著者
高橋 玲
出版者
大阪産業大学
雑誌
大阪産業大学経済論集 (ISSN:13451448)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.57-79, 2016-10

ある地域社会の成員には「場の正統性」が共有されており,彼らの行為選択の形式は相同性をもつが,同時にそこには,「偏倚的」な実践も現れる。本稿では,P. ブルデューの「ハビトゥス」と「実践」を軸に据えた経済人類学の見地から,近代的市場システムに巻き込まれつつある地域社会の様相を考察する。また,そこでは,R. ファース,J.A. シュムペーター,C. ギアツの視座が重要な貢献をなしている。偏倚的実践を生成するために利用可能な文化資本と,それを蓄積し利用できる力能を備えた主体,そして彼の実践とその「場」に現れる他者の諸実践との相互作用による「場の正統性」の変革という点で,社会環境の変化に順化しようとする個人のさまを見る。
著者
高橋 玲央 金子 徳秀 藤代 一成
雑誌
第77回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.103-104, 2015-03-17

ユーザがインタラクティブかつ直感的に3次元キャラクタを操ることを目的にした既存のモーションリターゲティング手法には, 人と類似した骨格構造をもつキャラクタモデルに適用可能な手法と,人の骨格構造から大きく外れたキャラクタモデルに適用可能な手法がある. 既存手法では,単一のユーザモーションから両方の骨格構造のキャラクタに対するモーションを生成することは難しかった. 本手法は両手法を統合し,人と類似した骨格構造のキャラクタに対しては,より少ない学習モーション数で適用可能である一方,人と骨格構造が大きく異なるキャラクタに対しても,ユーザの入力モーションとキャラクタ固有のモーションの合成を可能にする.
著者
岡本 和士 柳生 聖子 大野 和子 岡本 伸夫 高橋 玲 大塚 亨 前田 清 斎藤 征夫 加藤 孝之
出版者
The Japanese Society for Hygiene
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.1028-1035, 1988-12-15 (Released:2009-02-17)
参考文献数
39

We examined the relationship of body fat distribution to lipid metabolism in 50 obese women who participated in a weight reduction program.Body fat distribution was assessed by measurement of the waist-to-hip size ratio (WHR), minimal waist size and maximal hip size measured in a standing position.Obese women were separated into two subgroups by WHR; predominantly upper- or lower-body-segment obesity (UBSO or LBSO).After adjusting for ideal body weight, we found significantly high correlations with WHR (r=0.82, p<0.01), serum total cholesterol, serum triglyceride, VLDL and ApoB, which were significantly higher in UBSO; while HDL-ch and ApoA-1 were significantly lower in UBSO than LBSO.However, in UBSO, serum triglyceride and A. I. were significantly decreased; and HDL-ch was significantly increased after weight reduction.In conclusion, we suggested that the site of fat predominance offers a better diagnostic or prognostic marker for lipid metabolism abnormality than the degree of obesity alone.
著者
神原 富民 高橋 玲爾 石井 猛
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.10, no.12, pp.30R-37R, 1961

最近のポーラログラフィーの進歩について特筆大書すべきことは,創始者のHeyrovsky教授が1959年度のノーベル化学賞を受けられたことである.第2回国際ポーラログラフ会議は1959年夏Londonで開催され,そのときのProceedingsはI.S.Longmuirの編集によりPergamon Pressから出版されたが,本総説に多数の交献が引用されているように,ポーラログラフィーの新しい傾向を知るのに,きわめて重要な存在である。英国のポーラログラフ学会の活躍も注目に値し,J.Polarographic Societyが刊行されており,日本では電気化学協会ポーラログラフ委員会が解散して,日本ポーラログラフ学会が生まれ,その活動は新段階に入ったが,その学会誌「ポーラログラフィー」には重要な論文が多い.特に強調すべきことは,舘教授を委員長とする原案作製委員会が作成した「ポーラログラフ分析法通則」の原案が発表されたことで,この通則はポーラログラフ分析上,いわば法的拘束力をもつものであり,またその解説もすぐれており,今回若干の修正をへてJIS K0111(1961)として採択された.このような標準化の作業は,学界,業界に貢献するところ大きく,今後とも関連分野において推進されることであろう.
著者
斎藤 征夫 柳生 聖子 服部 泰子 大野 和子 岡本 伸夫 高橋 玲 大塚 匠子 大塚 亨 前田 清 岡本 和士 加藤 孝之
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.953-961, 1989-12-15 (Released:2009-02-17)
参考文献数
26
被引用文献数
4 8

We investigated the condition of the liver in a total of 5486 subjects (3889 males and 1597 females) who received adult-disease screening examinations.The following results were obtained.1. Fatty liver was found in 13.9% of the males and 3.8% of the females with a male/female ratio of about 3.7 to 1. In males, the prevalence of fatty liver was lower in those in their 20's than in any other age ranks, while there was little difference in the age range from the 30's to the 50's. In females, the prevalence sharply increased in those in their 50's.2. The percentage of fatty liver increased with the obesity index in both males and females.3. With respect to alcohol drinking, the prevalence of fatty liver was not affected by the presence or absence of alcohol drinking, the daily drinking quantity and total drinking quantity.4. Of those screened for adult disease, 14.7% of the males and 2.7% of the females had abnormal liver function, with a male/female ratio of about 5.4 to 1. In both males and females, the prevalence of fatty liver was higher in those who had abnormal rather than normal liver function.
著者
高橋 玲 AARONSON Stu BENEDICT Wil 佐谷 秀行 松井 利充 BENEDICT William f. AARONSON Stuart a.
出版者
京都大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

