著者
永岡 智之 石田 直樹 中川 祐輔 梶原 伸介
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.1039-1042, 2017-11-30 (Released:2018-09-14)
参考文献数
19

症例1は77歳,女性。認知症のため施設入所中であった。腹痛と嘔吐を主訴に受診し,腹部CTでイレウス像と小腸内にらせん状の低濃度陰影を認めたため,腸重積や腫瘍,異物を疑い手術を施行した。回腸末端より150cm口側腸管を切開すると7cm大の椎茸が陥頓していた。症例2は59歳,男性。腹痛を主訴に受診し,腹部CTでイレウス像と回腸内に不整な低濃度陰影を認めた。椎茸によるイレウスが疑われ,ロングチューブを挿入し保存的加療を行ったところ,約24時間後に排便とともに2cmの椎茸が4片排出された。その後の腹部CTで低濃度陰影の消失とイレウス像の消失を確認した。食餌性イレウスはまれな疾患であり,術前診断が困難なことが多く,手術報告例が多い。今回われわれは,手術治療を行った症例と,保存的に治療可能であった症例をそれぞれ経験したので,文献的考察を加えて報告する。
著者
石田 直
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.12, pp.3484-3489, 2011 (Released:2013-04-11)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

わが国における肺炎の罹患率,死亡率は近年増加傾向を示しており,特に高齢者においてその傾向が著明である.高齢者や要介護者の増加等の社会的背景を反映して,医療・介護関連肺炎という新しい肺炎カテゴリーの概念も生み出されるようなった.肺炎の管理では,原因微生物を考慮した抗菌薬治療が中心となるが,社会的背景も考慮し,緩和的医療も含めた対応が必要になるかもしれない.
著者
荒川 浩久 大澤 多恵子 中野 貴史 堀 穣 荒川 勇喜 川村 和章 宋 文群 中向井 政子 石田 直子 石黒 梓
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.35-42, 2015-01-30 (Released:2018-04-13)
参考文献数
16

歯科診療所におけるフッ化物局所塗布に関する質問紙調査を実施し,244名から回答を得た(回収率14.6%).別の対象で実施した前回調査との比較,ならびに2年5か月前に静岡県歯科医師会会員を対象に実施した同様な調査との比較を行った. フッ化物局所塗布を小児に実施しているのは89.0%,成人および高齢者は52.4%と前回調査ならびに2年5か月前の同様な調査より増加したものの,成人期以降の実施率は低く,乳幼児期から高齢期まで生涯を通じてのフッ化物応用の必要性をさらに周知し,実践していくことが必要である.また,使用している塗布剤の中に,生産中止から3年以上経過しているものやフッ化物配合歯磨剤等があり,院内における医薬品管理の徹底が必要である. 小児へのフッ化物局所塗布の診療報酬の請求方法では,「フッ化物局所塗布の診療費の請求をしない」が59.5%で最も多く,「自由診療として請求する」が43.7%,「う蝕多発傾向者として保険で請求する」が14.0%,「C選療として請求する」が1.9%であり,本保険制度は利用しづらい状況にあった.フッ化物局所塗布のカルテへの記載について「診療費の請求はしない(無料サービス)ので記載しない」が28.4%あったが,医療行為であるため,カルテにその内容を記載することは必須である. 平成26年4月からう蝕多発傾向者の基準が半分以下に改正されたことから,今後の利用増加が期待される.
著者
石田 直
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.11, pp.2990-2997, 2013-11-10 (Released:2014-11-10)
参考文献数
14

現在,日本では,高齢者における肺炎の罹病率,死亡率が増加しており,これを背景として医療・介護関連肺炎という新しい疾患概念も生まれている.高齢者の肺炎は,非典型的な症状や所見を呈することが多く,また,誤嚥が大きな要素となっている.高齢者肺炎の原因微生物は,若年者に比して多様であり,薬剤耐性菌の頻度が高くなるが,検出菌が真の原因菌であるかを検討しなければいけない.高齢者肺炎の治療は,患者の医学的および社会的背景ならびに薬剤耐性菌のリスクを考慮して原因微生物を想定し抗菌薬を選択するが,過剰な治療にならぬよう,用量や薬剤併用に留意する必要がある.また,補液,栄養管理,呼吸管理等,抗菌薬治療以外の治療にも留意する必要がある.高齢者肺炎の中には,末期肺炎,老衰としての肺炎,嚥下機能廃絶例も含まれ,これらに対してどのように対処していくか,社会的なコンセンサス作りも必要である.
著者
永田 紘樹 小松 俊文 シュリージン ボリス 石田 直人 佐藤 正
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.121, no.2, pp.59-69, 2015-02-15 (Released:2015-05-19)
参考文献数
74
被引用文献数
2 2

