著者
杉村 佳寿 篠田 岳思 T. N. MATHIAS 阿野 貴史 重富 康文
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.22-00075, 2023 (Released:2023-01-23)
参考文献数
73

現在日本においてはカーボンニュートラルポートの実現が目指されているが,港湾における気候変動対策については実証的な先行研究が少なく,実践との間のギャップにより意思決定者を十分にサポートできていない.本稿では,荷役機械の電動化やハイブリッド化,リーファーエリアへのルーフシェードの設置を行い日本の港湾環境政策を先導する博多港を事例に,コンテナターミナルにおける気候変動対策の効果を実証的に検証した.また,経済性分析と日本の港湾ガバナンスの特徴を踏まえた対策のフィージビリティについて検討した.対策の効果については確認されたものの,経済性の面からターミナルオペレーター等が主導的に講じるのは難しく,港湾ガバナンスの面からも補助金等を含めた政府のイニシアチブが重要であることが明らかとなった.
著者
川崎 智也 杉村 佳寿
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.22-00013, 2023 (Released:2023-01-23)
参考文献数
30

世界的な新型コロナウィルス感染拡大前,日本におけるクルーズ船の寄港回数は急増していた.しかし受入環境整備に対する投資を踏まえれば,低水準の港湾料金しか徴収しない状況は港湾管理者にとって持続可能な港湾経営とは言えず,過当な港湾間競争を行っていたと言っても過言ではない.他港との港湾料金差の寄港回数に与える影響が先行研究で示されていないことが背景の一つと言える.本稿では持続可能な港湾経営に転換するための政策的示唆を与えることを目的に,国内外の港湾料金の徴収状況を示すともに,寄港地選択シミュレーションモデルを構築し港湾料金がクルーズ船の寄港地選択に及ぼす影響を定量的に分析した.東京湾をケーススタディとした結果,減免等による港湾料金の低減は大きな影響を与えず,適正な料金徴収が望ましいことが示唆された.
著者
柴崎 隆一 青山 和浩 加藤 浩徳 村上 進亮 川崎 智也 新井 洋史 鳥海 重喜 渡部 大輔 和田 祐次郎 坪田 建明 古市 正彦 松田 琢磨 杉村 佳寿
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本課題は,研究代表者らがこれまでに蓄積したモデル構築やデータ分析に関する知見を活用し,全世界のすべての輸送モードを包含する統合的な国際物流シミュレーションモデルを構築して,世界各地の物流インフラ投資や越境抵抗削減などの実際の諸施策や,船舶大型化や新航路開拓(パナマ運河,北極海航路など)などの技術進歩が,輸送パターンにもたらすインパクトを定量的に予測するものである.
著者
石倉 智樹 杉村 佳寿 石井 正樹
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.617-623, 2005

本研究は, 世界の主要な空港オペレータを対象に, 空港の運営・財務状況を比較分析し, 日本の空港運営システムの特徴を考察した. 欧州をはじめ世界では大規模な空港オペレータが複数空港を運営しているが, 我が国の空港オペレータは単一空港運営にもかかわらず資産規模が世界最高水準であることが示された. 関西国際空港株式会社については, 自己資本比率が小さいため金利費用負担が大きく, 世界でも稀少な経常損失を記録する空港オペレータの事例となっていることや, 他の空港オペレータに比べて, 保有資産の構成が収益姓の低い下部構造に集申し, 資産回転率が低い状態であることが明らかとなった.