著者
木村 祥子 松田 良信 吉田 こずえ 日吉 理恵 遠野 かおり 岡山 幸子 野間 秀樹 板倉 崇泰
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.194-200, 2015 (Released:2015-08-21)
参考文献数
29
被引用文献数
2

メサドンはがん疼痛治療薬として本邦でも使用可能となったオピオイドであるが,個人差の大きい薬物動態や重篤な副作用のため使用にあたり細やかな配慮が必要であり,広く使用されるには至っていない.今回,他のオピオイドからメサドンに変更導入を行ったがん疼痛のある44症例を通してその鎮痛効果と副作用の検討を行い,がん疼痛治療におけるオピオイド鎮痛剤の中のメサドンの臨床的意義を考察した.44症例のうち導入に成功したのは37症例(84.1%)であり,成功症例においてメサドン投与前後の疼痛強度(Numerical Rating Scale;NRS)は平均7.5から2.8に低下していた.副作用として強い眠気が6例,嘔気が3例にみられたが,QT延長や呼吸抑制の重篤なものは認めなかった.高用量のオピオイドを必要とする難治性のがん疼痛患者では,メサドンも疼痛治療の選択肢となり得ると考えられた.
著者
松田 良夫
出版者
医学書院
雑誌
公衆衛生 (ISSN:03685187)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.p418-421, 1992-06
被引用文献数
1
著者
狭間 研至 明石 章則 前畠 慶人 松田 良信 山下 博美
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.323-327, 2001-08-20

症例は71歳男性.肺線維症の経過観察中, 腺癌が発見された.術前検査にて坑Scl-70抗体が陽性であり, 全身性強皮症が疑われた.術前呼吸機能検査で, VC1,430ml(44.0%), FEV_<1.0>1,420ml(100.0%)と拘束性換気障害を呈していた.臨床病期はT_1N_0M_0 stage IAで, 低肺機能症例であったため, 胸腔鏡下左肺下葉切除術を施行し, 術後経過は良好であった.病理組織検査では, S^8の原発巣と, S^6のブラ壁から発生した扁平上皮癌が認められた.病理学的検索および遺伝子診断より, 本症例を重複癌と診断した.突発性肺線維症は肺癌の危険因子であるが, 膠原病に合併した二次性の線維化肺にも肺癌は発生しやすいとされている.このような症例の手術に際しては, 低肺機能のため術式の選択に苦慮する事が多い.根治性および低侵襲性の両立のため, 胸腔鏡下肺葉切除術の適応を積極的に検討すべきであると考えられた.
著者
西原 克成 田中 順三 神田 重信 樺沢 洋 志村 則夫 松田 良一 丹下 剛 蔦 紀夫 梁井 皈
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1997

最終年度に当たる本年度は、脊椎動物の特徴である骨髄造血系の発生と鰓腸腸管呼吸器の肺呼吸への進化の相関性を人工骨髄器官を用いて骨髄造血巣を原始動物に発生させる実験進化学手法を応用して解明した。これにより骨髄造血系が主役として機能している免疫システムの本態を明らかにし、免疫病の発症の機序を解明し、予防法と治療法を樹立した。この結果、新しい免疫学の概念を樹立することが出来た。原始型の脊椎動物である二種類のサメ、ドチザメとネコザメ及びアホロートル・ゼノプスを陸上げする実験を行い、HLAの発生を解明した前年度に続いて、陸上げを境として白血球の性賞が革命的に変化し、同時に交感神経系と錐体路系が発生することを組織学的に世界に先駆けて検証する事が出来た。これによりこころと精神の発生までも明らかにすることが可能となり、免疫学とこころ・精神の関連性も解明された。本研究により原始型が高等動物の胎児に相当することを異種移植実験により完壁に検証し、ヘッケルの生命反復学説を分子生物学的に検証し、真性生命発生原則として提唱した。また陸上げ実験により、第二革命で鰓〓から発生する肺や胸腺、組織免疫系や交感神経系、臓器の栄養血管系のすべてがLamarckの用不用の法則にもとずいており、この法則が細胞遺伝子の引き金が物理化学的刺激によって引かれる化生(Metaplasia)で起こることを分子生物学的に検証した。これらの成果をBolognaで開かれた第13回国際シンポジウムCramics in Medicineで発表し多大な反響があった。脊椎動物を規定する骨の人工合成物質のヒドロキシアパタイト多孔体を用いて、生体力学刺激により進化で発生する高次組織の骨髄造血巣を、内骨格に軟骨しか持たないサメを用いて筋肉内に発生させる実験進化学手法により脊椎動物の3つの謎、すなわち進化の原因子、免疫システムの発生と骨髄造血系の発生原因のすべてが、重力作用への生命体の力学対応にあることを検証した。これにより新しい免疫病の治せる医学に立脚した正しい免疫学の体系が世界に先がけて樹立された。平成13年2月24日に日本免疫病治療研究会を発足させた。これらの業績を専門の雑誌の他に2001年度に7冊の本にまとめて出版した。年度内に研究を完成させることが出来たことは誠に喜ばしい限りである。
著者
水田 憲志 野入 直美 松田 良孝 松田 ヒロ子 卞 鳳奎
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究課題では以下の成果を得た。(1)日本植民地時代の台湾在住経験をもつ沖縄系移民のエスニシティの多元性について明らかにした。(2)太平洋戦争末期における沖縄県から台湾への疎開と戦争終結後の引き揚げの実態、ならびに台湾沖縄同郷連合会の存在とその役割について明らかにした。(3)戦後初期において石垣島でパインアップルと水牛が普及する過程で台湾系住民が果たした役割について明らかにした。(4)研究成果を地域社会へ還元するために、八重山の地元高校で出前授業を実践した。さらに「八重山の台湾」を学ぶ郷土学習、生涯学習の教材となる図書の出版準備作業を継続中である。