著者
石倉 智樹
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45.3, pp.565-570, 2010-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
14

パンデミックは人類の歴史上繰り返し発生し、大きな健康被害とこれに伴う社会的影響をもたらしてきた。近年でも、高病原性インフルエンザ(A/H5N1型)の流行など、世界的な感染症流行の拡大が生じている。パンデミックが生じると、都市の社会機能や経済活動の混乱が起きる。パンデミックが発生した際には、ワクチンの開発には最低でも3~6ヶ月はかかると言われている。それまでの間、感染拡大を抑制または遅延させるための有効な政策として、公共交通の停止や学校閉鎖といった人々の活動制限が考えられる。一方でこれらの政策は、経済活動の縮小を伴うものであり、行うタイミングを誤れば効果が半減するだけでなく、経済活動へ大きな損失を与える。すなわち、活動制限による適切な政策効果を得るためには、政策実施を適切なタイミングを把握することが求められる。そこで、本研究は、パンデミック時の、特に初期の段階、すなわちワクチン生産等の医療対策が整っていない段階において、公共交通の停止や地域間境界閉鎖のような水際対策などの社会経済活動制限を行うか否かの判断、および活動制限の最適な実施タイミングを導出する方法論を提案する。
著者
石倉 智樹
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.565-570, 2010-10-25
参考文献数
14

パンデミックは人類の歴史上繰り返し発生し、大きな健康被害とこれに伴う社会的影響をもたらしてきた。近年でも、高病原性インフルエンザ(A/H5N1型)の流行など、世界的な感染症流行の拡大が生じている。パンデミックが生じると、都市の社会機能や経済活動の混乱が起きる。パンデミックが発生した際には、ワクチンの開発には最低でも3~6ヶ月はかかると言われている。それまでの間、感染拡大を抑制または遅延させるための有効な政策として、公共交通の停止や学校閉鎖といった人々の活動制限が考えられる。一方でこれらの政策は、経済活動の縮小を伴うものであり、行うタイミングを誤れば効果が半減するだけでなく、経済活動へ大きな損失を与える。すなわち、活動制限による適切な政策効果を得るためには、政策実施を適切なタイミングを把握することが求められる。そこで、本研究は、パンデミック時の、特に初期の段階、すなわちワクチン生産等の医療対策が整っていない段階において、公共交通の停止や地域間境界閉鎖のような水際対策などの社会経済活動制限を行うか否かの判断、および活動制限の最適な実施タイミングを導出する方法論を提案する。
著者
石倉 智樹 石川 良文
出版者
環太平洋産業連関分析学会
雑誌
産業連関 (ISSN:13419803)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.51-59, 2013-10-31 (Released:2014-08-07)
参考文献数
6
被引用文献数
2

東日本大震災は,地震や津波などの直接的被害に加えて,発電所被災がもたらす電力供給力不足という間接的な経済被害を引き起こした.本研究は,東日本大震災に起因する電力供給力不足,ならびに電力需要抑制策がもたらした経済ダメージについて,空間的応用一般均衡モデルを用いて分析した.分析では,首都圏経済とその他地域それぞれにおける不便益と,各産業部門における生産額変化に着目し,いかなる影響が及ぶのかを定量的に評価した.
著者
石倉 智樹
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 = Papers on city planning (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.68-73, 2012-04-25
参考文献数
7

現在我が国では、少子高齢化と人口減少が急速に進行しているが、これは過疎化や限界集落など人口低密度地域ばかりでなく、都市部における中心市街地の空洞化の要因にもなり得る。我が国の大都市部では,都市圏全体としては人口減少が顕在化していないものの、都市によっては中心市街地の縮退が進んでいるところもあれば、周辺都市からの人口・需要の吸い上げによって都市集積が進んでいるところもある。多都市システムにおいてどの都市へ集積しどの都市が縮退へ向かうのかを定量的に分析することは、今後の少子高齢化・人口減少という人口構成変化フェイズにおける都市政策検討にとって非常に重要な情報となりうる。そこで本研究は、経済理論に基づく定量的な空間経済分析モデルを我が国の北関東地域へ適用し、今後予想される人口減少が大都市圏の外縁部における都市の集積と縮退に対してどのように影響を及ぼすかについて検討した。
著者
石倉 智樹 杉村 佳寿 石井 正樹
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.617-623, 2005

本研究は, 世界の主要な空港オペレータを対象に, 空港の運営・財務状況を比較分析し, 日本の空港運営システムの特徴を考察した. 欧州をはじめ世界では大規模な空港オペレータが複数空港を運営しているが, 我が国の空港オペレータは単一空港運営にもかかわらず資産規模が世界最高水準であることが示された. 関西国際空港株式会社については, 自己資本比率が小さいため金利費用負担が大きく, 世界でも稀少な経常損失を記録する空港オペレータの事例となっていることや, 他の空港オペレータに比べて, 保有資産の構成が収益姓の低い下部構造に集申し, 資産回転率が低い状態であることが明らかとなった.
著者
石倉 智樹
出版者
国土技術政策総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

航空輸送サービス産業の生産活動において,空港という社会資本が不可欠である以上,空港容量が逼迫しボトルネック化することによって,生産効率性が低下することは不可避である.特にネットワークの中核をなす空港における容量制約は,効率的に生産量拡大が可能な地点における物理的な生産量制約となり,航空輸送サービス産業の成長を阻害する主要因となる.したがって,そのような空港における容量に余裕を持つこと自体が,経済学的な意味での生産効率性の向上をもたらすと言える.また,航空輸送サービスは,様々な産業の生産活動において派生需要として中間投入的に利用されるため,この生産性の向上の効果は航空輸送サービス産業のみならず,あらゆる産業の経済活動に波及すると考えられる.その結果,国民経済レベルでの大きな効果が生じると期待される.一般に用いられる(部分均衡的な)費用便益分析の手法や産業連関分析による経済効果手法では,事前にwith/withoutそれぞれのケースについて航空需要予測値を推定することが必要となる.このため,需要予測値が得られていなければ,経済効果計測を行うことができないという問題点を抱えている.したがって,航空需要予測値の有無に依存せず,空港整備による経済効果を直接推定する手法が望まれる.本研究は,空港の容量拡大による航空輸送サービスの生産性向上,およびその経済波及効果・便益を,需要予測値の有無に依存せず,評価する手法を構築した.その適用事例として,我が国の国内航空輸送ネットワークの中心的空港である羽田空港の容量拡大による,航空輸送サービス産業の生産性向上と経済効果を推定するモデルを同定した.さらに本研究は,羽田空港の整備が我が国経済に及ぼしてきた効果,再拡張事業等による将来の容量拡大がもたらす効果の定量的推定を行った.