著者
伊藤 嘉章 小泉 恵英 木川 りか 原田 あゆみ 白井 克也 志賀 智史 楠井 隆志 河野 一隆 早川 典子 大橋 有佳 渡辺 祐基 川村 佳男 望月 規史 川畑 憲子 森實 久美子 酒井田 千明
出版者
独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2018-04-01

初年度である今年度は、情報収集を兼ねて多角的に調査を開始した。タイでは、国立の伝統文化財部で現在行われている王室の御座船の修理方法や伝統的人形劇の人形、漆工品、色ガラスを多用した木製品、布製品、石造彫刻等の製作・修理技法のほか、寺院の壁画の修理技法について調査を実施した。インドネシアでは伝統的な影絵であるワヤン・クリの製作技法や機織りによるイカットの製作技法、伝統的な青銅製品(ゴング)の製作技法についての聴き取り調査を実施した。ミャンマーではこの地域に特有な性質をもつ漆工品の調査を行い、ベトナムでは伝統的木製品の修理のための調査のほか、藕糸の製作技法に関する調査を行った。また国内に存在するアジア地域に関連する文化財についても積極的に調査を進めた。中国式寺院の独特な様式をもつ仏像や金工品や、国内で保有しているアジア地域と関連する染織品(藕糸を使用したと考えられる絵画やインド更紗)、韓国の伝統的絵画(綿布に書かれた絵画)の修理方法についての調査、響銅(佐波理)の製作痕の調査、インドネシアのガムランの音色にかかわる構造などについての詳細調査を実施したほか、出土した茶入などの陶器についても製作技法を解明するためにCTによる詳細な構造調査を行った。このほか、修理技法と係る基礎研究としては、アジア地域で伝統的技法に多用されてきた灰汁について文書の修理への利用を念頭に、成分分析と修理対象となる紙に対する影響調査を行った。
著者
秋山 純子 畑 靖紀 森實 久美子 鷲頭 桂
出版者
独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

彩色材料は当時の社会情勢や世界との交流の歴史を解明する上で重要な要素のひとつである。近年の分析装置の発展により非破壊で多くの情報が得られるようになったが、絵画の彩色材料の解明には、非破壊で簡便な「面」の広がりを持った総合的な判断要素となる科学分析が必要である。本研究では、赤外線撮影法が彩色材料の面的調査に有効な方法となりうるか検証した。その結果、赤外線画像の濃淡だけで顔料の種類を特定することは難しいが、同じ彩色材料の使用範囲や染料と顔料の組み合わせの様相など技法的な部分を面的に推察するのに有効であることが明らかとなった。
著者
藤岡 穣 古谷 優子 森實 久美子 鈴木 雅子 三田 覚之 山口 隆介
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

日本の仏教美術に関する研究は、従来、絵画や彫刻といったジャンル別の研究が主流であった。本研究は、それに対して、異なるジャンル間の相互の影響関係、ジャンルによる表現の異同の様相などを明らかにしながら、ジャンルの枠を超えた総合的な研究を目指すものである。こうした研究は、短期間のうちに容易に達成されるものではなく、本研究ではまさにその端緒に着いたばかりであるが、今後も引き続きジャンルごとの研究成果の共有化をはかり、より総合的な研究を目指していきたい。
著者
湯山 賢一 西山 厚 鈴木 喜博 岩田 茂樹 内藤 栄 稲本 泰生 吉澤 悟 宮崎 幹子 谷口 耕生 野尻 忠 研清水 健 岩戸 晶子 斎木 涼子 北澤 菜月 永井 洋之 中島 博 有賀 祥隆 前園 実知雄 東野 治之 根立 研介 藤岡 穣 高橋 照彦 山崎 隆之 梶谷 亮治 杉本 一樹 成瀬 正和 尾形 充彦 西川 明彦 森實 久美子 原 瑛莉子
出版者
独立行政法人国立文化財機構奈良国立博物館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

「奈良朝仏教美術の主要作例、もしくはその国際性を考える上で重要な周辺作例の中から対象とする文化財を選定し、それらに関する基礎資料を学界の共有財産として提供する」という目的に沿って調査研究を行い、22年度末に5部構成・2分冊からなる研究成果報告書を刊行した。薬師寺に伝来した藤田美術館所蔵大般若経(魚養経)全387巻の撮影及び書誌的データの集成、蛍光X線分析による香取神宮所蔵海獣葡萄鏡や東大寺金堂鎮壇具の成分分析を通した制作地の特定などが、代表的な成果である。