著者
原田 亜紀子 杉原 数美 渡部 容子 山路 誠一 北村 繁幸 太田 茂
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.135, no.10, pp.1185-1196, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
22
被引用文献数
8

Aryl hydrocarbon receptor (AhR) ligand activity of the extracts of 62 herbal medicines was examined using yeast reporter assay. Fifty-eight herbal extracts exhibited AhR ligand activity. The highest activity was observed with Ogon (Scutellariae Radix), followed by Oren (Coptidis Rhizoma), Kujin (Sophorae Radix) and Shoma (Cimicifiigae Rhizoma). When these extracts were treated with hesperinase, a hydrolase for sugar conjugates, the aglycones showed higher activity than the parent extracts. Among the constituents of Ogon extract, baicalein and wogonin showed AhR ligand activity, while the sugar conjugate of baicalein, baicalin, was inactive. Among the flavonoid components of these herbal medicines, flavone and chrysin exhibited high ligand activity for AhR. Ethoxyresorufin O-dealkylase (EROD) activity due to CYP1A1 in HepG2 cells was enhanced by the addition of baicalein. Baicalein also decreased the 3-methylcholanthrene-induced increase of EROD activity, but this effect was not statistically significant. When wogonin or baicalein was orally administered at the dose of 100 mg/kg to mice, EROD activity in liver was only slightly changed. Furthermore, when Ogon extract was co-administered with 3-methylcholanthrene, the EROD and methoxyresorufin O-dealkylase activities were not significantly changed. These results indicate that many herbal extracts have AhR ligand activity, and their inducing effect on CYP1A1/2 can be evaluated in HepG2 cells.
著者
原田 亜紀子 吉岡 みどり 芦澤 英一 木下 寿美 佐藤 眞一
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.201-209, 2019-04-15 (Released:2019-04-26)
参考文献数
18

目的 本研究は,特定健康診査(特定健診)を受診しなかった者に対し,未受診の理由や健診受診に対する意識を調査し,未受診に影響する要因と現状の問題点を明らかにすることを目的とした。方法 千葉県海匝地域にある三市の各国民健康保険(国保)で実施した特定健診の未受診者を対象とし,健診を受けなかった理由,新しい健診制度と国保保険料との関係,健診に対する要望,次年度の健診受診の希望などを調査した。調査対象については,翌年の健診受診の状況も合わせて調査した。各調査項目について,市別,性別,年齢階級別に集計を行い,項目間の関連についてはχ2検定を行った。次年度の健診受診の意向の有無,次年度に実際に受診したかどうかをそれぞれ従属変数とし,関連する要因の検討にロジスティック回帰分析を用いた。さらに,次年度の健診意向と翌年の受診状況を組み合わせ(意向あり・実際に受診,意向あり・実際に受診なし,意向なし・実際に受診なし)を従属変数とし,関連する要因につき名義ロジスティック回帰分析を用い検討した。結果 次年度の健診を希望せず,実際に受診しない傾向は,会社員,「通院中・経過観察中」などを未受診の理由にあげた者でみられた。一方で,健診受診の意向がありながら,実際に健診を受診しない傾向は,自営業の者,メタボに該当する者,未受診理由で「健診が日中だった」,と回答した者においてみられた。また,これらの要因とは別に,健診受診率と後期高齢者医療制度への支援金の関連を知らなかった者において,健診受診の意向と実際の健診受診の割合が高かった。結論 健診受診の意向と実際の受診行動を組み合わせて,受診に関連する要因を検討することで,未受診者の特徴を分類することが可能であった。未受診者をひとくくりに考えることなく,特徴に応じて切り分け,各々に対し効果的なアプローチを考えていく必要がある。
著者
原田 亜紀子
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.13-26, 2020 (Released:2021-07-01)

本稿は、デンマークのユースカウンシルでの民主主義の実践による市民形成を検討する。ユースカウンシルは地方自治体が設置した若者政策提言組織であり、若者アソシエーションの一つでもある。 事例の分析枠組として、デンマークの政治学者、バングとソーレンセン、そして英国の政治学者マーシュと社会学者リーによる「新しい政治的アイデンティティ」の理論と、北欧閣僚理事会が提示した「‘参加’の過程」を援用し、エリートに限定されない多様な若者の政治参加を考察する。 3つの事例においては、インフォーマルな対話の機会により幅広い若者を包摂していること、職員が若者と地方自治体の橋渡しをし、「秘書」として「教育者」としての役割を果たしていること、ユースカウンシルが非制度的政治参加と制度的政治参加を接続する機能があること、そして若者を権利主体としてみなし政治的に包摂すると同時に教育的に支援する体制があることが明らかになった。
著者
原田 亜紀子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2018

