著者
池谷 和信
出版者
人文地理学会
雑誌
人文地理学会大会 研究発表要旨 2008年 人文地理学会大会
巻号頁・発行日
pp.513, 2008 (Released:2008-12-25)

バングラデシュは、約9割がイスラーム教徒であり、ブタは好まれない動物である。しかし、その起源は定かではないが、非イスラム教徒によってブタの遊牧がおこなわれてきた。本報告では、2007年から2008年にかけての4回にわたる現地調査から、ブタの遊牧の実態を、移動形態、管理技術、生産・流通システムなどから把握することを目的とする。
著者
桑原 斉 池谷 和
出版者
一般社団法人 日本児童青年精神医学会
雑誌
児童青年精神医学とその近接領域 (ISSN:02890968)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.148-158, 2018-04-01 (Released:2019-08-21)
参考文献数
37

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder: ASD)の社会的な認知度が向上し概念が整理されたのは,最近30年ほどのことである。この間に,社会の側ではメディアで報道される犯罪・触法行為についてASDとの関連が取りざたされることが増えているように思われる。また,医療の側ではASDによる犯罪・触法行為についてケースレポートによる報告が蓄積されている。これらの逸話的な報道・報告は,犯罪・触法行為とASDの親和性を強調するが,犯罪・触法行為とASDの関連についての科学的な事実は多くない。本稿では,犯罪・触法行為とASDの関係について,現在までの知見を概説し,若干の考察を加える。
著者
池谷 和子
出版者
東洋大学法学会
雑誌
東洋法学 = Toyohogaku (ISSN:05640245)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.353-360, 2014-03-31
著者
石戸 拓朗 森山 敦子 池谷 和浩
出版者
日経BP
雑誌
日経アーキテクチュア = Nikkei architecture (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.1187, pp.10-15, 2021-03-11

「10年前は、この部分はほとんど壊れなかったのだけれど……」。JR郡山駅近くに立つ郡山市中央図書館で片付けなどに当たっていた小野浩幸館長は、残念そうにつぶやいた。 2月13日の地震により、この施設では前面道路に面した南側を中心として鉄筋コンクリー…
著者
池谷 和信
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.66, no.7, pp.365-382, 1993-07-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
53
被引用文献数
4 4

本研究は,ナイジェリアのフルベ族の牧畜経済を,その生態的側面と彼らをとりまく政治経済的側面との両面から分析したものである.なかでもフルベ族の移牧形態,家畜群の管理と販売からなる牧畜経済を記述・分析することが中心となった.調査の結果,移牧フルベは雨季から乾季にかけて約8m下がるベヌエ川の水位の変化に対応して,家族総出で居住地を氾濫原に移動する生活様式をとり,彼らの牧畜活動は,伝統的な薬を利用した牛の繁殖や牛の夜間放牧などに特徴がみられることが明らかになった.また,フルベは牛の価格の高い家畜市を選択するだけではなく,病気の牛,不妊の雌牛など,群れの中で不必要な牛を適宜売却することから,市場経済の原理に強く依拠している.彼らは,結婚式や命名式などで使われる数頭の牛を除くと,3頭分の牛を売却して得た現金によって穀物などを購入して,一年間の生計を維持することができる.ナイジェリアのオイルブームによる経済成長をへて,フルベは伝統的牧畜形態を維持したままの自営牧畜を展開させてきた.
著者
荒木 茂 山越 言 王 柳蘭 原 正一郎 村上 勇介 柳澤 雅之 北村 由美 舟川 晋也 水野 啓 梅川 通久 竹川 大介 有川 正俊 池谷 和信 竹川 大介
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

諸科学が提示するグローバルな認識、イメジと、地域研究で集積されるミクロな情報とのギャップを埋め、両者を統一的に理解してく道筋の一つとして、可変的なスケールをもつ『仮想地球空間』を想定し、地域情報をインタラクティブに集積していくツールの開発と、データ集積を行なった。地域研究が提示する地域のメッセージを、地点情報、主題図の形で地球上に貼り付けていくことによって、地球を多様な世界観からなる地域のモザイクとして描き出し、グローバルな認識と接合させる道が開かれた。
著者
池谷 和信
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
地理学評論. Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.66, no.7, pp.365-382, 1993
被引用文献数
4

