著者
中根 洋治 奥田 昌男 可児 幸彦 早川 清 松井 保
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D2(土木史) (ISSN:21856532)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.22-37, 2012 (Released:2012-02-20)
参考文献数
48

本稿では,静岡県の赤石山脈の南端にある,我が国の代表的な尾根を通る秋葉古道を研究対象とした.この古道について,中世以前のことがこれまで明らかにされていないので,その成立過程と果たしてきた役割などを研究した.秋葉古道は時代と共に黒曜石・巨石信仰・塩・修験道・秋葉信仰・戦いの道などに使われてきたが,文献調査,現地踏査及び聞き取り調査により,その成立過程とともに浜松市を代表とする遠州と飯田市を代表とする南信州を結ぶ古道の役割についても研究した.その結果,最古の道は兵越峠を越えていたこと,そして,時代が下がるにつれて利用されたルートが低い位置に推移していること,また秋葉古道の役割として,物や人の運搬に関することおよび信仰などのために使われてきたことを明らかにした.
著者
中根 洋治 奥田 昌男 可児 幸彦 早川 清 松井 保
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D2(土木史)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.22-37, 2012

本稿では,静岡県の赤石山脈の南端にある,我が国の代表的な尾根を通る秋葉古道を研究対象とした.この古道について,中世以前のことがこれまで明らかにされていないので,その成立過程と果たしてきた役割などを研究した.秋葉古道は時代と共に黒曜石・巨石信仰・塩・修験道・秋葉信仰・戦いの道などに使われてきたが,文献調査,現地踏査及び聞き取り調査により,その成立過程とともに浜松市を代表とする遠州と飯田市を代表とする南信州を結ぶ古道の役割についても研究した.その結果,最古の道は兵越峠を越えていたこと,そして,時代が下がるにつれて利用されたルートが低い位置に推移していること,また秋葉古道の役割として,物や人の運搬に関することおよび信仰などのために使われてきたことを明らかにした.
著者
原田 紹臣 藤本 将光 里深 好文 水山 高久 松井 保 武井 千雅子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.102-113, 2023 (Released:2023-05-24)
参考文献数
35

近年,降雨予測や土砂災害発生予測技術に基づいた事前の災害リスクに関する詳細な情報の共有化や発信による災害リスクの軽減が求められている.これらを受けて,筆者らは多種の情報を集約させ,それらを目的に応じて組み合わせてわかりやすく配信する機能を有した枠組み(iHazard map プロジェクト)を提案している.本研究では,メタバース等のデジタル技術(DX)を有効に活用した防災ハザード・マップの高度化を目的に,効果的な運用方法について提案している.なお,一般住民がハザード・マップに求める要求について調査したところ「情報量」よりも「見やすさ」や「使いやすさ」が特に重要視されていることが分かった.さらに,住民への土砂災害に関する説明会において,筆者らが提案する技術を実践的に導入したところ,これらの有効性が確認された.
著者
奥田 昌男 中根 洋治 可児 幸彦 早川 清 松井 保
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.383-393, 2010

中国が源流といわれる版築工法は土の突固めが工法の要であるから,土の突固め技法が渡来人の持込んだ技術であろうと推察し,土の突固め技法を突固め用小型道具の側面から中国の文献に遡って調査した.滋賀県湖東には,地盤を突固めるための道具として,ぐりんさんと呼ばれる地搗石が残されている.このぐりんさんを用いて地盤の突固め実験をした.実験結果から,ぐりんさんを用いて突固めた土工事の歩掛りを推定すると共に,ぐりんさん伝承の背景を文献史学的に調査した.これらの結果,ぐりんさんによる地盤の突固め効果は,近代的な締固め工法による盛土の締固め効果に劣らぬことが判明し,手作業による土工事の歩掛りも推定できた.また,地搗石伝承の文献調査過程において,ぐりんさんが亥の子突き風習と関係ある事と共に,その語源も推察できた.
著者
中根 洋治 奥田 昌男 可児 幸彦 早川 清 松井 保
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.182-194, 2011
被引用文献数
1

