著者
坂本 優子 時田 章史 鈴木 光幸 荻島 大貴 松岡 正造 本田 由佳
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

ビタミンDは現代社会の中で特に不足しがちな栄養素である。われわれは、幼児の「生理的」と言われているO(オー)脚がビタミンD不足に由来すること、ビタミンDサプリメントを使用すると改善が早いことを明らかにしてきた。O脚だけでなく精神発達や免疫機能保持にも重要な栄養素でありながら、われわれのコホートでは、90%がビタミンD欠乏という危機的状況であった。そして、その子ども達の血中ビタミンD濃度も他のコホートと比較して低く、O脚が高率に含まれていた。そこで、本研究では集団を前向きに検討し、妊娠中の母親と生まれてからの子どものビタミンDサプリメントの使用が子どものO脚の程度を軽くするかどうかを検証する。
著者
大田 えりか 本田 由佳 須藤 茉衣子 新野 由子
出版者
聖路加国際大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究では、主に妊娠前の働く女性に焦点を当て、健康行動の実態やニーズを把握し、ウィズ/ポストコロナ時代に利用できる携帯のアプリケーションソフト(以下アプリ)を利用した栄養と運動を中心とした健康に対する介入プログラムを開発、検証する。主な目的は以下の通りである。1)妊娠前の働く女性を対象とした、モバイルアプリとFitbitなどを使ったInternet of Things(以下IoT)の科学的根拠に基づく健康支援プログラムを開発する2)ランダム化比較試験によって、健康支援プログラムの有効性を検証する
著者
坂本 優子 本田 由佳 時田 章史 鈴木 光幸 荻島 大貴 松岡 正造
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

300人の対象者のリクルートを終え、ほぼ全員の血液検査・栄養アンケート・紫外線暴露量アンケート・ビタミンD関連遺伝子多型の結果が出そろった。現在、データ解析中であるが、いくつか興味深い結果が出ている。対象妊婦のエネルギー充足率の平均は71.2%であり、足りていなかった。25(OH)Dの中央値は10.3 ug/m Lであり、90%が<20 ng/mLだった。25(OH)Dの中央値で2群に分けると,紫外線からのVitD生成量は中央値未満群で、中央値以上群より有意に少なかった(p<0.05)。食事からのビタミンD摂取量は25(OH)Dと相関しなかったが、紫外線からの生成量はよく相関した。ビタミンD結合タンパクの遺伝子多形が血中25(OH)Dと関連していた。これらの結果から、妊婦のほとんどがビタミンD不足であること、エネルギー必要量が足りていないことが発覚し、妊婦の健康を守上でも食事を見直す必要があった。ビタミンD不足の原因を考える上で、紫外線からの生成量の少なさには注目すべきであり、紫外線を避ける傾向にある妊婦に正しい指導が必要であると考える。対象妊婦とメールで連絡を取り合い、生まれた子どもたちのあしの写真と栄養アンケート・紫外線暴露量アンケートを収集している。回答率は概ね80%を超えており、良好である。生後3ヶ月のTibio femoral angle(TFA)は6.5度95%CI 5.3度で内反の狭い範囲の中に収まっていた。TFAと母体の血液検査値との間に相関は認めなかった。写真による計測ではあるが、今後、生後6ヶ月、1年、1年半と縦断的に下肢アライメントを測定する今回の研究は、下肢アライメントの変化を表す貴重なデータとなる。
著者
上田 康夫 丸尾 原義 足高 善彦 本田 由佳 深山 知子
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.121-130, 2005 (Released:2005-06-30)
参考文献数
15
被引用文献数
1