本研究は,ナイジェリアのフルベ族の牧畜経済を,その生態的側面と彼らをとりまく政治経済的側面との両面から分析したものである.なかでもフルベ族の移牧形態,家畜群の管理と販売からなる牧畜経済を記述・分析することが中心となった.調査の結果,移牧フルベは雨季から乾季にかけて約8m下がるベヌエ川の水位の変化に対応して,家族総出で居住地を氾濫原に移動する生活様式をとり,彼らの牧畜活動は,伝統的な薬を利用した牛の繁殖や牛の夜間放牧などに特徴がみられることが明らかになった.また,フルベは牛の価格の高い家畜市を選択するだけではなく,病気の牛,不妊の雌牛など,群れの中で不必要な牛を適宜売却することから,市場経済の原理に強く依拠している.彼らは,結婚式や命名式などで使われる数頭の牛を除くと,3頭分の牛を売却して得た現金によって穀物などを購入して,一年間の生計を維持することができる.ナイジェリアのオイルブームによる経済成長をへて,フルベは伝統的牧畜形態を維持したままの自営牧畜を展開させてきた.
著者
池谷 和子
出版者
東洋大学法学会
雑誌
東洋法学 = Toyohogaku (ISSN:05640245)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.81-90, 2014-01-15
著者
池谷 和信 Kazunobu Ikeya
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Ethnology (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.493-529, 2012-03-30

アフロ・ユーラシアにおける牧畜を対象にした人間生態学・生態人類学的研究では,これまでウシ,ヒツジ,ヤギ,ラクダ,トナカイなどの群居性の有蹄類に属する哺乳動物を対象にして,家畜と人との相互のかかわり方が把握されてきた。しかし,ブタの牧畜に関しては,国内外をとおして先行研究がまったくみられない。そこで本研究は,バングラデシュの中央部に位置するベンガルデルタにおけるブタを対象にした遊牧の実態を把握することを目的とする。筆者は,2007 年12 月以降現在まで,おのおのは短期間ではあるが9 回にわたりバングラデシュ国内において絶えず移動中のブタの群れを探し求めること,群れのなかのブタの年齢や性別構成を聞き取ることなど,飼育技術や移動形態などの生産に関する直接観察を行った。ここでは,「大規模所有者」(約800 ~1000 頭のブタを所有)に焦点を当てることを通して遊牧の実際が把握される。その結果は,以下のとおりである。 遊牧されるブタは,一部のゴミ捨て場でのブタを除いて,1 年を通してデルタに分布する野生タロを中心とした野生植物に全面的に依存する。とりわけ乾季にはブタは収穫後の農地に入いり,農民にとっては雑草と評価されている植物を掘り起こして根の部分を食べる。収穫後の水田では,稲の収穫の際にこぼれ落ちた米粒が残っており,それが利用される。また,ブタの群れは,常に移動しているのできめ細かい移動の範囲を確定できないが,およそ10 ~ 20 平方km の遊動域を見出すことができる。ブタは,群れの移動と採食のための一時的滞在とを繰り返す。2 時間弱のなかで母豚による授乳の時間が4 回みられた。この授乳活動は,牧夫がそれぞれの子ブタを誘導するのではなくて,子ブタの方が積極的に働きかけて群れのなかで自主的に開始される行動である。さらに,牧夫による群れの管理には音声が使われる。牧夫は生後まもない子ブタを殺すこと,別の母親への子ブタの移出などによって各母ブタへの負担を均等にする努力をしている。同時に,ブタの年齢に応じて群れを変えるなどして群れ全体の管理がなされている。他のブタ飼育者からブタが購入されることなどによっても,ブタの所有頭数が維持される。 以上のように,バングラデシュのブタを対象にした遊牧は,年中群れとともに移動をして自然資源を利用する点,100 ~ 200 頭の単位ごとの群れで分散飼育して多様な環境を季節や微地形に応じてきめ細かく利用する点など,熱帯モンスーンアジアのデルタにおける自然特性に応じた資源利用の形をよく示している。
著者
池谷 和信
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100224, 2012 (Released:2013-03-08)

