で口をゆすいだ時は、蒸留水で口をゆすいだ時よりも甘味誘導効果が減少した。<BR>
著者
西原 百合枝 池口 舞 田﨑 奈緒子 藤本 彩花 朝倉 富子 舟木 淳子
出版者
日本調理科学会
雑誌
大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017-08-31

【目的】高齢者は食事摂取量低下などによって、タンパク質やエネルギーなどが不足しがちとなる。本研究では、われわれが嚥下困難者用食品として作製しているパン粥において、不足しやすい栄養を補給することを目的に、タンパク質を多く含む大豆製品を添加したパンを作製し、これらのパンを使用したパン粥の作製を検討した。<br />【方法】パンはホームベーカリー(SD-BMT2000、パナソニック株式会社)を用いて作製した。大豆製品はきな粉、おからパウダー、大豆粉を使用し、それぞれ強力粉重量の20%を置き換えた。これらのパン(きな粉20%、おからパウダー20%、大豆粉20%)について、比容積を測定した。その後、パンのクラムを水とともに攪拌、加熱しパン粥を作製した。パン粥はクリープメータ(株式会社山電)を用いてテクスチャー解析を行った。<br />【結果】パンの比容積は、きな粉20% 3.10±0.06 ml/g、おからパウダー20% 1.50±0.03 ml/gとなり小さかったため、4.35±0.10 ml/gとなった大豆粉20%についてパン粥を作製した。加熱時間5分30秒間のパン粥を45±2℃で測定した場合のパン粥の硬さは0.69±0.06 kPa、付着性は0.42±0.09 kJ/m<sup>3</sup>、凝集性は0.70±0.04となった。20±2℃で測定した場合の硬さは1.46±0.28 kPa、付着性は0.79±0.14 kJ/m<sup>3</sup>、凝集性は0.62±0.05となった。これらの値は消費者庁のえん下困難者用食品たる表示の許可基準に当てはまっており、大豆粉を添加したパンを使用したパン粥は、嚥下困難者用食品として利用できる可能性があると考えられた。<br />本研究の一部は、総合科学技術・イノベーション会議のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)「次世代農林水産業創造技術」によって実施された。
著者
朝倉 富子
出版者
跡見学園女子大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

コメの新規プロテイナーゼ(オリザシン)は、アスパラギンギン酸プロテイナーゼ(AP)の特異的阻害剤であるペプスタチンで阻害され、至適pHが3.0であるAPの一種である。オリザシンについてコメの貯蔵タンパク質に対する作用を調べたところ、グルテリンをよく水解したが、プロラミンには作用しないことがわかった。コメから抽出した粗酵素液は、スキムミルクに対して凝乳活性を有し、良好なゲルを生成した。オリザシンが凝乳酵素キモシンと類似の性質を持つことがわかったが、両者では一次構造に大きな違いがある。AFに共通の活性中心近傍の配列はどちらも保存されていたが、オリザシンにはC-末端領域に巨大なインサーションが存在する。このインサーションの役割を解明するために、インサーションを欠失させたオリザシンを得、酵素活性に及ぼす影響を調べたところ、ヘモグロビンに対するプロテアーゼ活性は失われなかった。インサーションの有無を他の植物で調べた。コメと異なる双子葉であり、食品として広く利用されている大豆に着目しクローニングを行い、二種のAPをコードすると思われるクローンSOYAP7a,SOYAP23dを得た。二つのクローンにはオリザシンと同様インサーションが存在し、インサーションが植物APの特徴の一つであることが示唆された。二種の大豆APは活性中心近傍のアミノ酸配列の相同性は高いが、互いに50%台の相同性を有するのみであった。次にオリザシン1のペプチド抗体を作製し、これを用いて組織抗体染色を行ったところ、オリザシンは主としてアリューロン層に多く存在していたが、胚乳部にも染色が確認されたことから、種子中に広く分布している可能性が示唆された。