島根県西部に分布する下部ジュラ系樋口層群の調査を行い,樋口層群を新たに下位より尾路地谷層と樋口谷層に区分した.尾路地谷層は,礫岩,砂岩,泥岩からなり,二枚貝化石のOxytoma sp.や“Pleuromya” sp.を産出する.樋口谷層は,軟体動物化石を含む暗灰色泥岩を主体とする.樋口谷層からは,6属6種の二枚貝化石,Kolymonectes staeschei,Palmoxytoma cygnipes,Ryderia texturata,Pseudomytiloides matsumotoi,Oxytoma sp., “Pleuromya” sp.が産出する.本層群の二枚貝化石群は,ロシアやカナダ北部に分布する下部ジュラ系から産する北方系のフォーナであるK. staescheiやP. cygnipesを含み,典型的なテチス系の種を含まない特徴がある.
著者
石田 直
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.245-249, 2011-12-28 (Released:2016-07-05)
参考文献数
16

肺炎は高齢者における主要な死因の一つであり,肺炎球菌は高齢者肺炎の最も多い原因菌である.23価の肺炎球菌多糖体ワクチンは,高齢者の侵襲的な肺炎球菌による感染症リスクを減少させ,死亡率を低下させることが内外の検討で報告されている.現在,日本での高齢者の接種率は欧米に比してきわめて低く,これを向上させるためには,医療者および国民への啓蒙と自治体の公費負担制度の導入が必要である.
著者
石田 直人 吉安 裕
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲. ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.55-68, 2004-06-25

ナベブタムシAphelocheirus vittatusとトゲナベブタムシA.nawaeの生活環を前者は京都市の鴨川(賀茂川)で,後者は兵庫県三田市の武庫川での野外調査と京都市下鴨での飼育実験に基づいて考察した.ナベブタムシは調査河川の中流域では1年で1世代であるが,上流域では2年で1世代と考えられる.トゲナベブタムシも武庫川(中流域)では1年で1世代と推定される.両種とも成虫の寿命は少なくとも1年はあり,雌成虫は春期〜初秋に産卵すると思われる.ナベブタムシを長日(15時間照明9時間暗期)の3温度区で飼育し,卵から羽化までの発育所要日数から算出した有効積算温量は1,789日度(発育零点:10.2℃)で,トゲナベブタムシの長日4温度区での飼育結果から算出したそれは2,000日度(発育零点:8.2℃)であった.この2種の生活環は類似していた.また,本研究における2種の調査地の環境は,基本的に底質が中礫を含む砂質および細礫の河川で,pH値が7-10の溶存酸素が多く,流れが比較的速い場所であり,この2種の生息環境に顕著な違いはみいだせなかった.それらの地点には水生植物が生育し,ナベブタムシ類の餌となる他の底生無脊椎動物も豊富であった.
著者
石田 直人
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.113, no.3, pp.83-94, 2007 (Released:2007-10-16)
参考文献数
33
被引用文献数
3 2

九州西部,五木北部地域の黒瀬川帯に分布する整然相砕屑岩類において,上部三畳系の上位を覆う下部ジュラ系が見出された.研究地域の上部三畳系は二枚貝化石によりCarnian階とされており,坂本地域の松求麻層に対比される.三畳系の上位を覆うジュラ系は,放散虫化石に基づくとHettangian階を含む可能性が高い.本研究ではこの下部ジュラ系を平沢津谷層と命名した.平沢津谷層は下部の粗粒砂岩厚層を主とする部分と上部の黒色泥岩を主とする部分から構成される.松求麻層と平沢津谷層の境界には上部三畳系Norian階およびRhaetian階の欠如が認められ,また境界を介して上下の地層の姿勢には差がないことから,三畳系-ジュラ系境界の関係は平行不整合と判断される.
著者
石田 直也 二階堂 泰隆 浦上 英之 黒田 健司 冨岡 正雄 佐浦 隆一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.753-757, 2021 (Released:2021-10-20)
参考文献数
30