本研究は、米国で数年間行われてきた癌抑制遺伝子の機能解析についての研究を継続し、日米の協力研究として発展させることを目的とする。基本的には我々のグループが樹立した癌抑制遺伝子の生物学的活性を直接的に細胞レベルで解析できる実験系を用い、その遺伝子異常を正常のものと比較する。また癌細胞における癌抑制遺伝子の発現を種々の方法で人為的に調節することで癌細胞の表現型の変化を誘導し、癌治療に向けての可能性を検討する。研究代表者高橋は、分担研究者全員の協力を得てRB遺伝子とp53遺伝子のトランスフェクションを進めた。膀胱癌,肺小細胞癌にRB遺伝子導入、口腔扁平上皮癌と大腸癌にp53遺伝子を導入し、それぞれの安定発現株を得て解析を進めた。時にp53遺伝子導入大腸癌細胞においては、アポトーシスを誘導できる系が確立されることが明らかとなり、制癌剤開発に適したモデルとして期待される。ヒト大腸癌培養細胞株WiDrはp53遺伝子上2つ3番目のコドンに相当する部位の点変異を有する。サイトメガロウイルスのプロモーターに制御される正常p53発現プラスミドベクターを安定性にトランスフェクションし、プラスミドのもつネオマイシン抵抗性を利用して正常p53の発現を獲得したクローンを得た。培養中の増殖態度は軟寒天中のコロニー形成率の著しい低下以外には、ほとんど変化がみられなかった。抗Fas抗体(IgM)で処理すると親株にはほとんど変化がみられなかったが、48時間後をピークとしてp53導入細胞に著明な細胞死(アポトーシス)が誘導された。アポトーシス処理後24時間後の細胞からのRNA解析によれば、内在性の変異型p53遺伝子の発現レベルには変化がなく、導入された正常p53の発現及びそれに関連してcdK2のインヒビターであるp21(WAFI)遺伝子の発現の亢進がアポトーシス誘導に伴って生じることが明らかとなった。このことは正常p53遺伝子の発現に担っているサイトメガロウイルスのプロモーターに特異的なシグナルがFAS依存性反応経路に存在していることを示唆しており、現在、同プロモーターに働くNFkBについて解析を進めている。現在までFasからのシグナルとp53依存性アポトーシスとの間に関連はないといわれているが、今回の人為的反応経路の連結により、Fasにより誘導可能なp53依存性アポトーシスのモデルとして、DNA損傷により誘導される場合とは異なりユニークなモデルといえる。トランスフェクションに用いた大腸癌細胞はγインターフェロン処理によってもp53遺伝子再構築なしに抗Fas抗体に感受性を示すようになることが知られており、遺伝子再構築と制癌剤との協同作用として興味深い。肺小細胞癌は神経内分泌特性によって他の肺癌と区別されているが、我々は今回NF1遺伝子mRNAのスプライシング様式の変化がその分化指標となりうることを発見した。NF1のスプライシング様式の変化は以前、分担研究者の佐谷らによって見出されたもので、多くの神経系細胞や腫瘍において、分化度と高い相関を示すことが明らかにされていた。我々は肺小細胞癌培養株で得られた所見をもとに臨床材料で形態学的あるいはNSEなどのマーカーとの関連において解析を続けている。口腔扁平上皮癌においてもp53変異に対して正常p53遺伝子導入株で角化傾向が誘導されることも確認されている。今回の協力研究により困難で長時間を要するヒト癌細胞への安定性癌抑制遺伝子導入にいくつかの細胞で成功し、解析が可能となった。特に定常状態での変化よりも、分化誘導や細胞死誘導などの刺激下では癌抑制遺伝子の細胞レベルでの機能が顕著になることが明らかとなった。今後さらに種々の組合わせで癌細胞における癌抑制遺伝子機能がさらに詳細に解析されることが期待される。今回は兵庫県南部地震のため、渡米計画が一部中止されるなどの変更が生じたが、おおむね、当初の研究交流の成果を待つことができたと考えられる。
著者
高橋 玲
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.19, pp.49-54, 2007-04-16
被引用文献数
4

ユーザに経済的で快適な通信サービスを提供するためには,サービス提供前のネットワーク及び端末の品質設計ならびにサービス提供中の品質管理が重要である.適切なサービス品質設計・管理のためには,音声・映像メディアのユーザ体感品質(QoE: Quality of Experience)を安定かつ効率的に評価する方法が不可欠である.通信品質の評価は人間が品質を判断する主観品質評価が基本であるが,品質評価・設計の効率化や品質管理への適用のためには,通信の物理的な特徴量から主観品質を推定する客観品質評価技術が重要となる.本稿では,音声・映像メディアの主観品質評価技術と客観品質評価技術を様々な観点から分類し,それぞれの技術領域における国際標準化動向を概観する.