1 はじめに 途上国における定期市は、野菜や家畜や衣料品などの流通のなかで生産者と消費者とをつなぐ結節点として経済的に重要な役割を果たしてきた(石原1987ほか)。同時に、定期市は様々な社会集団が相互に交流する場として社会文化的な側面を持つ。これまで報告者は、乾燥帯アフリカにおける牛市・ラクダ市に焦点を当ててフルベやソマリの牧畜民と定期市とのかかわりについて報告したが、ここではモンスーンアジアのバングラデシュの家畜市のなかで豚市に焦点を当てて、地域における豚の流通の実際を把握する。同時に、アフリカとアジアの家畜市における地域間比較の際の枠組みについて考察する。現地調査は、2011年12月にバングラデシュ北部のマイメンシン・ディストリクトを中心に約2週間にわたって行われた。対象地域は、ベンガル系のイスラム教徒が多数を占めているが、豚市に密接にかかわるのはベンガル系の非イスラム教徒およびマイノリティのマンディ(ガロ)の人々である。なお、豚市の分布および豚の売買の概観に関してはすでに報告した(池谷2011)。2 結果と考察 今回の調査では、年中行なわれている2つの豚市(Gaptoli,Shombugon)に加えて、12月から3月までの季節限定の2つの豚市(Bakgahitola, Haluaghat)を訪問した。その結果、「都市近郊型」と「都市郊外型」の2つのタイプに豚市は分類できる。前者は、大部分の購買者がベンガル系ヒンドゥー教徒であり、100km以上離れた地域からの購入者(仲買人)もみられた。これに対して後者では、購買者の大部分は近隣で暮らすマンディの人々である。 後者の事例を詳しくみてみると、マンディはキリスト教徒であり、クリスマス前後の時期の食用のため、およびそれ以降年始までの時期に親族の結婚式ほかなどが集中して、そこで豚を消費するために9-11ヵ月の大型の豚を購入していた。同時に、前回と同様な傾向として3-5ヵ月の小豚を肥育用に購入していた。この場合、飼育してきた豚を対象時期に地域需要に応じて販売するために新たな肥育豚を備えるということもみられた。 2つの季節限定型の市では,大部分の購買者がマンディであり仲買人が豚の群れをそのまま市場に移動してきていた。このため、市の開設時には牧夫が常に群れを監視していた。しかし、どうして市が3月まで継続する必要があるのかは明らかではない。 その一方、市に参与して豚を販売する仲買人の暮らす村を訪問することで、そこには多数の仲買人(ベンガル系ヒンドゥー教徒)が集まっていること、ダッカ市場、チッタゴン市場、本研究が対象とする豚市、近隣地域市場などのように個々の仲買人によって市場が異なっていた。彼らは、自らの群れを所有している人も多いが、別の群れの所有者から家畜を購入する。但し、肉量の大きい成獣を求めるダッカ市場と肥育用の幼獣を求める家畜市への供給では、仲買人の販売戦略が異なっている。 以上、国内の豚流通のなかで家畜市を媒介とする流通の位置づけ、および家畜市をめぐるベンガル系非イスラム教徒と近隣民族とのかかわり方が明らかになった。また、アジアとアフリカでは、家畜の流通における家畜市の役割やその比重が異なっていると考えられる。文献池谷和信2011「バングラデシュにおける家畜市と豚」日本地理学会予稿集石原 潤1987『定期市の研究:機能と構造』名古屋大学出版会
著者
久野 和宏 林 顕效 池谷 和夫 三品 善昭
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.37, no.9, pp.430-436, 1981-09-01
被引用文献数
1

By Using the data obtained from the recent survey of personal noise exposure in daily life, we examined the equivalent sound level Leq during sleep of each subject. Among 210 subjects in and near Nagoya city about 60% of them were in rather good acoustical environments less than 40 dBA during hours of sleep except each transient one hour after going to bed and before getting up. The average Leq of each transient one hour mentioned above was higher by 4 dBA than that of the hours of sleep between them. Although short in duration, 10 minutes or so, about 25% of the subjects were exposed to noise higher than 60 dBA which might disturb their sleep. It was also found that the acoustical environments during sleep are considerably affected by the road traffic and the commercial activities near residence.
著者
嶋田 義仁 坂田 隆 鷹木 恵子 池谷 和信 今村 薫 大野 旭 ブレンサイン ホルジギン 縄田 浩志 ウスビ サコ 星野 仏方 平田 昌弘 児玉 香菜子 石山 俊 中村 亮 中川原 育子
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2009-05-11

家畜文化を有したアフロ・ユーラシア内陸乾燥地文明が人類文明発展の中心にあった。家畜は蛋白資源生産(肉、乳、毛、皮)に止まらない。化石エネルギー使用以前人類が利用しうる最大の自然パワーであった。移動・運搬手段として長距離交易と都市文明を可能にし、政治軍事手段としては巨大帝国形成を可能にした。これにより、旧大陸内陸部にグローバルな乾燥地文明が形成された。しかしこの文明は内的に多様であり、4類型にわけられ。①ウマ卓越北方冷涼草原、②ラクダ卓越熱帯砂漠、③小型家畜中心山地オアシス、④ウシ中心熱帯サヴァンナ、である。しかし海洋中心の西洋近代文明、化石燃料時代の到来とともに、乾燥地文明は衰退する。