〔目的〕異なる速度条件での歩行分析から歩行障害の原因を推測し,前庭リハビリテーションを行った結果を報告する.〔対象と方法〕対象は54歳男性の多系統萎縮症(MSA-C)患者である.異なる速度条件(至適・高速・低速)で歩行分析を行ったところ,低速度条件で歩行変動が増大したため,小脳片葉小節葉の病変による平衡機能障害が歩行障害の原因と判断し,前庭リハビリテーションを9日間実施した.〔結果〕重心動揺検査とFunctional Gait Assessmentの成績が向上し,治療前に観察された低速歩行時の歩行変動が減少した.〔結語〕MSA-C患者に対して歩行変動の速度依存性に着目し,前庭リハビリテーションを行うことで歩行不安定性の改善につながった.
著者
勝木 将人 成田 徳雄 松森 保彦 石田 直也 渡邊 大海 蔡 嗣錡 冨永 悌二
出版者
The Japanese Society for Kampo Medicine and Neurological Surgery
雑誌
脳神経外科と漢方 (ISSN:21895562)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.1-7, 2022-07-30 (Released:2022-09-26)
参考文献数
31

一次性頭痛に対する急性期治療薬としての漢方薬の有用性を,自験例をもとに検討した。緊張型頭痛223例には葛根湯を,前兆を伴うもしくは伴わない片頭痛93例には呉茱萸湯を,天候に関連するもしくは水毒を伴う片頭痛71例には五苓散をそれぞれ頓用で処方し,1週間後に症状の改善の有無を尋ねた。それぞれ約90%の患者において症状の改善を認めた。非ステロイド性消炎鎮痛剤を処方した162例と症状改善率に有意差はなかった。
著者
石田 直
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.11, pp.2729-2734, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
10

抗菌薬の投与期間は感染症の種類や原因菌別に大体定まっているが,必ずしもエビデンスに基づいたものではない.尿路感染症,敗血症,肺炎について投与期間に関する文献上のエビデンスや内外でのガイドラインでの推奨を挙げてみた.各種の炎症性パラメーターについては,その特徴を理解したうえで使用すれば効果判定に有用であり,治療終了の補助的な目安となるかもしれない.
著者
倉見谷 航洋 須田 雄太 長田 昂大 石田 直輝 佐藤 恒司 関口 雄平 小坂 英男
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集 72.1 (ISSN:21890803)
巻号頁・発行日
pp.707, 2017 (Released:2018-04-19)

(修1年)量子情報処理の実現へ向けた基礎的取り組みとして、我々はダイヤモンド中の窒素-空孔(NV)中心の電子スピンおよび近傍の核スピンを用いて、光子の偏光状態の保存、読み出しが可能な量子メモリーの開発を行っている。このスキームにおいては電子、核子のスピン状態の磁気共鳴によるコヒーレントなダイナミクスが制御の根幹を担っており、ゆえに制御に最適化された振動磁場パルスを生成することが非常に重要である。本研究では、GRAPE(Gradient Ascent Pulse Engineering)アルゴリズムを用いて制御に対する最適な変調波形を計算し、制御精度の向上を図った。
著者
石田 直子 石榑 清 加藤 公一 林 直美 平井 敦 福山 隆一
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.71, no.10, pp.2588-2591, 2010 (Released:2011-04-25)
参考文献数
7
被引用文献数
1 2

症例は68歳,男性.嘔吐,腹部膨満感を主訴に受診.画像検査で著明な胃拡張を認めた.経鼻胃管で減圧をはかったが,まもなく急激な腹痛を訴え腹膜刺激症状が出現した.再度の画像検査で多量の腹腔内遊離ガス像と腹水が認められ,上部消化管穿孔の診断の下緊急手術を施行した.胃体部に裂創を認め,腹腔内は食物残渣で広範に汚染されていた.裂創部を含む胃部分切除と腹腔洗浄ドレナージを行った.術後ショック状態に陥り集中治療を要した.胃の過膨張に伴い破裂が生じた本症例は,発症直後から腹腔内が広範に汚染され重篤な汎発性腹膜炎に陥ったが早期手術施行により救命することができた.
著者
太田 亨 今井 智文 石田 直人 坂 幸恭
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.118, no.9, pp.588-593, 2012
被引用文献数
2

This study re-examines the depositional age, lithostratigraphy, and distribution of Mesozoic sedimentary formations in the section of the Kurosegawa Belt that outcrops in the Toba area, eastern Shima Peninsula, Mie Prefecture, Japan. In this area, Mesozoic successions are divided into the Jurassic Shiranezaki Formation and the Cretaceous Matsuo Group. We collected Bajocian and Callovian–Oxfordian age radiolarians from the Shiranezaki Formation and Valanginian–Barremian age radiolarians from the Matsuo Group. The lithology and age constraints provided by these collected radiolarians suggest that part of the previously defined Matsuo Group actually forms part of the Shiranezaki Formation, with this formation being stratigraphically overlain by the Matsuo Group across a disconformity.
著者
内田 康之 石田 直也 杉本 実夏 梅森 友賢 鎌田 健福 平沼 満紀 青木 岳史
出版者
公益社団法人 日本設計工学会
雑誌
設計工学 (ISSN:09192948)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.309-322, 2019 (Released:2019-05-05)
参考文献数
33

