- 著者
-
杉浦 隆
- 出版者
- 岐阜大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2006
酸化チタンは、光触媒などの光機能材料として様々に応用されている。以前の研究において焼結体や単結晶の酸化チタン電極にフォトエッチング処理を行うことで結晶配向に依存した特徴的なエッチングパターンが形成されることを見出している。しかしその場合、表面処理の効果は数百マイクロメートルの厚さの電極の表面のみに限られ、薄膜電極をフォトエッチング処理できれば、光触媒などへも応用も可能となると考えられる。そこで本研究では、酸化チタン薄膜を作製する方法としてチタン板を熱酸化する方法を試み、薄膜の評価を行った。さらに作製した酸化チタン薄膜電極にフォトエッチング処理を行い、その表面構造や光誘起親水特性を評価することで酸化チタン薄膜の作製条件が及ぼすこれらの特性への影響についての検討を行った。フォトエッチング処理をした電極の表面SEM像から、薄膜電極の場合においても酸化チタンの結晶配向に依存したエッチングパターンが形成可能であることを見出した。フォトエッチング処理前後の電極の光誘起親水特性評価を行ったところ、ブラックライト照射下でフォトエッチング処理前の試料は2500分間の照射で限界接触角が70°であったのに対し、処理後の試料は120分間の照射で0°と超親水性を示し、短い照射時間で限界接触角が大きく減少したことがわかった。これはフォトエッチング処理により光誘起親水化しやすい酸化チタンの(100)面が選択的に露出したためであると考えられた。