著者
松本 由美
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.79-90, 2011-03-20

本稿の目的は,20世紀前半にフランスで生じた医療保障をめぐる変化を,戦争の影響に着目しながら明らかにすることである。歴史的に眺めると,フランスにおける医療保障の制度的な枠組みは,共済組合による相互扶助から第一次世界大戦を経て医療保険へと変化した。さらに第二次世界大戦後には新たに創設された一般制度のもとでの医療保険が成立した。このような医療保障制度の変容を捉えるために,本稿では,フランスの医療保障に関して歴史的に重要な役割を担ってきた共済組合と医師組合の動向に焦点を当てて検討を行った。本稿での考察を通じて,医療保険に関しては,第二次世界大戦前後において重要な不連続性があること,および両世界大戦の経験が二つの医療保険創設の時期と不連続性の形成に少なからぬ影響を与えたことが明らかとなった。
著者
松本 由美 大友 美奈
雑誌
玉川大学教育学部紀要 (ISSN:13483331)
巻号頁・発行日
no.2019, pp.69-87, 2020-03-31

小学校3年生国語科で日本語の音韻構造のため指導される訓令式ローマ字は,アルファベット文字の導入として外国語(英語)活動にも資するが,一方で英語の表音と一致しないローマ字の表音や,子音時に必ず母音時を付加することが,英語らしい発音を阻害することもある。そこで,ローマ字指導の利点を生かしつつ,発音の弊害を解消する指導案を提案して英語活動の一助としたい。
著者
東條 友紀子 山田 深 門馬 博 前田 直 石田 幸平 松本 由美 栗田 浩樹 西山 和利 岡島 康友 山口 芳裕
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.B1137, 2008 (Released:2008-05-13)

【はじめに】 当院は2006年5月に脳卒中センターを開設し、初期治療と平行して発症早期からのリハビリテーション(以下、リハビリ)を積極的に行う脳卒中ユニットケアの実践に取り組んでいる。診療チームにおける理学療法士の重要な役割の一つとして、患者のADLに関する予後を早い段階から見通し、介入方針を決定することが求められるが、急性期からの予後予測モデルに確立されたものはない。今回、入院時の重症度から群分けを行い、退院時のADLを予測する方法を検討したので報告する。【対象】 2006年5月から2007年6月までに当センターに入院しリハビリを行った脳卒中患者のうち、死亡退院および入院期間が1週間以内であったものを除く332名(平均年齢71.8±12.6歳、男性196名、女性136名、平均在院日数29.7±19.2日、リハビリ開始まで平均1.45±1.36日)。【方法】診療データベースを参照し、患者の年齢、入院時NIHSS、入退院時FIM、リハビリ開始までの日数、在院日数、転帰先を後方視的に調査した。対象を入院時NIHSSによって軽症例群(6点以下)、中等症群(7点以上14点未満)、重症例群(15点以上)の3群に分け,それぞれの調査項目を比較した。群間比較については一元配置分散分析を用い、有意水準を5%とした。【結果】 軽症例群、中等症、重症例群における平均在院日数はそれぞれ23.2±15.7、37.0±19.0、40.0±19.0日であり、軽症例群と中等症群間に有意差が認められた。FIM運動項目合計点はそれぞれ76.0±20.0、43.0±26.0、27.0±23.0点、認知項目合計点は31.6±6.0、22.0±11.0、13.0±9.4点で、いずれの得点も各群間で有意差が認められた。退院時FIM合計得点から入院時FIM合計得点を引いた差分(FIM利得)は各群で30.5±19.8、26.0±26.0、16.0±24.0点であり、重症例群は他の2群と比べ有意に低値であった。自宅退院率はそれぞれ61.5%、9.4%、10.1%であり、回復期リハビリ病院への転院は30.8%、54.7%、33.3%であった。【考察】 軽症例は入院期間においてほぼADLの自立が得られるが、リハビリの継続が必要となるものも少なからず存在することが示された。一方で重症例はリハビリ介入によるADLの改善が限られており、自宅への退院が困難であった。入院時NIHSSは退院時のADLや転帰先を予測する上で有用な指標になりうると考えられる。NIHSS得点とFIMの関係はこれまでにも報告がなされているが、大都市圏における急性期脳卒中ユニットとしての特性を踏まえた予後予測モデルとしての有用性が示唆された。