When terrorism occurred at tunnel of the underground, the police and Japan Self Defense Forces have to scout in the tunnel while confirming the safety in the tunnel. It’s said that they need the robot which does such dangerous work for the unit. So we have been developing the information gathering robot which can travel on the railway track of the underground, the station premises and the ground. This robot has a bogie wheel mechanism to pass easily a gap and a curve of a rail. In this report, we describe the design concept and the design process of the locomotion mechanism of this robot. And we consider the driving performance of it on the imitation railway track.
著者
山崎 泰司 瀬川 信博 石田 直之 鈴木 崇伸
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.5_55-5_68, 2012 (Released:2012-11-07)
参考文献数
15

本論文は、東日本大震災に際し、日本電信電話株式会社における電気通信土木設備の被災状況を報告するとともに、被災状況の傾向分析により、これまで実施してきた耐震対策の有効性を確認したものである。阪神淡路大震災と比較した場合、津波被害を除く地震動及び路面変状等による被災率は、東日本大震災の方が低い傾向にあることが確認できた。また、今後予想される首都直下型地震、東海・東南海・南海地震を想定した耐震対策については、公開されている地盤情報に基づき被災しやすい箇所を想定することが可能であることが確認できた。
著者
石黒 梓 川村 和章 石田 直子 神谷 美也子 中向井 政子 晴佐久 悟 田浦 勝彦 広川 晃司 串田 守 荒川 勇喜 田中 元女 鈴木 幸江 荒川 浩久
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.190-195, 2017 (Released:2017-08-08)
参考文献数
22

健康日本21(第2次)に歯・口腔の健康目標が示され,歯・口腔の健康が健康寿命の延伸と健康格差の縮小に寄与することが期待されている.学校保健教育は生涯を通じた口腔保健の取り組みの土台をなすものである. 本研究では,今後の子どもたちの保健教育の改善を目的に,平成28年度に使用されている小学校から高等学校の学習指導要領,学習指導要領解説および学校で使用されているすべての保健学習用教科書を資料に,口腔関連の記載内容を調査し,「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」の歯科疾患の予防計画の学齢期の内容と照合した. 小学校では大半が「むし歯」と「歯周病」に関する原因と予防について記載されていたが,フッ化物応用,シーラント,定期的な歯科検診の記載はほとんどなかった.中学校では「むし歯」と「歯周病」の記載はほとんどなく,「口腔がん」や「歯と栄養素」,水道法基準として「フッ素」の記載に変化していた.高等学校になると「むし歯」に関する記載はまったくなく,「歯周病」や「口腔がん」の記載が中心であったが,歯口清掃に関する記載はなかった. 現在の小・中学校および高等学校で使用されている保健学習用教科書は,「歯科口腔保健の推進に関する基本事項」の学齢期に示されている保健指導,う蝕予防,歯周病予防に関連する記載内容は不十分であり,学習指導要領を見直すとともに,子どもの発達に応じた表現で収載することを提言する.
著者
亀高 正男 菅森 義晃 石田 直人 松井 和夫 岸本 弘樹 梅田 孝行 東 篤義 山根 博 杉森 辰次 魚住 誠司 永田 高弘 松場 康二 桑島 靖枝 岩森 暁如 金谷 賢生
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.125, no.11, pp.793-820, 2019-11-15 (Released:2020-03-26)
参考文献数
152
被引用文献数
1

舞鶴-小浜地域の5万分の1精度の地質図を新たに作成し,上林川断層の破砕帯の観察結果などと合わせて,超丹波帯と丹波帯の地質構造発達史を検討した.超丹波帯は後期ペルム紀〜三畳紀(?)付加体の上月層・大飯層・氷上層に,丹波帯はジュラ紀付加体の周山・雲ヶ畑・灰屋・鶴ヶ岡・由良川の5つのコンプレックスと古屋層に区分される.これらの地質体は衝上断層によって境され,大局的には北に向かって構造的上位かつ古い地質体が分布するパイルナップ構造を形成している.超丹波帯および丹波帯は東西~北西-南東走向で西〜北西に傾斜した軸を持つ半波長数kmの褶曲構造を形成している.この褶曲構造を切って北東-南西方向に,左横ずれカタクレーサイト帯を伴う地質断層としての上林川断層が延びている.活断層としての上林川断層は右横ずれ成分が卓越し,より古い地質断層の一部が横ずれインバージョンによって再活動していることが判明した.