著者
豊川 裕之 加藤 知己 佐伯 圭一郎 矢ケ崎 信子 岸田 謙一 李 廷秀
出版者
The Japanese Society of Health and Human Ecology
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.192-200, 1987
被引用文献数
1

A-mode式超音波皮脂厚計(TATT TH-500)を用いて,日本人の皮下脂肪厚の性・年齢別度数分布を作成するために,今回は小学生(1~6年生)の皮脂厚の計測を行なった.1986年5月から7月にかけて東京都にある4つの某小学校の児童1925人(男子:984人,女子941人)を対象にして,4部位の皮脂厚を計測した.主な結果は以下の通りである. (1)小学生の全学年(7~12歳)において,いずれの部位でも女子の皮脂厚の方が男子よりも厚い傾向が認められた. (2)小学生における4部位(biceps,triceps,subscapular,suplailiac)の皮脂厚は,年齢に伴い概ね漸増する傾向が示唆された. (3)超音波皮脂厚計を用いて,4部位における小学生の皮脂厚の度数分布を作成した. (4)部位別皮下脂肪厚と身長,体重,Kaup指数との関連を,年齢の影響を除去して男女別にそれぞれ全例について検討したところ,以下に示す結果が得られた. 1)身長と各部位別皮下脂肪厚及びこれらの合計値との間には男女ともに正の相関(0.2~0.3)が認められた. 2)男女ともに,体重が重いほど各部位別皮脂厚値及びこれらの合計が大きいという関係が認められた. 3)Kaup指数が体重,比体重,Rohrer指数よりも皮脂厚値と最も強い正の相関が認められた.
著者
李 廷秀 浅見 泰司 高木 廣文 下光 輝一 梅崎 昌裕 山内 太郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、国内で初めて客観的な物理的環境指標による居住地域環境が人々の身体活動行動に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。研究初年度の文献研究の結果、複数地域の複数集団を対象とすること、居住地域環境因子としては客観的、主観的な種々の因子についての検討が必要であること、身体活動については各種構成要素(移動・余暇・総身体活動)を包括的に網羅した検討が必要であることが明らかになった。身体活動に影響を及ぼす可能性のある居住地域環境の評価法としては、物理的環境をGIS(Geographic Information System)を用いた客観的な方法による実測で評価する方法と、住民の主観的認知指標調査法によって評価する方法を提案することができた。作成したGISデータベースによって、地域環境指標(世帯数、道路総延長、土地利用状況など)を対象者ごとに数値化することが可能であった。住民側の環境認知を評価する質問紙としてはAbbreviated Neighborhood Environment Walkability Scale(ANEWS)日本語版を作成し、国際比較も可能とした。住民の日常身体活動量は加速度計、歩数計等を用いた客観的な測定と、身体活動量調査票(International Physical Activity Questionnaire)による方法を用いて、その妥当性を検討した。文化的・社会的背景の異なる国内地域として、都心部1ヶ所、地方都市2ヶ所において、身体活動を推進する物理的環境要因について検討した。居住地域環境と身体活動との関連は、地域や性別による違いがみられた。住民の身体活動を推進する都市基盤整備には、地域の特性を活かした進め方が必要と考えられた。さらに、個人の行動パターンを時間、位置、身体活動レベルの3つの側面から関連づけて分析するために、小型GPS(汎地球測位システム)と加速度計を同時に装着し、GISとともに3つのデータを統合する方法を提案した。今後はこのシステムを利用することで都市の土地利用分類ごとの身体活動パターンの特徴を明らかにし、健康増進につながる都市空間創造の基礎データを蓄積することが可能になる。
著者
原田 亜紀子 川久保 清 李 廷秀 岩垂 信 池田 千恵子 茂住 和代 南 伸子
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.229-236, 2001-04-01
被引用文献数
9 1

The purpose of this study was to evaluate the validity of two different measures of physical activity under normal living conditions. The 24-hour physical activity diary method (24 HD) and accelerometer (Lifecorder) were analyzed. Total daily energy expenditure (TDEE) and daily variation of energy expenditure (EE) were compared employing the two measures in conjunction with the minute-by-minute heart rate method (Flex HR) in middle-aged people with a mean age of 57.9 yr (N=17), and in young people (college students) with a mean age of 23.5 yr (N=11). The TDEE as measured by the 24 HD and Lifecorder was 2576.4±514.7 kcal・d^<-1> and 1973.1±290.2 kcal・d^<-1> respectively. The TDEE as measured by the Flex HR method was 2718.3±625.5 kcal・d^<-1>. The TDEE as measured by the Lifecorder method was significantly lower than that of the Flex HR method (p<0.01). The correlation coefficient (r) for the 24 HD and Flex HR measured values for TDEE (kcal/day) was 0.64 (p<0.01), and that for Lifecorder and Flex HR was 0.38. The daily variation of energy expenditure pattern measured by Lifecorder was similar to that of the Flex HR 24 HD measurements, on the other hand, were slightly lower than Flex HR measurements during the afternoon period. The 24 HD method was reasonably accurate in the testing. The daily variation of energy expenditure measured pattern by Lifecorder was similar to that of the Flex HR method l but the fact that the TDEE results were underestimated suggests that the Lifecorder method has merit in the measurement of daily activity patterns. It follows from this that to improve measurement of the TDEE, it is necessary to modify the Lifecorder method of calculating the algorithm.