- 著者
-
守田 了
本田 雄斗
- 出版者
- 一般社団法人電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
- 巻号頁・発行日
- vol.113, no.493, pp.223-228, 2014-03-13
テレビ中継や競技技術の向上や審判の補助のために,競技映像を映す複数台のカメラを設置し,その映像を解析することが行われている.本論文ではフィギュアスケートのテレビ中継映像からの技術要素の推定を行う.フィギュアスケートの技術要素の採点方法はより透明性のある採点を目指して刻々と変化している.ここでは2014年における国際フィギュアスケート連盟ISUが用いている得点方法を用いる.特にフィギュアスケートの得点を左右する6種類のジャンプの識別と技術要素の得点における基礎点を識別することを目標とする.まずリンクサイドを復元し,さらに人間の頭部の位置を推定し,リンクにおける人間が滑った位置の軌跡を視覚化する.またフィギュアスケートの中継映像における競技者の映像から頭部,胴体,右上腕,右下腕,左上腕,左下腕,右手,左手,右足,左足を識別する.これらから首,右肩,左肩,右股関節,左股関節,左ひじ,右ひじ,右ひざ,左ひざ,左手首,右手首,左足首,右足首を識別する.各関節2自由度の13箇所,26自由度の各関節の姿勢を推定する.各関節の姿勢は人間の動作範囲に基づいて180度に制限する.テレビ中継映像は視聴者が競技をテレビ中継から演技中の競技者を見やすいように複数のカメラを切り替え,カメラを自由に動かす中で競技者の演技を推定する.実際にフィギュアスケートの得点を左右する6種類のジャンプの識別と技術要素の得点における基礎点を識別することで有効性を示す.