本研究の事例に取り上げた矢作川流域のほとんどが花崗岩地帯であり,沖積平野の広範囲に砂が堆積している.近年,住宅や工場・道路などへの利用が多い旧河道や後背湿地では,地震時に堆積砂が液状化し,豪雨時に低湿地が浸水する被害を受けやすい.本研究では,矢作川の旧河道や後背湿地の生成過程と現状を歴史的文献・資料,地盤調査・工事資料,現地踏査などにより把握すると共に,浸水や液状化による災害に対する危険性を検討した.その結果,河床低下により矢作川本川の越水の危険性は減少傾向にあるが,支川の内水排除対策が今後の重要課題であり,また本川や各支川の旧河道及び低湿地における浸水や液状化に対する危険箇所が数多くあることを具体的に明らかにした.さらに,開発に伴う災害危険区域の増加傾向と共に遊水地の必要性も指摘した.
著者
中根 洋治 奥田 昌男 可児 幸彦 早川 清 松井 保
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.182-194, 2011 (Released:2011-06-20)
参考文献数
23
被引用文献数
1

本研究の事例に取り上げた矢作川流域のほとんどが花崗岩地帯であり,沖積平野の広範囲に砂が堆積している.近年,住宅や工場・道路などへの利用が多い旧河道や後背湿地では,地震時に堆積砂が液状化し,豪雨時に低湿地が浸水する被害を受けやすい.本研究では,矢作川の旧河道や後背湿地の生成過程と現状を歴史的文献・資料,地盤調査・工事資料,現地踏査などにより把握すると共に,浸水や液状化による災害に対する危険性を検討した.その結果,河床低下により矢作川本川の越水の危険性は減少傾向にあるが,支川の内水排除対策が今後の重要課題であり,また本川や各支川の旧河道及び低湿地における浸水や液状化に対する危険箇所が数多くあることを具体的に明らかにした.さらに,開発に伴う災害危険区域の増加傾向と共に遊水地の必要性も指摘した.
著者
長谷川 憲孝 松井 保 田中 泰雄 高橋 嘉樹 南部 光広
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集C (ISSN:1880604X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.923-935, 2007 (Released:2007-10-19)
参考文献数
10

神戸空港は神戸港沖に埋立造成して築造されたが,海底地盤には沖積粘土層が厚く堆積している.埋立造成にあたっては,これら沖積粘土層の圧密特性を把握する必要があり,その特性を把握するために事前土質調査と各種計測器による計測を行ってきた.その結果,沖積粘土層は擬似過圧密状態であり,その程度は西~北西域で高いことが明らかとなった.施工の進行に伴って,過圧密比の高いエリアにおいて,室内土質試験結果による解析値よりも大きな沈下実測値が得られ,圧密進行後の間隙比も室内土質試験結果より小さい値を示すことが分かった.このことより,これらエリアにおいては解析を行う際に過圧密比を低減する必要が生じた.見直し後の解析値は,その後の実測値とほぼ一致しており,見直しの妥当性が確認できた.
著者
松村 栄久 三宅 淳史 石田 直 松井 保憲 石川 真也 池上 直行 松倉 規 小阪 真二 玉田 二郎
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.349-355, 1993-06-20
被引用文献数
4 2 1

肺癌における癌性髄膜炎の合併は極めて予後不良とされてきた1今回我々はこれに対しOmmaya reservoirを用いて治療した2症例を経験し,非使用5症例と比較検討を行った10mmaya reservoirを用いMethotrexateの脳室内注入を行った2例(腺癌)では,重篤な意識障害をきたさず,他の合併症が予後を決定した.一方非使用5例(腺癌3例,小細胞癌2例)では全例が短期問に意識障害を来たし,癌性髄膜炎が死因に直結した.癌性髄膜炎の診断後予後はOmmaya reservoir使用2例で各々168日,56日で,非使用5例の9〜21日(平均16日)に比べて延長が認められた.Ommaya reservoirに起因する明らかな合併症は認めなかった.自験7例の癌性髄膜炎の診断時には全例髄膜以外にも転移が生じていた.従って,これらの病巣が落ち清いていれば,Ommaya reservoirを用いた局所的な髄膜播種の治療を積極的に考慮してよいと思われた.
著者
松井 保憲 網谷 良一 久世 文幸 伊藤 春海
出版者
京都大学胸部疾患研究所
雑誌
京都大学胸部疾患研究所紀要
巻号頁・発行日
vol.24, no.1/2, pp.12-33, 1992-03-31

