著者
峯木 真知子 棚橋 伸子
出版者
東京医療保健大学
雑誌
東京医療保健大学紀要
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.9-18, 2006-09-30
被引用文献数
2

ダチョウ卵の熱凝固性を調べるために、65℃より卵白および卵黄を加熱し、外観の観察、色、テクスチャー、DSC分析および組織観察より検討した。1)ダチョウ卵の卵白では、熱凝固温度が85℃付近でニワトリ卵より高く、ダチョウ卵の卵黄では、ニワトリ卵と大差が無いことがわかった。全卵および卵白で用いる場合にこの熱凝固温度が高いことは調理品の品質に大きく影響する。調理に際しては、加熱温度を上げる、加熱時間を長くする必要がある。2)ダチョウ卵で作ったプリン(卵1 : 牛乳2)は、同配合のニワトリ卵で作ったプリンより、非常にやわらかかったが、官能検査では、やわらかな舌触りが好まれ、良好な成績であった。以上、ダチョウ卵では、凝固温度が高いこと、その製品のテクスチャーもニワトリ卵と異なることより、全卵および卵白を使用した調理品の配合あるいは調理法に工夫の必要がある可能性が示唆された。
著者
峯木 眞知子 棚橋 伸子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.25, 2005

「目的」ダチョウ卵は、全国的に飼育されてきており、その鳥類最大の肉と卵は、新たな食料資源になる。著者は、ダチョウの卵を用いてスポンジケーキ、フィナンシェなど起泡性を利用した製品について鶏卵を用いた調理品の品質と比較してきた。本研究では、ダチョウの卵の熱凝固性について、検討した。「方法」ダチョウの卵は、茨城産のダチョウ(Struthio camelus domesticus)が産卵した無精卵、対照とした鶏卵(白色レグホーン種)は群馬産産卵3日以内の市販卵を用いた。熱凝固性を利用した調理品は、卵焼き及び厚焼き卵(無添加、卵液の塩1%、砂糖5%、10%)、プリン(卵15g、牛乳は卵液の1倍、2倍、砂糖は全体の15%)を作成した。それぞれの調理品について、テクスチャー(破断特性)、組織観察(光学顕微鏡)、色の測定、水分含有量および官能検査を行った。「結果」ダチョウの卵を用いた卵焼きは、鶏卵の製品に比較して加熱時間が長く、色が白く、できあがりの体積は大きかった。ダチョウ卵で作成した厚焼き卵は鶏卵の調理品と官能検査(分析型評点嗜好調査)で比較したところ、厚焼き卵の「見た目」の項目を除いて、「かたさ」「弾力」「味」が好まれた。ダチョウの卵を用いたプリンでは、鶏卵のプリンより破断応力が大きく、もろさ応力は小さかった。官能検査では、鶏卵のプリンと「総合的な好み」には差がなかったが、「やわらかさ」「なめらかさ」が有意に好まれた。従って、ダチョウ卵のプリンのレシピは、鶏卵と異なるものを使用する必要があった。DSC分析から、ダチョウ卵の卵黄及び卵白の凝固温度は鶏卵より幾分高いことがわかった。
著者
峯木 真知子 棚橋 伸子 安田 翔
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.15, pp.51, 2003