【研究目的】1988年以降15年間における本院での母体体重,出生体重の変遷を調査することにより,母体体重増加基準に関する現行日産婦基準の再評価を行った. 【研究方法】1988年1月から2002年12月の間に兵庫県立柏原病院で管理した妊婦3310例を対象とした.これらの妊婦を非妊時Body Mass Index(BMI)によってやせ(BMI<18),標準(18-24),肥満(>24)の3つの体型群に分類し母体体重増加量別に低出生体重児(<2.5kg),巨大児(≧4kg),Light for dates(LFD),Heavy for dates(HFD)および妊娠中毒症(高血圧主徴のみで浮腫,蛋白尿を除外)の発生率を検討するとともに,各体型群での至適体重増加量を考案した.さらに現行の至適増加基準と今回得られた基準の両者を用いて全妊婦を増加過剰,至適,過少の3群に分け,年代別の各群への分布を検討した. 【結果】全体型妊婦での母体体重増加量は1988年の12.0±3.7kg(mean±SD)から2002年の10.0±3.9kgに,一方出生体重も3114±414gから3040±384gに減少し,この傾向はとくに肥満群で著明で,同群での低出生体重児発症も増加した.母体至適体重増加量の検討では,対照とした標準群中7~10kgの母体体重増加群に比べ,やせ群中10kg未満の母体体重増加群での出生体重は減少し,逆に>14kg群ではHFD,妊娠中毒症が増加した.標準群では<7kg群でLFD,低出生体重児が有意に多かったが,13kg以上の群では逆に巨大児,HFDの発症が有意に高く妊娠中毒症の発症率も体重増加につれて増加した.肥満群では>7kg群でHFDと巨大児の発症率が有意に高かった.以上の結果より,やせ群10~14kg,標準群7~13kg,肥満群<7kgという新しい基準域が求められた.現行日産婦体重増加基準による分布において各群とも至適域に入る妊婦は少なく,やせ群では体重増加過少,標準・肥満群では体重増加過剰が多数を占めた. 【考察】1988年以来15年間に母体体重増加量と出生体重はともに明らかな減少傾向を示したものの,現行日産婦基準からは標準,肥満群におけるいっそうの体重抑制の必要性が示唆された.しかし,現行基準における至適域の決定には妊娠中毒症─妊娠浮腫の関与が大きく,結果として妊娠浮腫による体重増加過剰例の存在が各群至適域の上限値を引き下げていた可能性がある.今後本邦での妊娠中毒症分類の変更に応じた新しい至適体重増加基準が広く議論されることが期待される.〔産婦の進歩57(2):121-130,2005(平成17年5月)〕
著者
上田 康夫 丸尾 原義 足高 善彦 深山 知子 本田 由佳 中林 正雄
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.275-286, 2004 (Released:2004-09-30)
参考文献数
27
被引用文献数
1

