著者
園田 茂 榊原 美紀 森 光代 山本 純子 岡島 康友 千野 直一
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.9, pp.641-644, 1998-09-18
被引用文献数
2

サウンドスペースプロセッサRSS-10を用いたヘッドフォン方式の音方向覚検査の信頼性を検討した. 15名の難聴でない健常被験者を対象に, ホワイトノイズ(WN)および女声(FV)を正面と, 左右に30度, 60度, 90度の計7点より3回ずつ呈示した. 音は全試行とも方向覚を持って聞こえ, 平均正答率62%, 呈示音と回答とのずれの角度は5〜18度, 平均12度(SD=9) (WN), 1〜19度, 平均11度(SD=8) (FV)であった. WNを左から右, 右から左に被験者の前を通るように約10秒で移動させ, 正中を通過したと感じられる時点の位置の平均はそれぞれ正面から-11.1度(SD=8.0), 3.4度(SD=7.5)であった. RSS-10を用いた音方向覚検査は再現性が高く, 臨床上有用と考えられた.
著者
藤原 俊之 園田 茂 三田 しず子 岡島 康友 木村 彰男 千野 直一
出版者
社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.253-258, 2001-04-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
16
被引用文献数
4 5

Functional Assessment Measure (FAM)日本語版を外傷性脳損傷(TBI)患者に用い,Short Behavior Scale (SBS), Mini-Mental State Examination (MMSE), Disability Rating Scale (DRS)との比較を行った.またFAMを用いて,脳血管障害患者とのADL構造の比較を行った.FAM合計点とSBS,MMSE,DRS得点とは統計学的に.有意な相関を認めた.また項目別自立度の検討ではTBI群では特に脳血管障害(CVD)群と比較して,問題解決,記憶,見当識,注意,安全確認の項目での自立度が低く,いわゆる認知機能の障害がADLに強い影響を与えていることが客観的に明らかとなった.FAMはTBI患者の能力低下の評価法として有用と考えられた.
著者
藤原 俊之 園田 茂 三田 しず子 岡島 康友 木村 彰男 千野 直一
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.253-258, 2001-04-18
参考文献数
15
被引用文献数
2

Functional Assessment Measure (FAM)日本語版を外傷性脳損傷(TBI)患者に用い,Short Behavior Scale (SBS), Mini-Mental State Examination (MMSE), Disability Rating Scale (DRS)との比較を行った.またFAMを用いて,脳血管障害患者とのADL構造の比較を行った.FAM合計点とSBS, MMSE, DRS得点とは統計学的に有意な相関を認めた.また項目別自立度の検討ではTBI群では特に脳血管障害(CVD)群と比較して,問題解決,記憶,見当識,注意,安全確認の項目での自立度が低く,いわゆる認知機能の障害がADLに強い影響を与えていることが客観的に明らかとなった.FAMはTBI患者の能力低下の評価法として有用と考えられた.(リハ医学 2001;38:253-258)
著者
東條 友紀子 山田 深 門馬 博 前田 直 石田 幸平 松本 由美 栗田 浩樹 西山 和利 岡島 康友 山口 芳裕
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.B1137, 2008 (Released:2008-05-13)

