著者
松田 謙一 濱本 洋子 綿貫 成明
出版者
一般社団法人 日本医療・病院管理学会
雑誌
日本医療・病院管理学会誌 (ISSN:1882594X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.95-105, 2017 (Released:2017-05-12)
参考文献数
31

本研究は,全国の急性期病院におけるせん妄患者への頓用向精神薬投与時の看護師の困難感を明らかにすることを目的に行った。看護師の薬剤の投与過程で必要とされる判断の困難感7項目を含む無記名自記式調査票を独自に作成した。調査票は,調査協力に同意の得られた全国の116病院3,848名の看護師に配布し,個別返送で回収した。その結果,1,958名分 (50.8%) が回収され,有効回答は1,748名(有効回答率45.4%)であった。せん妄患者への頓用向精神薬投与時の看護師の困難感は,具体的な判断が求められる薬物療法の必要性の判断,具体的な薬剤の選択,投与量・速度の判断で,「やや難しい」,「とても難しい」との回答の合計が68.4%から79.5%を占めていた。本研究の結果から,せん妄患者への頓用向精神薬の投与をより安全で効果的に行うためには,看護師をはじめとした医療職に対する向精神薬に関する教育や頓用向精神薬の指示形態の整備などを含め,せん妄に対する組織的取り組みを整備・普及させていくことが必要と考えられた。
著者
中川 威 安元 佐織 樺山 舞 松田 謙一 権藤 恭之 神出 計 池邉 一典
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PR-013, 2021 (Released:2022-03-30)

疲労感は加齢の兆候として知られる。睡眠不足は疲労感を生じさせるが,過眠と疲労感の関連は明らかではない。そこで本研究では,地域在住高齢者を対象に日誌調査を行い,今夜の睡眠と翌日の疲労感の関連を検討した。ベースラインで,年齢,性別,居住形態,精神的健康,身体的健康を尋ねた。7日間にわたり,起床後に,就寝時刻,起床時刻,睡眠の質を,就寝前に,1日に経験した疲労感,ポジティブ感情,ネガティブ感情を尋ねた。分析対象者は1日以上回答した58名(年齢82-86歳;女性37.9 %)である。調査参加者は,朝に平均6.8回(SD=1.0),晩に平均6.9回(SD=0.7)回答した。睡眠時間は平均8.0時間(SD=1.0)で,2.0時間少ない日も2.4時間多い日もあった。マルチレベルモデルを推定した結果,個人間レベルでは,睡眠時間が多い人と少ない人では,疲労感に差は認められなかった。個人内レベルでは,睡眠時間の二乗項と疲労感の関連が統計的に有意であり,睡眠時間が少ない日と多い日では,平均的な日に比べ,疲労感が高い傾向が示された。高齢者では,睡眠不足に加えて過眠もまた疲労感を生じさせることが示唆された。
著者
藤田 達男 阿比留 真吾 木下 正徳 松田 謙一郎 後藤 貴文
出版者
大分県農林水産研究指導センター
雑誌
大分県農林水産研究指導センター研究報告. Bulletin of Oita Prefectural Agriculture, Forestry and Fisheries Research Center (ISSN:21861021)
巻号頁・発行日
no.2, pp.4-10, 2012-03

黒毛和種雄牛12頭を用いて、哺育期に炭水化物を強化した代用乳および人工乳給与後、育成期を濃厚飼料給与区と乾草のみ給与区に分け、さらに肥育期には両区を畜舎内乾草給与区と放牧区の計4区に分けて約30ヵ月齢まで飼育した。7~23ヵ月齢の体重は、育成期に濃厚飼料を給与した区が有意に高く、育成期の濃厚飼料給与は発育に強く影響することが示唆された。枝肉格付け等級はA2:2頭、B2:4頭、B1:6頭であったが、育成期に濃厚飼料給与した区の方が枝肉重量、ロース芯面積、バラの厚さおよびBMSNoが高い傾向がみられ、育成期の濃厚飼料給与は発育と肉質の双方を高める効果が示唆された。部内職員を対象として食味試験した結果、予想以上に柔らかく、あっさりして美味しかったといった好意的な評価が多かった。経済性を試算した結果、育成期に濃厚飼料を多給し代謝的インプリンティングを誘導した後に放牧肥育を行う方法が最も収益性が高かった。