著者
佃 為成 酒井 要 橋本 信一 羽田 敏夫 小林 勝
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.237-272, 1988-12-23

北部フォッサマグナの中央隆起帯を横断する千曲川構造線の東端に位置する長野県小県郡丸子町付近で1986年8月24日,M4.9の地震が発生した.ここは2つの火山前線がぶつかる点のすぐ背後でもある.通常の地震活動レベルは低いが,過去には1912年の上田市付近の地震(M5.2)がある.丸子町の地震活動は前震・本震・余震系列と本震の10日後から始まった群発地震が重なったものであった.2回の主要な活動ピークをもつ例は,北部フォッサマグナ地域では少なくなく,ピーク間の間隔は1918年大町地震の13時間,1969年焼岳の地震の2日,1912年上田の地震の5日,今回の地震の12日,1963年燕岳の地震の20日,1897年上高井の地震の104日というように様々である.2回目が群発地震であったのは丸子の地震と,燕岳の地震,上田の地震である.現地における臨時観測によって精密な震源分布が得られた.震源域は時間とともに拡大したが群発地震後最終的には東西3km,南北2km,深さは6kmを中心に3kmの幅をもつ拡がりであった.定常観測網で求めた震源との比較を行い,観測網に依存する震源の系統的なずれやその値のバラツキから震源の絶対精度と相対精度を推定した.MO~4.5の間のM別頻度分布はGutenberg-Richterの関係から少しずれる.群発地震の回数の減衰(p~2)は本震直後の余震のそれ(p~1)と比べ大きい.燕岳の地震ではどちらもp~2であった.本震の震源断層は発震機構及び余震分布の特性から西上り東落ちの高角逆断層である.これは中央隆起帯東縁でのテクトニックな変動と調和する.1986年の千曲構造線の地震活動はそのピークが東南東から西北西へ約150km/yearの速度で伝播した.1912年~1918年にもこの構造線の両端付近で地震があった.約70年の間隔を置いて同じような活動を繰り返したことになる.
著者
若林 勝史
巻号頁・発行日
2012

筑波大学博士 (農学) 学位論文・平成24年10月31日授与 (乙第2619号)
著者
林 勝哉
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.24, no.10, pp.891-894, 1985-10-10 (Released:2009-11-26)
参考文献数
11
著者
〓 凡 臼井 健二 沈 利星 小林 勝一郎 石塚 晧造
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.295-301, 1997-01-31
被引用文献数
3

2葉期イネおよびタイヌビエを供試して, プレチラクロール単独およびフェンクロリムと混合して処理した場合のグルタチオン濃度とグルタチオン S-トランスフェラーゼ(GST)活性の変化を調べ, また, プレチラクロールの代謝生成物であるGS-プレチラクロール舎量も測定した。還元型グルタチオン(GSH)と酸化型グルタチオン(GSSG)含量およびプレチラクロールを基質とするGST_<(pret)> 活性はタイヌビエよりイネの方が高かった。プレチラクロールとフェンクロリム単独およびそれらを混合して処理した場合, GST_<(pret)>活性の増加が見られたが, その程度はイネの方がタイヌビエより高かった。GSH含量は, イネではプレチラクロール単独処理で減少し, 混合処理によりある程度回復したが, タイヌビエにおける回復はわずかであった。また, GS-プレチラクロール抱合体舎量はタイヌビエよりイネの方が多かった。以上の結果から, イネとタイヌビエにおけるプレチラクロールの選択作用性は, GST_<(pret)> 活性およびその誘導の差異が主因であると考えられる。また, フェンクロリムは主に GST_<(pret)> 活性の誘導を通じてイネにおけるプレチラクロールの薬害を軽減させるものと思われる。
著者
岡田 成幸 谷口 仁士 井戸田 秀樹 林 勝朗 竹内 慎一 名知 典之 中嶋 唯貴 島田 佳和 石田 隆司
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本邦の主要住家である木造建物(倒壊により死者発生危険度が特に高いとされている構造形式)について、地震からの構造健全性を微動のカオス挙動を測定する手法を応用して逐次監視し、さらに監視結果である物理指標を居住者に分かり易い防災情報(生命安全性)に変換し提供(リスクコミュニケーション)することにより、構造ヘルスモニタリングを人的被害軽減化対策システムとして防災に有効活用させる方途を考究した。
著者
春原 由香里 臼井 健二 松本 宏 小林 勝一郎
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.95-103, 1995-08-31
被引用文献数
3

著者らはすでに, クロメプロップ自身はオーキシン活性を示さず, 植物体内でその加水分解物であるDMPAに分解された後に初めてオーキシン結合蛋白質に認識され, オーキシン活性を示している可能性が高いことを報告した。本論文では, クロメプロップの更は詳しい作用機構を調べることを目的とし, ダイコン幼植物を材料としてクロメプロップの茎葉処理後に生成されるエチレンが形態変化に関与しているかどうかの検討を行った。(1) クロメプロップ, DMPA処理後に現れる葉のカーリングや葉の葉柄間角度の増大はエチレン生成阻害剤(AOA)を前処理することにより軽減された(Fig. 1, Table 1)。 (2) クロメプロップ, DMPA処理後の上記の作用は, エチレン作用阻害剤(NBD)を後処理することにより軽減された(Fig. 2)。(3) エチレン生成量は, クロメプロップの場合, 茎葉処理12時間後までは殆ど生成されず対照区と同程度であったが, 24時間後からはエチレン量の増加が見られた。DMPAの場合は茎葉処理3時間後から徐々に増加し始め, 12時間後から生成速度が増加した(Fig. 3)。(4) エチレン生成促進剤(ETH)処理により, 著しく第1葉の伸長が阻害された(Fig. 4)。(5) クロメプロップ, DMPA処理により, ACC合成酵素が誘導され, AOAの前処理によりその誘導が抑制されることが確認された(Fig. 6)。(6) クロメプロップ, DMPA処理では, ACCからエチレンへの反応を触媒する酵素(ACC 酸化酵素)の誘導は起こらなかった(Table 2)。以上の結果より, クロメプロップは植物体内でDMPAへと変化し, DMPAがACC合成酵素を誘導することによってエチレン生成量を増加させ, そこで生成されたエチレンが, ダイコンの形態的変化を引き起こしているものと推察された。