著者
木原 誠
出版者
佐賀大学教育学部
雑誌
佐賀大学教育学部研究論文集 (ISSN:24322644)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.1-37, 2023-01

極西アイルランド、その精神の地下水脈には一四○○年にも亘り静かに脈打つ一つの思考がある。<水辺の思考>である。その起源は六世紀半、全土の水辺で一斉に開花した各修道院が水路のネットワークによって一つに結ばれ発生をみた学術都市群共同体にある。その特徴は大陸ヨーロッパの基盤、陸路の思考=直線・合理的なユークリッド原理に反定立する水路の思考=円環・非合理(自然)的なフラクタル原理にある―大西洋沿岸の海岸線のように、蛇行を繰り返す思考の流れが内部に無数の渦巻きを形作りながら一本の線で結ばれる。『ケルズの書』に表れる芸術様式、大陸のマニエリスムとも一線を画す極西のケルト固有の<水辺のマニエリスム>の誕生である。その思考様式はイェイツにより見出され、文芸復興運動の基軸に据えられることで復権をみた。その後シングからジョイスへと継承されることでアイルランド文学の新潮流を形成していく。本論の目的は以上の命題を検証していくことである。なお、本論は近日刊行予定の『水辺の思考/アイリッシュ・マニエリスム』の「はじめに」に相当する部分の抜粋である。
著者
佐藤 孝治 小西 隆介 木原 誠司 天海 良治 盛合 敏
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.110-122, 2009-03-25

本論文では,ログ構造化ファイルシステムNILFSの設計と実装について述べる.NILFSは任意の時点におけるファイルシステムのスナップショットを作成することができ,ソフトウェア障害やユーザエラーからデータを保護する.また,ディスク上のデータ構造はつねに一貫した状態に保たれるため,システム障害後の迅速な復旧が可能である.従来のログ構造化ファイルシステムとは異なり,ディスクアドレス変換を用いることにより,複数のスナップショットが存在する状況で,クリーナは不要になったディスク領域を効率的に回収することができる.評価実験により,NILFSはExt3と比べて遜色ない性能を有することを示す.
著者
木原 誠
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.106, no.7, pp.462-467, 2011 (Released:2017-02-15)
参考文献数
9

ビールの品質に大きく関わるビール大麦,その育種の実例について,紹介していただき,さらに,ビールの品質上好ましい形質であるLOX(リポキシゲナーゼ)欠失ビール大麦を,DNA塩基配列の差異を利用することで,より効率的に育種することができた大変興味深いお話を解説していただいた。
著者
木原 誠 朱雀 成子 早瀬 博範 吉岡 剛彦 相澤 照明 相野 毅 田村 栄子
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

三年間に亘る本研究の目的は、「国際文化学」の理念構築、及びその建築された理念を速やかに教育現場で実践していくための教育図書を備えた研究の出版にあった。この目的は、一昨年の『ヨーロッパ文化と日本』、昨年度の『歴史と虚構のなかの<ヨーロッパ>-国際文化学のドラマツルギー』(共に昭和堂)の出版において一つの結実をみた(さらに、今年度は『国際文化学と<旅・移動>』という表題で出版を予定)。研究に関してはすでに二冊の教育研究図書刊行により、すでに十分、企図を達成していたことから、最終年度にあたる平成19年度は、やや不十分であった実践的側面に重点をあてることを最大の課題に掲げた。その具体的成果は、佐賀大学文化教育学部に一昨年より新しく開講された「国際文化学概論」での教育の実践、具体的には、本研究により出版された二冊の図書を教科書に用いて、本研究の研究者全員がオムニバス形式で授業を行ない、その後、改善の検討会議を行なうことにより遂行された。また、本年度は、これまでの本研究成果を踏まえて、国際文化学会の研究会を「B面の国際文化学」という表題のもとで、佐賀大学で開催したことも特記しておきたい(尚、本研究の成果のあらましは、国際文化学誌、平成20年度『インターカルチュラル』で、「佐賀大学における国際文化学の歩み」という表題で掲載予定)。
著者
木原 誠
出版者
佐賀大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本研究の成果は、今日の免疫学の視点を導入し、文化の主体のありかを、コミュニティ内部から排除され、周縁に置かれた「インミュニティ(免疫)=アジール」にあると措定し、マクロ・中央集権・リアリズムの世界観を、ミクロ・周縁・虚構=無視・排除されたものの方から逆説・異化し、文化学創成のための新しい一モデルを提示したことに求められる。対象東西地域は、比較文化学の視点から重要と考えられる1 :我国最古の駆込寺の伝統をもつ東慶寺・鎌倉2 :ヨーロッパの極西・アイルランドの周縁に位置し、ヨーロッパ煉獄伝説発祥の地、オクシデントの表象、ドニゴールに絞り、調査、分析、検証を行った。