〔目的〕新食料資源として期待されるダチョウ卵を用いて、前報では起泡性を利用したスポンジケーキを調製し、バター添加によって好成績が得られた。本研究では、ダチョウ卵の卵白量の大きいこととその付着性に注目し、バターの多いフィナンシェを調製し、そのテクスチャー、色などを調べ、官能検査を行ってその適否を調べた。〔方法〕ダチョウ卵は茨城県産42ヶ月齢_から_48ヶ月齢、アフリカンブラック種無精卵(1396.2±213.0g)を用い、対照は白色レグホーン種鶏の市販卵とした。試料は予備実験の結果から、無塩バター(よつ葉乳業製)35g、各卵白70g、上白糖(新三井製糖)60g、薄力小麦粉(日清フーズ)25g、アーモンドプードル(ギャバン朝岡)25gを用いた。バッター各40gを180℃、10分で焼成した。バッターの比重、焼成後のフィナンシェの色(日本電色、ZE2000)、体積、重量、膨化率、水分含有率(赤外線水分計、ケット600)、テクスチャー及び官能検査を行った。組織試料はフィナンシェの中央部を5mm角に切り出し、2.5%グルタルアルデヒド溶液、1%オスミウム酸で固定し走査型電子顕微鏡で観察した。〔結果〕ダチョウ卵卵白を用いたフィナンシェは、バッター比重1.13で、焼成後重量及び重量変化率(87%)は鶏卵を用いたフィナンシェと大差がなかったが、体積及び膨化率(160%)、水分含有率は鶏卵製品より低い傾向を示した。ダチョウ卵で作ったフィナンシェのテクスチャーは、かたさ応力、凝集性で鶏卵を用いたものより低値を示した。製品の色では両者で「感知せられるほどの」違いがあった。16人のパネルによる嗜好型官能検査では、きめの細かさを除いて、いずれもダチョウ卵を用いたフィナンシェが良い成績を示した。
著者
峯木 真知子 棚橋 伸子 渡邊 康一
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.74, 2003

<b>「目的」</b>生クリームと卵黄を用いた「なめらか」・「とろける」プリンが高級化嗜好に伴い、好まれている。市販品6種のテクスチャーおよび組織構造の一部については、既に報告した<sup>1,2)</sup>。そこで、生クリームを用いたプリンを調製し、プリンにおける組織観察および物性測定を行い、生クリームの影響を検討する。<b>「方法」</b>プリンは、鶏卵および割卵して取り出した卵黄と、牛乳(全農協、成分無調整牛乳)・動物生クリーム(スジャータ純乳40)・植物生クリーム(スジャータホイップ、脂肪分45%)、上白糖で調製した。卵・卵黄1、乳・クリーム3、上白糖は0.6(全体の15%)の割合で混合し、オーブンで150℃、30分加熱した。組織試料は、室温に冷却後、プリン中央部から7?角を採取し、10%ホルマリン・カルシウム固定を行った。アラビアゴム・シュークロース液に置換後、コンパウンド液に入れ、ドライアイス・アセトンで凍結し、クリオスタット切片(10μ)にした。タンパク質・脂肪二重染色を行い、水溶性封入剤で封入後鏡検した。同時にパラフィン切片によるPAS染色も行った。破断試験測定は、1日冷蔵庫保存後、レオナーRE3305((株)山電)でプランジャーP-22型を用い、ロードセル2kgの条件で行った。赤外線水分計によるプリンの水分測定も行った。<b>「結果」</b>牛乳,動物および植物クリームによるプリンでは、オイルレッドOに赤く染まった脂肪滴の大小、分散状態に明瞭な違いがあった。植物クリームの脂肪滴は動物クリームよりもやや大きく,全卵を用いたプリンの基質には分散しにくい傾向にあった。クリームで調製したプリンの破断応力は、牛乳を用いたものより軟らかく、植物クリームより動物クリーム使用プリンが軟らかかった。卵黄を用いたプリンは全卵よりいずれも硬かった。
著者
峯木 真知子 棚橋 伸子 設楽 弘之
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.266-271, 2003-06-15
被引用文献数
4 5

ダチョウ卵の形状,卵構成,濃厚卵白率,卵黄係数,pH,成分分析,テクスチャーについて検討し,白色レグホーン種鶏卵と比較した.<br>(1) ダチョウ卵は,形状が丸く,鶏卵の20個分に相当する大きさであった.卵殻が厚く,卵殻比が大きく,卵白が卵黄に対して多かった.卵黄の品質を示す卵黄係数は0.17と低く,卵から卵黄を分離すること自身が難しいので,卵黄係数を用いることは難しい.また,濃厚卵白率も個体差が大きく,品質・鮮度判別方法には利用しがたい.<br>(2) ダチョウ卵の一般成分には鶏卵と大差がなかったが,卵白及び卵黄の電気泳動パターンは,ニワトリ卵とは異なるパターンがみられた.ダチョウ卵の卵白の物理的特性では付着性が大きかった.