著者
三羽 恵梨子 中澤 栄輔 山本 圭一郎 瀧本 禎之 赤林 朗
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.61-74, 2018-09-29 (Released:2019-08-01)
参考文献数
19
被引用文献数
1

背景:近年、コミュニケーションと機器の操作を目的とした出力型BCI (Brain-Computer Interface)の実用 化に向けた研究開発が進められている。現在のところ、医療応用が中心だが、将来的には社会全体に大きな影響を与える技術と評価されている。そのため、技術的課題の克服と同時に倫理的・社会的議論も併せて行う必要が指摘されているが、議論は整理されておらず、具体的な提言に至っていない。目的:出力型BCIに関する倫理的問題について、現在提出されている議論を系統的に整理し全体像を明らかにする。方法:先行研究の体系的収集と主題分析による分析を行った。結果:BCIに関する倫理的議論は、【BCIの研究倫理】、【BCIがもたらす社会への影響】、【BCIがもたらす人間性への影響】、【BCI倫理とは何か】に大別された。考察:議論の現状として、トピックの提示にとどまっており、議論としての内実を伴わない傾向がみられた。 今後、方法論を含めた、議論のさらなる深化が求められる。
著者
吉田 達見 山本 圭一郎 中澤 栄輔 瀧本 禎之 赤林 朗
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.87-98, 2018-09-29 (Released:2019-08-01)
参考文献数
82

生体腎移植においては、医学的不適合により移植を行えない場合や、移植結果が望ましくない場合がありうる。こうした問題への対策として、免疫抑制療法に加えて、海外ではドナー交換腎移植と呼ばれる方策も実施されている。ドナー交換腎移植では、医学的不適合性のある生体腎提供者とレシピエントの組を複数集め、彼らの間でマッチングを行うことで、移植数および移植成績を向上させる。本稿ではシステマティック・レビューを行い、世界におけるドナー交換腎移植一般の実施状況を包括的に捉えた上で、ドナー交換の利点ならびに医学的・技術的問題と倫理的問題を網羅的に整理した。このような整理に基づいて、日本移植学会による「ドナー交換腎移植に関する見解」を批判的に検討した。
著者
山本 圭一郎 伊吹 友秀
出版者
医学書院
雑誌
臨床婦人科産科 (ISSN:03869865)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.471-475, 2017-05-10

●ヒト受精胚を対象とするゲノム編集技術利用には,基礎研究,治療を目的とする臨床応用,エンハンスメント的な臨床応用の各段階で倫理的な課題がありうる. ●基礎研究の段階では,ゲノム編集研究に用いるヒト受精胚の入手のあり方,余剰胚利用の是非,ヒト受精胚への人為的操作などが倫理的課題となる. ●治療およびエンハンスメントの段階においては,安全性や有効性,責任の所在,優生思想ないし優生学,諸々の格差や差別の助長,世代や地域を越えた不可逆的な影響などに関する倫理的課題がありうると予想される.
著者
杉浦 令人 和田 邦孝 荒井 友章 山本 圭一 前田 則弘 田村 亮介 土屋 裕規 杉浦 徹 和田 弘
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.584-588, 2017-10-25 (Released:2017-12-07)
参考文献数
5

当法人では“介護の標準化”を図る事を目的に介護士育成のための客観的介護技術評価ツールの開発に着手した.今回,介護部役職者に研修および試験を実施し,評価シートの信頼性を分析した.検者間の相対信頼性は,食事でICC:0.797,排泄でICC:0.952であった.また,より詳細な検証が可能になる一般化可能性理論を用いた結果として,一般化可能性係数は,食事:0.466,排泄:0.743であり,食事よりも排泄で高い信頼性が示された.
著者
久野友 貴人 山本 圭一 上野 修平 山田 雅也 山崎 敏正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.479, pp.75-78, 2013-03-06

本研究のサイレントスピーチBCIは、Learning phase とDecoding phase で構成される。 Learning phase では、被験者(健常者10名)は画面上に提示された「グー」「チョキ」「パー」の線画を手掛かりに「グー」「チョキ」「パー」のいずれかを発話した。その際、計測された脳波データに対してICAとダイポール推定を行い、ダイポールが運動野、運動前野、補足運動野あるいはブローカ野に推定された脳波データを抽出した。同時に計測された音声データと抽出された脳波データからKalman Filterモデルを構築した。Decoding phaseでは、同様のタスクをサイレントスピーチで行い、その時の脳波を測定した。その後、Decoding phase時に測定された脳波を、Learning phaseで構築された「グー」「チョキ」「パー」それぞれのKalman Filterに入力することで、サイレントスピーチ時の音声データを予測した。予測された音声データの第一および第二ホルマント周波数から母音の予測をし、サイレントジャンケンの予測および識別を試みた。サイレントジャンケン分類器の性能はconfusion matrix によって評価された。