著者
加藤 俊介 野城 智也 村井 一
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.293-298, 2022-08-01 (Released:2022-09-22)
参考文献数
6

災害時などの迅速な建築設備の故障箇所推定のために,全体構成と構成要素の状況の2 種類の情報を集約して全体状況を把握する仕組みが必要である.また,その情報を用いた点検計画作成をコンピュータで支援することは,限られた人的リソースで対処するために有効である.そのような考えに則り,自律分散型の機能ネットワークモデルを構想し,データ構造アーキテクチャと,モデルを用いた故障時の点検箇所の絞り込み支援のアルゴリズムを検討した.そして,大学施設の給水設備を例に,モデルの作成とアルゴリズムの適用の検証を行った.
著者
加藤 俊介 村井 一 野城 智也
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.169-174, 2022-05-01 (Released:2022-05-27)
参考文献数
7

個々の住宅の性能の元,運用で住宅の温熱環境の快適性を確保するために,Building Element(以下,B.E.)の意味構造にそって,B.E. の振る舞いの情報蓄積が有効と考える.そこで本論文では,3 階建て木造戸建住宅1 棟の空間とB.E(建具.・空調機器)の「意味構造」「状態」「振る舞い」に関する情報をセマンティックデータモデルを用いて記述した.そして,その情報をもとに分析を行い,影響の大きい階段室周辺のB.E. を操作することで空気対流を制御し,複数の部屋に部分暖房の熱を融通し,快適性を確保できる可能性を検討した.
著者
加藤 俊介 野城 智也 村井 一
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.135-138, 2022-02-01 (Released:2022-02-25)
参考文献数
7

1 つの建物において,テナント毎に要因が異なる環境価値低下に対し,Building Element(以下,B.E.)の関係性を形式化して意味構造を把握し,その上で状況をモニタリングして改善活動に展開することが有用と考える.本稿では,将来の統合・拡張に耐えうる情報基盤となる必要性からセマンティックデータモデルを用いた意味構造記述を提案した.そして,大学の一室のCO2 濃度モニタリングシステムに関わるB.E. の意味構造をモデルで記述した上,周辺システムのモデルと統合する検証をし,部屋などの共通ノードを結節点にグラフ構造が統合されることを把握した.
著者
河北 雄一郎 新居 早也佳 橋本 博子 永谷 基浩 村井 一人 竹田 博幸
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, 2015

【目的】国立循環器病研究センターの減塩食「かるしおレシピ」は素材のうま味を引き出す京料理の考え方をベースとして、美味しく食べられるように工夫されている。レシピの基本はだし汁1.3Lに淡口醬油50ml、砂糖30g、塩6gを合わせた八方だしで、煮物から下茹でなど様々な調理に利用できる。一般的な八方だしには淡口醤油が多用されるが、かるしお八方だしにも淡口醤油が必須の調味料として使用されている。そこで本研究では、かるしお八方だしに淡口醤油を使う意義を解明することを目的とした。【方法】減塩調理に醤油が及ぼす影響を評価するため、淡口醤油と濃口醤油各々で調製した八方だしで、長芋の煮物、大根とうす揚げの煮物、ぶり大根、鯛の煮付け、治部煮、筑前煮を同条件で調理し、SD法による官能評価を行った。既に我々は塩味とだし風味について、淡口醤油中の方が濃口醤油中に比べ低い濃度で識別できることを報告してきたが、甘味は検討できていなかったため、本報告では甘味を識別できる濃度を調査した。淡口醤油と濃口醤油を用いてうどんだしを調製し、砂糖濃度1%を中心としてその濃度差を変えて2点識別試験片側検定にて甘味の閾値を比較した。【結果】減塩調理時の官能評価では全てのメニューで淡口醬油が濃口醤油よりも「素材の味が生きる」項目で有意差が見られた(P<0.001)。また、淡口醤油では砂糖濃度1%と1.25%の差を有意水準0.1%で識別できたが、濃口醤油では識別できなかった。以上より、淡口醤油は、塩味やだし風味に加えて、甘味を感じやすいことが明らかとなり、素材の味を引き立て、料理を低塩で美味しく仕上げることができる点で、かるしお八方だしに必須であることが示唆された。
著者
中西 良文 村井 一彦 梅本 貴豊 古結 亜希 Nakanishi Yoshifumi Murai Kazuhiko Umemoto Takatoyo Kogetsu Aki
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.299-303, 2010

本研究では、Pintrich, Marx, & Robert (1993) のいう、「暖かい概念変化モデル(hot model of conceptual change)」という考えをもとに、小学生6名(5年生4名・6年生2名)を対象に英語の否定疑問文への回答に対する概念変化と動機づけ変化を促す実践を行い、その効果を検討したものである。具体的には、認知的葛藤を利用して、概念変化を導くと同時に、興味を高めることをねらいとした働きかけを行った。実践の結果、否定疑問文に回答する課題において、正答者数が増えたものの、有意な変化は見られなかった。一方、興味については、得点の上昇が見られた。これらの結果をもとにして、より望ましい概念変化が導かれるために必要な条件について、議論を行った。