著者
水上 裕造 山口 優一
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
no.116, pp.23-32, 2013 (Released:2014-04-25)
著者
吉田 充 三好 恵子 堀端 薫 水上 裕造 竹中 真紀子 安井 明美
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.11, pp.525-530, 2011-11-15 (Released:2011-12-31)
参考文献数
14
被引用文献数
12 13

日本人の主食である炊飯米からのアクリルアミド摂取寄与を推定するために,炊飯米に関して臭素化誘導体化GC-MS法による低濃度での定量分析法を確立し,アクリルアミドの測定を行った.本分析法の玄米おけるLOQは0.20 μg/kg,LODは0.09 μg/kg,発芽玄米では,LOQは0.17 μg/kg,LODは0.07 μg/kg,精白米では,0.14 μg/kg,LODは0.06 μg/kgであった.2種類の家庭用炊飯装置で炊飯を行った結果,米に生じたアクリルアミドの濃度は,発芽玄米,玄米,精白米の順であった.IH真空圧力炊き炊飯器の1機種を用いた炊飯ではいずれの米の場合も,電子ジャー炊飯器の1機種を用いた炊飯よりもアクリルアミド濃度は低く,業務用炊飯装置の1機種による炊飯ではさらにアクリルアミド濃度は低かった.この炊飯器の違いによるアクリルアミド濃度の差は,炊飯時の温度履歴の違いと高温になる鍋肌の材質の違いによると考えられた.本測定結果を日本人の炊飯米の摂取量と合わせて考えると,他の食品を含めたアクリルアミドの摂取量全体に対して,炊飯した精白米からのアクリルアミド摂取の寄与は小さいことが確認された.玄米および発芽玄米についても,IH真空圧力炊き炊飯器や業務用炊飯器で炊飯すれば,アクリルアミド摂取に対する寄与率は小さいが,焦げを生じさせるとその寄与はアクリルアミドの摂取源の一つとして無視できないものとなり得る.
著者
水上 裕造
出版者
日本茶業学会
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.2019, no.127, pp.19-25, 2019-06-30 (Released:2021-07-01)
参考文献数
22
被引用文献数
1

本研究は熟度の進行による香りの変化を明らかにすることを目的として行った。生葉に含まれる香気成分は製茶工程を経ると著しく変化することが予想されたため,生葉から直接香りを抽出し,分析に用いた。生葉から抽出した香気エキスを解析したところ,hexanal,(Z)-3-hexenal,(Z)-1,5-octadien-3-one,(Z)-3-hexenol,2-isopropyl-3-methoxypyrazine,2-isobutyl-3-methoxypyrazineの6成分は熟度の進行により増加し,高いFDファクターで検出された。従って,これらの成分はこわ葉臭等の香りに関与することが考えられた。一方,熟度の進行によりcoumarinとvanillinは減少し,これらは甘い香りがあることから,若芽の持つ甘い香りに関与していることが考えられた。
著者
水上 裕造
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.110-120, 2015-03-25 (Released:2019-02-20)
参考文献数
37
被引用文献数
2 2

緑茶の嗜好性は香りにあると言っていいほど,香りは緑茶の嗜好を左右する重要な要素である.緑茶の香りは実に多様性に富み,品種,地域,栽培,加工で全く異なる.ここでは,近年発展した茶の香りの分析から,中国緑茶,煎茶,釜炒り茶の香りの特徴,さらに,香りに特徴ある品種,地域で異なる香り,チャの生葉の香り,そして最後に焙煎で変化する煎茶の香りについて紹介する.2015年現在,分析技術を駆使して研究者が明らかにしたことは,緑茶の多様性から見るとほんの一握りである.今後も分析を通じて,五千年の歴史を持つ茶の本来の魅力が解明されれば,より身近に茶を感じるようになるだろう.
著者
水上 裕造 山口 優一
出版者
日本茶業学会
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.107, pp.107_81-107_84, 2009-06-30 (Released:2011-12-09)
参考文献数
7
被引用文献数
9 1

This research aims to identify key odorants in withering-flavored green tea. Application of the aroma extract dilution analysis using the volatile fraction of green tea and withering-flavored green tea revealed 25 and 35 odor-active peaks with the flavor dilution factors of≥4, respectively. 4-mercapto-4-methylpentan-2-one, (E)-2-nonenal, linalool, (E,Z)-2,6-nonadienal and 3-methylnonane-2,4-dione were key odorants in green tea with the flavor dilution factor of≥16. As well as these 5 odorants, 1-octen-3-one, β-damascenone, geraniol, β-ionone, (Z)-methyljasmonate, indole and coumarine contributed to the withering flavor of green tea.
著者
高木 和子 山崎 和幸 水上 裕造 早川 文代 何 方 平松 優
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.7, pp.230-235, 2020-07-15 (Released:2020-07-29)
参考文献数
19

