著者
横内 陳正 阿部 佐智 柴田 偉斗子 南出 将志 加藤 浩徳
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-29, 2012 (Released:2012-10-03)
参考文献数
16
被引用文献数
3

本論文は,東日本大震災発生後1ヶ月間における,米国,中国,英国,仏国の代表的な新聞における震災に関する報道の動向を調査した結果を報告するものである.各国につき一紙ずつ代表的な新聞を選定して,震災に関連する記事を網羅的に収集し,それにもとづき,各紙の報道の特徴を整理・比較した.その結果,いずれも,原子力発電に肯定的な国であるにもかかわらず,福島原子力発電所事故に関する報道内容には,国間でかなりの違いがあることが判明した.また,記事の量と内容とを比較した結果,日本とその国の政治的・経済的関係,日本との地理的位置関係,および各国のエネルギー政策が,各紙の報道内容に影響を与えることが明らかとなった.
著者
加藤 浩徳 志摩 憲寿 中川 善典 中西 航
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.70-85, 2012 (Released:2012-10-03)
参考文献数
20

本論文は,高知県を対象として,交通システム成立の経緯を整理するとともに,その経緯と社会経済的要因や政治的要因との関係を分析するものである.同県の広域交通ネットワークの発展経緯を,古代~中世,近世,明治~戦前,戦後の4つの時代区分にしたがって整理した.その結果,高知県は,険しい四国山地と海に囲まれた地域であったため,古代から現在に至るまで,海路による広域交通ネットワークに頼らざるを得なかったこと,県領域内の閉鎖的な交通政策が広域旅客交通の発展を妨げたこと,高知県の陸路ネットワークの整備は,主に政治的要因によって実施されてきたこと,高知県の海上交通ネットワークは,一貫して関西地方との経済的結びつきのもとに発達してきたこと,四国遍路が高知県内の技術に与えた影響が大きいことなどを明らかにした.
著者
加藤 浩徳 家田 仁 小野田 惠一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.523-530, 2003-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
15

本論文では, 出発時刻選択モデルを用いて, 通勤者の交通行動を分析し, その結果から, 時間の差に対する意識限界を推定した. 出発時刻選択モデルを構築する上で, 通勤者の選択行動に影響を与える説明変数を検討し, 列車待ち時間・乗車希望列車スケジュール早着・同スケジュール遅延・最終不遅刻列車スケジュール早着の組み合わせが適切であることを示した. そのモデルを用いて, 鉄道利用者の通勤行動を分析した結果, 時間の差に対する意識限界は平均運行時隔にして約4分30秒-4分56秒であることが分かった.
著者
加藤 浩徳 志摩 憲寿 中西 航
出版者
Sociotechnology Research Network
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.11-28, 2011

本論文は,山梨県を事例に交通システム成立の経緯を整理するとともに,その経緯と社会的要因との関係を分析するものである.同県の広域交通ネットワークの発展経緯を,近世以前,明治~戦前,戦後の3つの時代区分にしたがって整理した.山梨は,元来,山々に囲まれた地域であるため,近隣地域とのアクセスが不便であった.しかし,古来より道路網が整備されており,一時は,富士川を通じた舟運も栄えた.明治時代に入り,近代化が進められると,鉄道が整備され,舟運は衰退した.戦後は,観光農業と製造業が盛んとなり,東京という巨大市場へのアクセス向上のため新笹子トンネルや中央高速道路が開通された.これらの経緯を踏まえつつ,交通に関連する社会的要因を,国内動向,政治・政策,産業・宗教に分類し,これらと交通システムとの相互関係を時代別に分析した.
著者
深山 剛 加藤 浩徳 城山 英明
出版者
一般財団法人 運輸総合研究所
雑誌
運輸政策研究 (ISSN:13443348)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.022-037, 2007-04-26 (Released:2019-05-31)
参考文献数
21

本研究は,富山市における LRT 導入と,関連するまちづくり施策の実現に関して,政策プロセスの観点から分析するものである.まず,政策プロセスを4つのフェーズにわけ,それぞれのフェーズにおける関係主体や検討の場,課題のフレーミングや主な論点などをまとめた.続いて,富山市を取り巻くさまざまな関係主体の立場を整理し,富山市によるフレーミングや利害調整を通じた対応のポイントを示した.その結果,政策プロセスにおける合意形成のためには,課題のフレーミング,議論の場のマネジメント,制約条件の活用,個別的な利害調整による対応等が重要であることが明らかになった.
著者
柴崎 隆一 青山 和浩 加藤 浩徳 村上 進亮 川崎 智也 新井 洋史 鳥海 重喜 渡部 大輔 和田 祐次郎 坪田 建明 古市 正彦 松田 琢磨 杉村 佳寿
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本課題は,研究代表者らがこれまでに蓄積したモデル構築やデータ分析に関する知見を活用し,全世界のすべての輸送モードを包含する統合的な国際物流シミュレーションモデルを構築して,世界各地の物流インフラ投資や越境抵抗削減などの実際の諸施策や,船舶大型化や新航路開拓(パナマ運河,北極海航路など)などの技術進歩が,輸送パターンにもたらすインパクトを定量的に予測するものである.
著者
加藤 浩徳 村木 美貴 高橋 清
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.243-254, 2003-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
59

