著者
沖山 誠司 吉田 実 山本 誠 森井 まどか 野首 孝祠
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.710-717, 1996-08-01
参考文献数
22
被引用文献数
27 5

当講座では,形状と物性が規定された試験用グミゼリーを開発し,義歯装着者の咀咽能率の評価に用いている.一方,咀咽能力が義歯装着者より一般的に優れている有歯顎者に対しては,より硬さの増したグミゼリーを用いた咀咽能率の評価が必要と考えられる.本論文では,硬さの異なる試験用グミゼリーを用い,硬さの違いおよび被験者の咬合接触状態が,咀咽能率診査結果に及ぼす影響について検討し,本診査法が被験者や目的に応じて広く応用できることが示された.今後,この種々の硬さのグミゼリーを用いた咀瞑能率診査法により,被験者の食品咬断能力,補綴治療にょる咀喉機能の回復度の詳細な評価が可能になるものと期待される.
著者
池邉 一典 喜多 誠一 難波 秀和 清水 裕子 谷岡 望 吉備 政仁 小野 高裕 野首 孝祠
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.332-338, 2000-04-10 (Released:2010-08-10)
参考文献数
30
被引用文献数
2 1

The purpose of this study was to analyze the relationship between quality of removable dentures and nutrient intake in the elderly. Subjects were 323 community dwelling, independently living elderlypeople (174 males and 149 females) aged 60-79, of which the mean age was 66.3±4.3 years.Diet was assessed by licensed dietitians via interview for 3 days. The data on food consumption were converted to the nutrient content such as energy (kcal), protein, and calcium. The ratio of actual nutrient intake per recommended nutrient intake was evaluated as a measure of dietary adequacy. Student's t-test, Mann-Whitney U-test, and one-way ANOVA were used for statistical analysis.The nutrient intake, except iron, was sufficient in both dentate and denture wearer groups. Among removable denture wearers, nutrient intake tended to be lower in the low occlusal force group than in the high group. There were significant differences in protein and iron intake in males between the two groups (p<0.05), and the nutrient intake also tended to be lower in the group dissatisfied with removable denture than in the group satisfied therewith.The results indicated that both occlusal force and satisfaction with removable dentures were associated with nutrient intake of elderly people.
著者
喜多 誠一 野首 孝祠 安井 栄 北森 喜美恵
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.1152-1161, 1993-12-01
被引用文献数
1

現在,義歯床の製作において,数多くの特長を備えている注入型レジン重合法が臨床的に広く用いられているが,これまでの埋没方法においては重合操作中の人工歯の移動や咬合高径の低下などの問題点も指摘されている.その対策として,本教室では人工歯の固定をより確実にする目的で,低膨張硬石膏をコアとする注入型レジン重合法を開発して,良好な臨床成績を得ている.本研究は,この低膨張硬石膏コア法の重合操作中における人工歯の垂直および水平変位量にっし)て,また義歯床の適合性について,レジン床との結合様式の異なる陶歯とレジン歯のそれぞれを部分床義歯に用いた場合を比較した結果,いずれの場合も良好な成績が得られたので報告する.
著者
前田 芳信 栄村 勲 中村 公一 西田 圭 野首 孝祠
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.900-905, 1995-10-01
被引用文献数
14 2 2

近年,咬合と全身の運動機能との関連が注目されてきている.そこで本研究では,高齢者における咬合支持が全身の運動機能の制御,特に平衡調節機能に果たす役割について検討した.特に,従来まで行われてきた静的条件下での平衡度の測定に加え,動的刺激を与えた条件下での応答時間ならびに対称性の計測を行った.その結果,高齢者における咬合支持の有無は,全身の平衡調節機能のなかで,主として静的条件下での平衡調節に関与している可能性が示唆された.
著者
大山 喬史 森本 俊文 河野 正司 片山 芳文 野首 孝祠 古谷野 潔
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2001

床義歯の形態,設計様式が口腔感覚に及ぼす影響を分析し,機能との関係を検討する目的で舌感,味覚,痛覚,咬合感覚等の生理学的データを収集し,さらにその神経筋機構について動物実験より分析した.まず口蓋部の床の形態が舌感に及ぼす影響について質問紙法で分析した結果,床辺縁の断面形態は粘膜より移行的に立ち上るナイフエッジ状,走行は左右対称な形態が感覚的に優れ,移行的な断面形態,斜めのラインを避けた左右対称な走行形態が口腔感覚に調和することが推察された.次に臼歯部咀嚼とうまみ溶出の関係を調べるために,利尻昆布のグルタミン酸量を測定し,咀嚼後の溶出量を算出した結果,臼歯部補綴によりグルタミン酸溶出量は増加する傾向が認められた.また金属床の味覚に対する影響を実験用口蓋床を用いて検査した結果,厚さが1.5mmのレジン床と金属床では味覚閾値に差は認められなかったが,0.5mmの金属床では,味覚閾値は有意に低い値を示し,義歯床の厚さや材質の違いが味覚に影響を与えることが示唆された.さらに義歯装着者の咀嚼効率の判定法として,食塊形成能の観点から嚥下に至るまでの咀嚼ストローク数をパラメータとすると有用なことが認められた.また無歯顎者の義歯装着が床下粘膜の圧痛閾値に与える影響を調べた結果,無歯顎者は健常有歯顎者より40%低く,無歯顎者の口蓋中央部の閾値は頬側歯槽粘膜より2〜300%高かったため,義歯装着により圧痛閾値は低下し,粘膜への機械的ストレスの関与が示唆された.さらにモルモット前歯部に咬合挙上板を装着して臼歯を挺出させると,歯ぎしり様の運動を繰り返し元の咬合高径に戻るが,三叉神経中脳路核を破壊し閉口筋の筋感覚を除外すると高径低下が有意に減少し,咬合高径決定に閉口筋の筋感覚受容器の関与が示唆された.以上より,口腔感覚と機能とは密接な関係にあり,床義歯の設計に際しては維持や機能力の分配だけでなく,感覚への配慮が機能向上に繋がることが示唆された.