本研究では,加熱殺菌工程が異なる各種牛乳(LTLT牛乳,HTST牛乳,UHT牛乳)をホットミルク(50~60℃程度)の状態にし,熱履歴の違いが風味特性に与える影響を官能評価で調べた.その結果,工程での熱履歴の低いLTLT牛乳およびHTST牛乳はホットミルクにしても生乳に近い風味で,「生乳感」「乳の自然な風味」「すっきり感・さっぱり感」が強く,「加熱臭」が弱いことが確認された.さらに同地域,同工場で同時期に製造されたLTLT牛乳UHT牛乳から香気エキスを抽出,GC-MSおよびGC-O(におい嗅ぎ)に供し,各牛乳の特徴的香気成分をAEDA(希釈分析法)で明らかにした.そして,LTLT牛乳の特徴的香気成分trans-4,5-epoxy-(E)-2-decenal,UHT牛乳の特徴的香気成分sotolonの牛乳への添加試験を行い,LTLT牛乳の風味特徴にフルーティで甘い香気成分trans-4,5-epoxy-(E)-2-decenalが,UHT牛乳の風味特徴にカラメル様の香気成分sotolonが関与していることが示唆された.また,香気成分の添加のみで熱履歴の異なる牛乳の風味特性に近づくことが確認され,特にLTLT牛乳の特徴的香気成分trans-4,5-epoxy-(E)-2-decenalを加熱臭が生じているUHT牛乳製品に添加し,加熱臭が軽減できたのは興味深い.本研究では牛乳の熱履歴が風味に与える影響を調べたが,今後は餌,土壌,環境,牛種,製造工程等の違いと風味の関係を精査し,原因成分の同定まで試みたいと考えている.それら成分と消費者嗜好の相関を調べ,嗜好多様性に応える牛乳を市場に提供できれば,消費者の選択肢が拡がり牛乳市場の活性化が期待できると思われる.
著者
水上 裕造 澤井 祐典 山口 優一
出版者
日本茶業学会
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.105, pp.105_43-105_46, 2008-06-30 (Released:2011-10-07)
参考文献数
10
被引用文献数
2

This research aims to identify key odorants in roasted green tea. The aroma extract dilution analysis revealed 25 odor-active peaks with the flavor dilution factors of ≥ 16. We identified 2-ethyl-3,5-dimethylpyrazine as the most important odorant in roasted green tea with the highest flavor dilution factor of 4096. In addition, tetramethylpyrazine, 2,3-diethyl-5- methylpyrazine were also detected as potent odorants with the high flavor dilution factors. These three alkylpyrazines would be key contributors to aroma of roasted green tea.
著者
水上 裕造 松永 明子
出版者
日本茶業学会
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.114, pp.114_21-114_28, 2012-12-31 (Released:2015-10-30)
参考文献数
10
被引用文献数
1

‘そうふう’の煎茶の香りには1-octen-3-one,linalool,3-methylnonane-2,4-dione,β-damascenone,(Z)-methyl jasmonateが強く影響した。FDfの指数を算出し,匂いの性質で分類してアロマプロファイルを作成したところ,‘そうふう’は‘やぶきた’に比べ,果実様の匂いと花様の匂いが強く, 中でもmethyl anthranilateと(Z)-methyl jasmonateの影響を受けることがわかった。一方,‘やぶきた’の煎茶の香りは,(Z)-1,5-octadien-3-one,4-mercaptomethyl-pentanone,linalool,(E,E)-2,4-nonadienal, 3-methylnonane-2,4-dione, β-damascenoneの6成分が強く影響することが考えられた。
著者
吉田 充 三好 恵子 堀端 薫 水上 裕造 竹中 真紀子 安井 明美
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.11, pp.525-530, 2011-11-15
参考文献数
14
被引用文献数
13

日本人の主食である炊飯米からのアクリルアミド摂取寄与を推定するために,炊飯米に関して臭素化誘導体化GC-MS法による低濃度での定量分析法を確立し,アクリルアミドの測定を行った.本分析法の玄米おけるLOQは0.20 μg/kg,LODは0.09 μg/kg,発芽玄米では,LOQは0.17 μg/kg,LODは0.07 μg/kg,精白米では,0.14 μg/kg,LODは0.06 μg/kgであった.2種類の家庭用炊飯装置で炊飯を行った結果,米に生じたアクリルアミドの濃度は,発芽玄米,玄米,精白米の順であった.IH真空圧力炊き炊飯器の1機種を用いた炊飯ではいずれの米の場合も,電子ジャー炊飯器の1機種を用いた炊飯よりもアクリルアミド濃度は低く,業務用炊飯装置の1機種による炊飯ではさらにアクリルアミド濃度は低かった.この炊飯器の違いによるアクリルアミド濃度の差は,炊飯時の温度履歴の違いと高温になる鍋肌の材質の違いによると考えられた.本測定結果を日本人の炊飯米の摂取量と合わせて考えると,他の食品を含めたアクリルアミドの摂取量全体に対して,炊飯した精白米からのアクリルアミド摂取の寄与は小さいことが確認された.玄米および発芽玄米についても,IH真空圧力炊き炊飯器や業務用炊飯器で炊飯すれば,アクリルアミド摂取に対する寄与率は小さいが,焦げを生じさせるとその寄与はアクリルアミドの摂取源の一つとして無視できないものとなり得る.