<研究目的>本研究は若者の主体形成を促す地域連携カリキュラムとしての主権者教育の構築に当たり、市民の政策決定過程への参加が先進的なデンマークの地方自治体のユースカウンシル(Youth Council : 以下YC)の活動に着目した。前年度の研究において、3つの事例の比較により、デンマーク第二の都市オーフス市のYCは学校と地域が連携するカリキュラムモデルとして最も可能性が示唆された。しかしその実態は不明であったため、本研究ではオーフス市内のYCの下位組織、上位組織、さらに教師とYCの連携構造や、そこで実現されるメンバーの政治的主体形成の過程を明らかにすることを目的とした。<研究の方法>オーフス市は、4地域に区分される。区分された地区での各YCの下位組織の職員とメンバー、下位組織から代表として選出されたオーフス市全体のYCのメンバー、そして職員へのインタビューと、会議の参与観察を行った。データは、デンマークの政治学者Bangの「新しい政治的アイデンティティ」の概念と、北欧閣僚理事会が提示した「‘参加’の過程」を参照して分析された。<本研究の成果>本研究で明らかになったのは以下の3点である。(1)地方議会、行政、学校、若者団体の連携による、メンバーの勧誘や選挙への参加、YCの意見形成や議論の場、政策提言の実現の仕組みの組織化。(2)代表制の確保のため移民地区に独立した議席を設け、またYCの下位組織を設置することで、エリート主義的な参加ではなく、自由でアドホックな参加を受容。(3)参加に必要な情報を得るルートや大人の支援が多層的に存在。こうした活動は学校教育・社会教育の枠を超えた「民主主義の学校」とも言え、学校は、メンバーのリクルートや選挙、会議への参加のための学校欠席の承認、といった形でYCと協働していた。オーフス市の事例からは、地方自治への参加と中等教育段階の学校をつなぐことにより、生徒が「実践し」「影響力を行使する」主権者教育の構築が示唆される。
著者
吉岡 みどり 原田 亜紀子 芦澤 英一 木下 寿美 相田 康一 大森 俊 木下 裕貴 大橋 靖雄 佐藤 眞一 水嶋 春朔
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.11, pp.728-742, 2021-11-15 (Released:2021-12-04)
参考文献数
41

目的 人生の最終段階を可能な限り長く自立して過ごしていくためには,Activities of Daily Living(ADL)のような身体的な自立に加え,高次生活機能(「手段的自立」,「活動」,「参加」)があわせて必要となってくる。そこで,地域住民を対象とした長期追跡研究において,手段的自立,知的能動性,社会的役割と健康状態(総死亡,要介護発生)の関連性を検討した。方法 鴨川コホート研究の参加者データを用いて,2003年から2013年までに千葉県鴨川市民を対象に,医療サービス利用状況,健康状態,疾病有病率,介護保険サービスの利用状況を調査した。鴨川市民の生活習慣と高次生活機能の違いを死亡状況別,要介護発生状況別に比較した。高次生活機能は,老研式活動能力指標を用いて評価し,各質問への回答,各領域の得点,合計得点を調べた。結果 40-69歳の成人6,503人がコホート研究に参加し,2013年末までに810人の死亡を把握した。総死亡と高次生活機能との関連をみると,手段的自立得点4または5に対する3点未満のハザード比2.03(95%CI: 1.59-2.60),知的能動性得点4に対する3点未満のハザード比1.39(95%CI: 1.09-1.77),社会的役割得点4に対する3点未満のハザード比1.28(95%CI: 1.03-1.59))であった。性別の層別解析では,手段的自立得点の低さは,男女ともに総死亡発生に対して関連がみられたが,知的能動性,社会的役割については,女性においてのみ総死亡発生との関連がみられた。同じ期間に917人の要介護発生を把握した。同様に高次生活機能との関連をみると,手段的自立,社会的役割についてはハザード比が有意であった(手段的自立1.93(95%CI: 1.55-2.40),社会的役割1.30(95%CI: 1.07-1.58))。男女別では,手段的自立得点の低さは,男女ともに要介護発生に対して関連がみられたが,社会的役割については,女性でのみ関連がみられた。結論 総死亡,要介護発生に対して,高次生活機能の手段的自立,知的能動性,社会的役割のいずれのドメインにおいても,得点が最も低いカテゴリーは,総死亡,要介護発生に対して有意に関連していた。
著者
仕子 優樹 原田 亜紀子 大橋 靖雄
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.593-602, 2020-09-15 (Released:2020-10-10)
参考文献数
26

