著者
峯木 眞知子 渡邊 康一
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.155-162, 2005-04-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
25

Ostrich and hen eggs were subjected to a microstructural comparison of the shell and shell membrane in the raw condition and of the albumen and yolk in the hard-boiled condition. The observation methods used were optical microscopy, scanning electron microscopy and low-vacuum scanning electron microscopy. The ostrich eggshell had a finely crackled surface. The structural components of the transverse section of the ostrich eggshell were similar to those of the hen eggshell. The shell and its vertical crystal layer of the ostrich egg were approximately five times thicker than those of the hen egg, and the spongy matrix region occupied three-quarters of the thickness of the ostrich eggshell. The results suggest that these factors were involved in the hardness of the ostrich eggshell. The ostrich eggshell membrane was two-to three-fold the thickness of the hen eggshell membrane, being composed of thick twisted fibers. The intermediate layer of the ostrich albumen showed a fine-layered structure, which seemed to be composed of thick albumen. The inner layer of the ostrich albumen comprised about 40% of the whole thickness, although its structure was indeterminate. The intensity of staining of the inner and outer layers of the ostrich albumen by the PAS reaction was stronger than that for the hen egg albumen. The ostrich yolk was packed with polyhedral yolk spheres, these yolk spheres having a similar shape and size to those of the hen yolk.
著者
峯木 真知子 棚橋 伸子 渡邊 康一
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.74, 2003

<b>「目的」</b>生クリームと卵黄を用いた「なめらか」・「とろける」プリンが高級化嗜好に伴い、好まれている。市販品6種のテクスチャーおよび組織構造の一部については、既に報告した<sup>1,2)</sup>。そこで、生クリームを用いたプリンを調製し、プリンにおける組織観察および物性測定を行い、生クリームの影響を検討する。<b>「方法」</b>プリンは、鶏卵および割卵して取り出した卵黄と、牛乳(全農協、成分無調整牛乳)・動物生クリーム(スジャータ純乳40)・植物生クリーム(スジャータホイップ、脂肪分45%)、上白糖で調製した。卵・卵黄1、乳・クリーム3、上白糖は0.6(全体の15%)の割合で混合し、オーブンで150℃、30分加熱した。組織試料は、室温に冷却後、プリン中央部から7?角を採取し、10%ホルマリン・カルシウム固定を行った。アラビアゴム・シュークロース液に置換後、コンパウンド液に入れ、ドライアイス・アセトンで凍結し、クリオスタット切片(10μ)にした。タンパク質・脂肪二重染色を行い、水溶性封入剤で封入後鏡検した。同時にパラフィン切片によるPAS染色も行った。破断試験測定は、1日冷蔵庫保存後、レオナーRE3305((株)山電)でプランジャーP-22型を用い、ロードセル2kgの条件で行った。赤外線水分計によるプリンの水分測定も行った。<b>「結果」</b>牛乳,動物および植物クリームによるプリンでは、オイルレッドOに赤く染まった脂肪滴の大小、分散状態に明瞭な違いがあった。植物クリームの脂肪滴は動物クリームよりもやや大きく,全卵を用いたプリンの基質には分散しにくい傾向にあった。クリームで調製したプリンの破断応力は、牛乳を用いたものより軟らかく、植物クリームより動物クリーム使用プリンが軟らかかった。卵黄を用いたプリンは全卵よりいずれも硬かった。
著者
長縄 貴直 渡邊 康一 神崎 文次 太田 智章 虻川 久美子 細野 明義 山口 高弘
出版者
日本酪農科学会
雑誌
ミルクサイエンス (ISSN:13430289)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.33-37, 2002
被引用文献数
3

市販のカマンベール,ゴーダチーズ,マスカルポーネ,クリームチーズおよび無塩バターを用い,アクロレイン・シッフ反応とオイルレッド O 染色の組織化学的二重染色法により,タンパク質と脂肪の存在様式とその分布を観察した.また,各試料の成分分析を行なった.その結果,各試料のタンパク質と脂肪の存在様式は,それぞれのチーズとバターの特性を反映するものであった.本研究で用いた組織化学的手法はチーズとバターの特性を把握するのに有効であることが判明した.
著者
山口 高弘 麻生 久 渡邊 康一 長谷川 喜久
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、骨格筋形成を負に制御するミオスタチン(Myostatin:MSTN)が生まれつき欠損することにより、優れた産肉形質を有する日本短角種牛(Double muscled Cattle:DM牛)の産肉向上機構の全容を解明するために計画された。平成17-19年度の3年間の研究により、下記の結果を含む多くの新知見が得られた。1)日本短角種DM牛由来の筋細胞で、HGFとIGFIIの発現が変化し、MSTNはIGFII発現を抑制し、HGFはMSTN発現を抑制すること、DM牛ではHGFによるMSTN産生が欠如するため筋肥大が生ずることが明らとなった。2)マイクロアレイ結果、DM牛で4.5倍発現低下するMSTNシグナル伝達系に関与するTBF-β inducible early gene family(TIEG1,2)が見出され、siRNA法等でTIEG1機能を欠損させたところ、細胞増殖と筋管形成が著しく増強し、MyoD familyのMRL4と増殖因子であるIGF-II発現が増加した。このことより、TIEG1がMSTN特異的シグナル伝達因子として関与することが明らかとなった。3)DM牛から成熟型MSTN欠損のクローン化筋芽細胞(Cloned Double muscled myoblasts:DMc)を樹立した。さらに、DMcからウシ不死化筋芽細胞(DMc-t)の作成に成功した。これらの細胞は、ウシ筋細胞でのMSTN作用を初めとする筋分化機構の解明に極めて有用である。4)骨格筋の分化過程において、MSTNとIGF2は関連しながら相反して作用し、MSTNとIGF1は独立して作用することが判明した。5)ウシとブタの下垂体前葉で、MSTNがTSH細胞に、MSTNレセポターアクチビン受容体IIがACTH細胞に発現することを明らかにした。6)マウス下垂体前葉でNSTNとそのレセプターがACTH細胞に発現し、MSTNがACTH細胞でのホルモン合成を抑制することを明らかにした。