本稿は, 近年の英国の交通政策とそれに伴う交通システムの変化を調査し, 整理することを目的とするものである. 英国では, 1997年のブレア政権成立以来, 新たな交通政策が実施されてきた. 新交通政策の特徴は, 「総合化」, 「官民協力・調整」, 「経済的交通需要マネジメント」, 「地方分権」といった点に見られる. またその結果, 交通計画に関わる国, 地方自治体, 地域の役割が変化し, 交通システム全体にも変更がもたらされた特に, 前政権の規制緩和政策への反動と地方分権が大きな影響を及ぼしていると考えられるが, 英国内にも実効性が伴わないとの批判も強く, 今後の推移が注目される.
著者
加藤 浩徳 志摩 憲寿 中西 航
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.11-28, 2011 (Released:2011-11-04)
参考文献数
48
被引用文献数
1

本論文は,山梨県を事例に交通システム成立の経緯を整理するとともに,その経緯と社会的要因との関係を分析するものである.同県の広域交通ネットワークの発展経緯を,近世以前,明治~戦前,戦後の3つの時代区分にしたがって整理した.山梨は,元来,山々に囲まれた地域であるため,近隣地域とのアクセスが不便であった.しかし,古来より道路網が整備されており,一時は,富士川を通じた舟運も栄えた.明治時代に入り,近代化が進められると,鉄道が整備され,舟運は衰退した.戦後は,観光農業と製造業が盛んとなり,東京という巨大市場へのアクセス向上のため新笹子トンネルや中央高速道路が開通された.これらの経緯を踏まえつつ,交通に関連する社会的要因を,国内動向,政治・政策,産業・宗教に分類し,これらと交通システムとの相互関係を時代別に分析した.
著者
白井 清兼 西村 崇 山本 淳子 伊藤 興一 加藤 浩徳 城山 英明
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.93-106, 2009 (Released:2010-05-14)
参考文献数
30
被引用文献数
3

本論文は,地域のアイデンティティ確立を目指すまちづくりに成功した事例として,千葉県香取市(旧佐原市) の先進的な取組を取り上げ,過去の取組経緯をインタビューによって丹念に調査するとともに,関係主体の問題構造認識を分析することによって,成功の要因を抽出することを目的とする.情報収集のため,佐原の観光政策に関係する主要主体に対するインタビュー調査を実施し,また,分析に当たっては,問題構造化手法を適用した.分析の結果,「町並み保存関係者」と「佐原の大祭関係者」による独自活動がもたらした意図せざる相乗効果,市民団体による巧みな行政の活用および行政の巧妙な戦略的なプロセスマネジメントが,佐原の持続的な観光政策ならびにまちづくり型観光地形成を成立させるための成功要因であったことを明らかにした.
著者
加藤 浩徳 城山 英明 深山 剛
出版者
Sociotechnology Research Network
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.147-158, 2009
被引用文献数
2

本研究は,LRTの導入を10年近くの期間にわたって検討してきている,宇都宮市を事例として取り上げ,LRT導入に関わる問題の構造を,関係者へのインタビュー調査によって分析し,今後の導入に向けた検討に資することを目的とする.具体的には,まず,導入を巡る議論の経緯を整理し,関係主体に対するインタビュー調査を実施した.次に,インタビュー調査の結果から,関係主体の問題構造認識を分析し,各主体の関心の違いや問題の認識の違いを比較した.インタビュー結果から,導入に関わるファクターとドライバーを抽出し,LRT導入にかかわるイシューの整理を行った.さらに,関係主体間の相互期待表を整理することを通じて,LRT導入に向けた関係主体間の連携の可能性を検討した.
著者
加藤 浩徳 志摩 憲寿 中川 善典 中西 航
出版者
Sociotechnology Research Network
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.70-85, 2012

本論文は,高知県を対象として,交通システム成立の経緯を整理するとともに,その経緯と社会経済的要因や政治的要因との関係を分析するものである.同県の広域交通ネットワークの発展経緯を,古代~中世,近世,明治~戦前,戦後の4つの時代区分にしたがって整理した.その結果,高知県は,険しい四国山地と海に囲まれた地域であったため,古代から現在に至るまで,海路による広域交通ネットワークに頼らざるを得なかったこと,県領域内の閉鎖的な交通政策が広域旅客交通の発展を妨げたこと,高知県の陸路ネットワークの整備は,主に政治的要因によって実施されてきたこと,高知県の海上交通ネットワークは,一貫して関西地方との経済的結びつきのもとに発達してきたこと,四国遍路が高知県内の技術に与えた影響が大きいことなどを明らかにした.
著者
加藤 浩徳
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は,業務目的の交通時間節約価値を包括的かつ理論的に分析することを通じて,情報通信技術の進展が交通行動及びプロジェクト評価に与える影響を検討することを目的とする.まず,業務交通を分析する上では,交通の意思決定者,交通時間節約に支払意思を持つ主体,移動中の労働の有無,業務交通のスケジュール,労働時間外の賃金支払いの有無が,留意すべき点であることを示す.その上で,被雇用者,雇用者,および両者の共同意思決定を含めた10の時間配分モデルを定式化し,それらから交通時間節約価値を導出する.最後に,以上の分析から得られる示唆を整理した.