目的 本研究では乳がん検診データを用いて,乳がん発見率の年齢,期間,コホート,および地域差の検討を行った。方法 日本対がん協会21支部に対して乳がんの検診データの提供を依頼し,2004-2015年における1年ごとの「X線のみ」,「視触診とX線」それぞれの受診者数,要精検者数,精密検診受診者数,精密検診の結果の人数を得た。コホート表に基づきベイズ型Age-Period-Cohortモデルを適用することで年齢,期間,コホートの各効果を分離して推定し,がん発見率に与える影響を考察した。次いで,地域特性の検討を行うために地域を変量効果として組み込んだモデルを使用し再度解析を行った。結果 年齢効果の特徴としては,40代後半でピークを迎えた後に減少し,50代後半以降も上昇する傾向が見られた。期間効果は2004年-2007年にかけ減少した後は頭打ちの傾向であった。コホート効果は,出生年が1943年から1958年のコホートで高い傾向が見られた。また,宮崎県,福井県,栃木県,北海道では高い発見率であったが,鹿児島県,千葉県では低いがん発見率であった。結論 本研究では乳がん発見率の年次推移に対して,3要因(年齢,期間,コホート)のうち年齢が最も強く影響することが確認された。また乳がん発見率が地域により大きく異なることが明らかになった。したがって検診データによって先行研究と同様の乳がん罹患年齢分布および地域差を示すことが可能であると示唆された。
著者
佐藤 眞一 柳堀 朗子 小窪 和博 荒井 裕介 原田 亜紀子 安藤 雄一 角南 祐子 江口 弘久 芦澤 英一 高澤 みどり
出版者
千葉県衛生研究所
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

千葉県食育ボランティアは4,903人、千葉県食育サポート企業は147社、海匝減塩標語は1,498の応募があった。2002から12年度の連続する2年の翌年度非受診率を初年度所見ごとに比較した。2004-5年度以降、肥満者と非肥満者で有意に異なり、特に2008-9年度で、男で肥満者29%非肥満者25%、女で肥満者28%非肥満者23%と最大の差を認めた。2008-9年度の特定健診連続受診者278,989人を対象として生活習慣に関する質問項目とメタボ罹患との縦断調査を行った。メタボ出現のオッズ比(95%信頼区間)は、早食い1.48 (1.43-1.55)、早歩き0.80 (0.77-0.83)だった。
著者
原田 亜紀子 川久保 清 李 廷秀 岩垂 信 池田 千恵子 茂住 和代 南 伸子
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.229-236, 2001-04-01
被引用文献数
9 1

The purpose of this study was to evaluate the validity of two different measures of physical activity under normal living conditions. The 24-hour physical activity diary method (24 HD) and accelerometer (Lifecorder) were analyzed. Total daily energy expenditure (TDEE) and daily variation of energy expenditure (EE) were compared employing the two measures in conjunction with the minute-by-minute heart rate method (Flex HR) in middle-aged people with a mean age of 57.9 yr (N=17), and in young people (college students) with a mean age of 23.5 yr (N=11). The TDEE as measured by the 24 HD and Lifecorder was 2576.4±514.7 kcal・d^<-1> and 1973.1±290.2 kcal・d^<-1> respectively. The TDEE as measured by the Flex HR method was 2718.3±625.5 kcal・d^<-1>. The TDEE as measured by the Lifecorder method was significantly lower than that of the Flex HR method (p<0.01). The correlation coefficient (r) for the 24 HD and Flex HR measured values for TDEE (kcal/day) was 0.64 (p<0.01), and that for Lifecorder and Flex HR was 0.38. The daily variation of energy expenditure pattern measured by Lifecorder was similar to that of the Flex HR 24 HD measurements, on the other hand, were slightly lower than Flex HR measurements during the afternoon period. The 24 HD method was reasonably accurate in the testing. The daily variation of energy expenditure measured pattern by Lifecorder was similar to that of the Flex HR method l but the fact that the TDEE results were underestimated suggests that the Lifecorder method has merit in the measurement of daily activity patterns. It follows from this that to improve measurement of the TDEE, it is necessary to modify the Lifecorder method of calculating the algorithm.