【はじめに】 当院は2006年5月に脳卒中センターを開設し、初期治療と平行して発症早期からのリハビリテーション(以下、リハビリ)を積極的に行う脳卒中ユニットケアの実践に取り組んでいる。診療チームにおける理学療法士の重要な役割の一つとして、患者のADLに関する予後を早い段階から見通し、介入方針を決定することが求められるが、急性期からの予後予測モデルに確立されたものはない。今回、入院時の重症度から群分けを行い、退院時のADLを予測する方法を検討したので報告する。【対象】 2006年5月から2007年6月までに当センターに入院しリハビリを行った脳卒中患者のうち、死亡退院および入院期間が1週間以内であったものを除く332名(平均年齢71.8±12.6歳、男性196名、女性136名、平均在院日数29.7±19.2日、リハビリ開始まで平均1.45±1.36日)。【方法】診療データベースを参照し、患者の年齢、入院時NIHSS、入退院時FIM、リハビリ開始までの日数、在院日数、転帰先を後方視的に調査した。対象を入院時NIHSSによって軽症例群(6点以下)、中等症群(7点以上14点未満)、重症例群(15点以上)の3群に分け,それぞれの調査項目を比較した。群間比較については一元配置分散分析を用い、有意水準を5%とした。【結果】 軽症例群、中等症、重症例群における平均在院日数はそれぞれ23.2±15.7、37.0±19.0、40.0±19.0日であり、軽症例群と中等症群間に有意差が認められた。FIM運動項目合計点はそれぞれ76.0±20.0、43.0±26.0、27.0±23.0点、認知項目合計点は31.6±6.0、22.0±11.0、13.0±9.4点で、いずれの得点も各群間で有意差が認められた。退院時FIM合計得点から入院時FIM合計得点を引いた差分(FIM利得)は各群で30.5±19.8、26.0±26.0、16.0±24.0点であり、重症例群は他の2群と比べ有意に低値であった。自宅退院率はそれぞれ61.5%、9.4%、10.1%であり、回復期リハビリ病院への転院は30.8%、54.7%、33.3%であった。【考察】 軽症例は入院期間においてほぼADLの自立が得られるが、リハビリの継続が必要となるものも少なからず存在することが示された。一方で重症例はリハビリ介入によるADLの改善が限られており、自宅への退院が困難であった。入院時NIHSSは退院時のADLや転帰先を予測する上で有用な指標になりうると考えられる。NIHSS得点とFIMの関係はこれまでにも報告がなされているが、大都市圏における急性期脳卒中ユニットとしての特性を踏まえた予後予測モデルとしての有用性が示唆された。
著者
岡島 康友 原田 貴子
出版者
杏林大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究では、書字運動を特徴づける三次元運動解析パラメータを探索し、右利きの軽症の右片麻痺者6例と右利き健常者10例を対象に、左右の手による書字運動特性を解析するとともに、麻痺による書字運動の変化を検討した。左右の手で1.2,6,15cm角の3種類の大きさの平仮名「ふ」を、初めに各人の自由な書体で、次に楷書体手本をなぞらせた。評点をペン先、示指MP関節位、橈骨遠位端の3ヶ所において三次元座標からオフラインにて、書字時間、書字軌跡長、各点の運動半径、そしてその運動半径比を計算した。運動半径比とはペン先の運動半径を1とした時の他の2つの評点における運動半径比で、手や腕を固定してペン先の動きだけで書字がなされれば0に近くなり、反対にペン先と手全体が一塊となった動きでは1に近い値を示す指標である。健常者の自由書字では字体が大きくなるほどペン先は速くなり、書字時間を一定にする傾向を認めた。利き手書字の習熟性の反映と解釈できた。加速度や躍度あるいは文字軌跡長/文字半径といった書字運動や文字を構成する線のスムースさを反映するパラメータの一部で、感覚障害のある麻痺手による書字の稚拙さを示すことができた。健常者の書字運動半径比の結果で、字が大きくなるほど評点は一塊となって動くが、その一塊性は右手より左手で顕著となった。一方、右不全片麻痺者において、感覚が正常であれば健常者の右書字と同じ運動半径比の特性を認めたが、感覚障害があると小さな字でも一塊の動きになることが示された。つまり、麻痺があっても、感覚障害がなければ、書字速度は遅くなるにもかかわらず運動半径に示される利き手の習熟書字の運動特性は保たれることがわかった。巧緻運動の特徴の1つとして、身体各部の運動の独立性をあげることができるが、本研究の示す運動半径比はまさに、そういった独立性・分離性を示すパラメータといえる。