【目的】正常および妊娠中毒症母体の妊娠経過に伴う体脂肪(Fat Mass:FM),体水分(Total Body Water:TBW)の動態を生体インピーダンス法(bioelectrical impedance analysis:BIA)に胎児部分重量補正を加えた妊婦体成分測定系によって明らかにしようとした. 【方法】兵庫県立柏原病院で管理した妊婦358例を対象とし,1)妊娠6週から16週までの正常妊婦66例,2)妊娠末期から産褥期の正常妊婦44例,3)非妊時体型(やせ:BMI<18,標準:18~24,肥満:>24)と妊娠期間中の全体重増加量によって区分された正常および妊娠中毒症関連疾患妊婦290例である.これらの妊婦は健診時に体脂肪計(タニタTBF-410)による両足間インピーダンス測定を行い,FM,TBWを算出した. 【成績】妊娠6週から16週までの体重変化はFMおよびTBWと有意な正相関を示し,FM,TBWの体重に対する比率は前者が57%,後者が29%を示した.正常妊婦での母体体重およびTBW増加が妊娠期間を通じてほぼ一定であったのに反し,そのFMの増加勾配は妊娠前半期に著明で後半期には明らかに抑制された.とくに肥満体重増加不良群でのFMは非妊時レベル以下に下降した(肥満<7kg:1.0±2.1kg).妊娠中の体重増加はTBWよりFMとの相関性が高かったが,産褥1ヵ月間の体重減少は逆にTBWの減少に起因するものであった.一方,中毒症関連疾患のうち中毒症重症(高血圧主徴,純粋型)におけるFMは初期より明らかに減少し36週には-2.6±3.2kgと対照2.8±1.8kgに比べて有意に低値であり,中毒症軽症や妊娠浮腫と対照的であった.他方, TBWは4群とも36週には対照より高値であり,とくに妊娠浮腫重症では6.6±2.4kgと明らかな高値を示し,とくに妊娠浮腫群では体重との相関が高かった.一方,二次元座標系による分析では妊娠浮腫,中毒症軽症が第1象限内を推移し末期には正常>10kg群にオーバーラップしたのに反し,妊娠浮腫重症は後期にTBWが急増し第1象限をY軸方向へ推移した.他方中毒症重症は初期より第4象限を左上方に偏倚した.また,妊娠36週でのFM,TBW増加量による分類によると妊娠浮腫軽症はFM過少-TBW過剰群を除いた8群間に広く分布したのに反し,妊娠浮腫重症はFM過少/正常-TBW過剰群に,中毒症軽症はFM過剰-TBW正常/過剰群に分布した.他方中毒症重症はFM過少-TBW正常/過剰群に局在した.他方,妊娠浮腫軽症と診断した例のうち実際にTBW過剰であったものは37%であった. 【結論】本測定系の応用によって母体体重変化をFMとTBWの2つに分けて把握することが日常診療の場で可能になり,妊娠浮腫軽症という診断自体の不確実性が明らかになった.一方,中毒症重症ではFMの著明な減少とTBWの相反的な増加が特徴的であり,これには同症で観察されるインスリン抵抗性の高まりが関与する可能性が考えられた.さらに,本症ではFM,TBW両者の相反的な変化が相殺されるために母体体重に明らかな変化の現れないことが推測され,従来の体重のみを指標とした妊婦管理の限界がうかがわれた.いずれにしても臨床的にもっとも問題となる中毒症重症の体成分変化が,この妊婦体成分診断法によって妊娠の比較的早期から他の中毒症群と区別しうるという事実は,本法が中毒症の予知,病態診断を考えるうえできわめて重要なものになる可能性を示唆するものと考えられた.〔産婦の進歩56(3):275-286,2004(平成16年8月)〕
著者
大田 えりか 本田 由佳 森崎 菜穂
出版者
聖路加国際大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は、研究代表者が一貫して実施してきた我が国の低出生体重児に関する包括的研究(平成24-25若手B 平成26-28若手B)の知見を基に、妊娠中の女性を対象とした適切な体重増加と食事摂取に関するパッケージを作成し、モバイルアプリケーションを用いた介入を実施することを目的としている。2020年度は、アプリケーションの開発に向けたプログラムをアプリケーション開発業者と議論を重ねながら開発した。エコチル調査を用いた妊娠中の体重増加量に関するデータ解析、アプリケーションのデータベース基盤構築・アプリのコンテンツ開発を実施し、アプリケーションに盛り込むプログラム作成を行った。また、倫理審査と実証調査用のプロトコールを作成した。今回開発しているのは、エコチル調査のコホートデータに基づいた健康な妊婦(基礎疾患のない)を対象とした体型別の週数別適切な体重増加量範囲である。週数別の胎児の出生体重がSGA(small for gestational age)やLGA(large for gestational age)のリスクが高い場合には、もう少し体重を増やした方が良い、または控えたほうが良いなど、体重を入力すると、週数別に個別にアドバイスがでる。
著者
鈴木 光幸 本田 由佳
出版者
順天堂大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

近年「成人病胎児期発症説」によって妊娠前女性の栄養管理が重要視されいる。本研究では、妊娠前女性を対象として、生殖予備能評価として注目されている抗ミュラー管ホルモン(AMH)を測定し、それと体格および血液栄養解析検査を行い、AMH低下者が置かれているライフスタイルの現状を検討した。本研究において日本人生殖可能女性において血清ビタミンDが低値であると血清AMHも低値であり、30歳未満では血清AMHと体脂肪率に正の相関が認められた。すなわち、やせ体型やビタミンD不足は卵巣予備能低下の一因となる可能性が示唆され、妊娠前女性の適切な栄養摂取や適正体脂肪が卵巣予備能の維持に重要であることが考えられた。