著者
松永 明
出版者
鹿児島大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

水素ガスが細胞毒性の高い活性酸素種であるヒロドキシルラジカルを選択的に消去し、虚血再灌流障害を抑制することが確認され、ラットの中大脳動脈閉塞による局所脳虚血再灌流モデルにおいては、2%の水素ガス吸入が脳梗塞の範囲を縮小し、神経学的予後を改善させることが報告されている。水素ガス吸入が心肺停止からの救命率の向上、および蘇生後脳症の発症の予防に有効かどうかを確認するために、ミニブタを用いた心肺停止モデルを作成し、水素ガス吸入が救命率向上および神経学的予後改善に寄与するかどうか検討を行った。気管挿管による全身麻酔下に心室細動による3分間の心肺停止を行い、1) 水素吸入群は除細動による蘇生開始後より100%酸素ガスに2%水素ガスを混合したガスを1時間吸入、2) 対照群は除細動による蘇生開始後より100%酸素ガスを1時間吸入した。水素吸入群と対照群において3分間の心室細動後の自己心拍回復率および蘇生後の血行動態に差を認めなかった。また、蘇生後の神経学的予後改善に水素吸入が影響を与えるかどうかは検討できなかった。幾つかの論文では水素ガス吸入による虚血再灌流後の臓器保護効果を認めているが、我々のミニブタを用いた心肺停止モデルにおいては、水素ガス吸入による救命率の向上は確認できなかった。また、水素ガス吸入による蘇生後の脳神経保護効果は検討できなかった。今後、心肺停止時間の異なるミニブタモデルを作成し、水素吸入が心肺停止からの救命率向上に貢献するか、また、蘇生後脳症を軽減させるかどうかさらに検討を重ねていきたい。
著者
水上 裕造 松永 明子
出版者
日本茶業学会
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.114, pp.114_21-114_28, 2012-12-31 (Released:2015-10-30)
参考文献数
10
被引用文献数
1

‘そうふう’の煎茶の香りには1-octen-3-one,linalool,3-methylnonane-2,4-dione,β-damascenone,(Z)-methyl jasmonateが強く影響した。FDfの指数を算出し,匂いの性質で分類してアロマプロファイルを作成したところ,‘そうふう’は‘やぶきた’に比べ,果実様の匂いと花様の匂いが強く, 中でもmethyl anthranilateと(Z)-methyl jasmonateの影響を受けることがわかった。一方,‘やぶきた’の煎茶の香りは,(Z)-1,5-octadien-3-one,4-mercaptomethyl-pentanone,linalool,(E,E)-2,4-nonadienal, 3-methylnonane-2,4-dione, β-damascenoneの6成分が強く影響することが考えられた。
著者
松永 明信 山本 敦 水上 英一
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.408-412_1, 1988-12-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
19
被引用文献数
4

間接吸光度検出イオンクロマトグラフィーによる食品中のフィチン酸 (PA) の分析法を確立した. 分析カラムには Shim-pack IC-Al, 溶離液にはナフタレン-1, 3, 6-トリスルホン酸塩 (pH 5.5) を用い, PAの溶出を295nmで検出した. なお試料は0.6N塩酸で抽出し, 中和した後, 陰イオン交換樹脂カラム (AG1-X4) に負荷した. 0.2N塩化ナトリウム, 水で洗浄した後, 2N塩酸でPAを溶出させ, 減圧乾固して塩酸を除去した. これを水に溶解し, 0.45μmのフィルターでろ過して試験溶液を調製し, 測定に供した. 大豆, 押麦, 小麦粉にPAを添加して回収実験を行ったところ, 回収率は93.0~98.3%であり, また定量限界は0.05g/kgであった. 各種食品中のPA含有量を測定したところ, 米ぬかの値が特に高く, 72.4~87.0g/kgであった.
著者
山本 敦 斎藤 行雄 松永 明信 牧野 正雄
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.36-41_1, 1987

くん製品中の酸化防止剤 (BHA, BHT) をガスクロマトグラフィー (GC) で分析する際, 共存物質により分析の妨害を受けることがある. 今回これらの物質の単離と構造決定を行った. いかくん製品からの抽出物は分取クロマトグラフィーにより, 妨害物質としての3つの化合物を単離することができた. これらはGC/MS, NMRの結果, 2,6-dimethoxyphenol 及びその同族体であることが判明した. これらの化合物はくん製品中に香気成分として含まれるものであり, GCでくん製品中の酸化防止剤を分析する場合には十分注意を要する.
著者
松永 明
出版者
長崎大学
雑誌
經營と經濟 : 長崎工業經營専門學校大東亞經濟研究所年報 (ISSN:02869101)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.177-198, 2004-09-27

Recently many efforts have been done to establish criteria for analyzing legal policy making in the academic field of Law and Economics. In this paper, first, I briefly analyze the thesis of Louis Kaplow & Steven Shavell 『Fairness versus Welfare』 (Harvard University Press (2002)) and demonstrate what criteria should be applied in evaluating legal policy making. And, I conclude the effectiveness of the view that policy making should be based exclusively on the effects of the 'Welfare' or 'aggregation of individuals' well-beings' but should not depend on the notions of 'Fairness' or 'Justice'. Then, I utilize framework of this thesis and evaluate the eligibility of free service in the Public Libraries. Public Libraries are now facing increasing demand for business database and quick reference service, and are considering whether they should charge fees to such 'special' services. I discuss this issue based on the criteria of 'Welfare,' which is traditional rationale of free service of public libraries, and conclude that charging fee will be able to be justified if and only if such services are 'special' and not ordinary services. However, it is quite difficult to divide which services are defined as 'special'.