It is widely accepted that the impairment of tracheobronchial clearance (TBC) are closely related to the development and the progression of chronic bronchial infections. We investigated TBC in patients with chronic bronchal infections (bronchiectasis; 11 cases, diffuse panbronchiolitis; 9 cases and primary ciliary dyskinesia; 3 cases) and also in 6 healthy subjects by a radioactive aerosol (^<99m>Tc-human serum albumin, 4.4 ± 1.4μm in diameter) inhalation scintigraphy with cough control in order to elucidate the relationships between impaired TBC and chronic bronchial infections. All subjects were not current smokers. After 4-minutes inhalation of radioactive aerosols (tidal volume : 500ml×20/min.), radioactivities in whole right lung were measured every 20 seconds for 2 hours serially and then measured at the time of 6 and 24 hours after inhalation. Immediately after the serial recording for 2 hours, single photon emission computed tomography (SPECT) was performed to assess the deposition pattern of radioactive aerosols. During the first 2 hours, all the subjects were instructed to avoid coughing as much as possible to evaluate the mucociliary clearance without cough effect. And then the subjects were allowed to cough between 2 and 24 hours after inhalation. All radiation counts were corrected for background radiation and physical decay of ^<99m>Tc. Because it is considered that the deposited aerosols are eliminated much more slowly in alveoli (biological half life : several months) than in airways (biological half life : several hours), the radioactivity remaining at the time of 24 hours was defined as alveolar deposition (ALV). Initial bronchial deposition (Br0) was defined as initial whole lung deposition (L0) minus ALV. We evaluated the TBC with following parameters; 1) Br0/L0 (%) : ratio of initial bronchial deposition to initial lung (bronchial and alveolar) deposition 2) Br2/Br0 (%), Br6/Br0 (%) : bronchial retention ratio; the ratio of bronchial deposition at the time of 2 and 6 hours after inhalation to initial bronchial deposition, respectively. 3) TMV (mm/min.) : tracheal mucus velocity (rate of shift of radioactive bolus on tracheal mucosa), which was measured during the period of first 2 hours under prohibition of cough. The patients (23 cases) were divided into two groups with regards to cough control for the first two hours of the scintigraphy : cough-controlled group (19 cases) and cough-uncontrolled group (4 cases). The cough-controlled group was subdivided into two subgroups (group A and group B) according to Br0/L0 : group A<47.9% (mean+SD of Br0/L0 in healthy control) ≦ group B. More proximal aerosol deposition was demonstrated in group B and cough-uncontrolled group by SPECT. Br2/Br0 was significantly elevated in group A (p<0.05) and group B (p<0.05) despite more proximal aerosol deposition, and also seemed to be elevated in cough-uncon-trolled group, compared to healthy control. Br6/Br0 was, however, almost equal among all disease groups and healthy control, which suggested that cough played an important role in eliminating airway fluid in chronic bronchial infections and that the impaired mucociliary clearance might be partially compensated by the cough effect. TMV was significantly slower in disease groups (14 patients) than in healthy control. In the rest (9 patients) of the patients, any boli for the measurement of TMV were not detected on tracheal mucosa during the serial imaging for the first 2 hours, which also suggested the remarkable impairment of the mucociliary clearance. We concluded that mucociliary clearance was impaired in patients with chronic bronchial infections and cough played very important roles in compensation of the impaired mucociliary clearance. We also concluded that our integrated system was very useful for evaluating the mucociliary clearance and the cough effect separately.