著者
千島 隆司 石川 孝 林崎 良英
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

耳垢タイプはABCC11遺伝子多型によって決まることが知られている。一方、海外では耳垢タイプによって乳癌罹患率が異なるとの報告を認めている。本研究では、日本人女性における遺伝子多型(耳垢タイプ)と乳癌罹患率の関係について検討した。その結果、遺伝子多型が湿性耳垢の女性は、健常女性に比べて乳癌罹患率が1.63倍と有意に上昇していた。耳垢タイプは簡単なアンケートだけで判定できるため、高リスク女性に個別化検診を行うことで、効率的に早期乳癌を発見できる可能性が示された。
著者
石川 智久 Wanping Aw Alexander Lezhava 林崎 良英
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.98-108, 2010-02-28 (Released:2017-02-10)
参考文献数
30

ヒトゲノム解析が完了し,それに伴い個々の遺伝子多型に基づくテーラーメイド医療(個別化医療)の実現が期待されている.特に,薬物の標的,薬物代謝酵素,薬物トランスポーター等の遺伝子多型を調べて薬の副作用や体内動態,薬物の効果および副作用の可能性を予測することは,個別化医療の実現において必須である.理化学研究所で開発されたSmart amplification process(SmartAmp)法は,ミスマッチ結合蛋白質の存在下,遺伝子型特異的なプライマーを用いてDNA等温増幅を行う高速かつ簡便なSNP検出技術である.本綜説では,薬物輸送に関与するABCトランスポーターABCB1,ABCC4,ABCC11の遺伝子多型をSmartAmp法によって検出する方法と,それを用いて薬の副作用を予測する臨床応用の可能性を示す.