著者
篠崎 智大 横田 勲 大庭 幸治 上妻 佳代子 坂巻 顕太郎
出版者
日本計量生物学会
雑誌
計量生物学 (ISSN:09184430)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.1-35, 2020 (Released:2020-12-04)
参考文献数
65

Prediction models are usually developed through model-construction and validation. Especially for binary or time-to-event outcomes, the risk prediction models should be evaluated through several aspects of the accuracy of prediction. With unified algebraic notation, we present such evaluation measures for model validation from five statistical viewpoints that are frequently reported in medical literature: 1) Brier score for prediction error; 2) sensitivity, specificity, and C-index for discrimination; 3) calibration-in-the-large, calibration slope, and Hosmer-Lemeshow statistic for calibration; 4) net reclassification and integrated discrimination improvement indexes for reclassification; and 5) net benefit for clinical usefulness. Graphical representation such as a receiver operating characteristic curve, a calibration plot, or a decision curve helps researchers interpret these evaluation measures. The interrelationship between them is discussed, and their definitions and estimators are extended to time-to-event data suffering from outcome-censoring. We illustrate their calculation through example datasets with the SAS codes provided in the web appendix.
著者
大場 洋子 田中 輝明 佐藤 雅子 横田 勲 瀧川 千鶴子
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.307-314, 2021 (Released:2021-12-10)
参考文献数
25

【目的】終末期がん患者の生存期間ががん治療医の経験に基づく予後予測よりも短い患者側の要因,および死亡までの経過との関連を検討する.【方法】KKR札幌医療センター緩和ケア病棟に予後1〜3カ月として紹介され,その後3カ月以内に死亡退院した終末期がん患者を対象に,後方視的検討を行った.【結果】対象患者249例のうち,実際の生存期間が1カ月未満であった患者は102例(OS1, 41%),1カ月以上3カ月以内の患者は147例(OS1–3, 59%)であった.Japan Coma Scale II以上の意識障害,経口摂取量数口以下を呈する患者がOS1–3に比べOS1で有意に多かった.2日以内で死に至る急な容態変化による死亡はOS1で有意に多かった.【結論】上記要因を持つ患者の生存期間は予測予後より短い可能性があるが,予後の不正確性に与える医師側の要因を検討する必要がある.
著者
福谷 直人 任 和子 山中 寛恵 手良向 聡 横田 勲 坂林 智美 田中 真琴 福本 貴彦 坪山 直生 青山 朋樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1512, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】腰痛は,業務上疾病の中で約6割を占める労働衛生上の重要課題であり,特に看護業界での課題意識は高い。近年では,仕事に出勤していても心身の健康上の問題で,労働生産性が低下するプレゼンティーイズムが着目されている。しかし,看護師の腰痛に着目し,急性/慢性腰痛とプレゼンティーイズムとの関連性を検討した研究はない。したがって,本研究では,看護師における急性/慢性腰痛がプレゼンティーイズムに与える影響を明らかにすることを目的とした。【方法】大学病院に勤務する看護師807名(平均年齢:33.2±9.6歳,女性91.0%)を対象に,自記式質問紙を配布し,基本属性(年齢,性別,キャリア年数),腰痛の有無,腰痛の程度(Numeric Rating Scale)を聴取した。腰痛は,現在の腰痛の有無と,現在腰痛がある場合,その継続期間を聴取することで,腰痛なし,急性腰痛(1日から3ヶ月未満),慢性腰痛(3ヶ月以上)に分類した。さらに,プレゼンティーイズムの評価としてWork Limitations Questionnaire-J(WLQ-J)を聴取した。WLQ-Jは,労働生産性を数値(%)で算出できる質問紙であり,“時間管理”“身体活動”“集中力・対人関係”“仕事の結果”の下位尺度がある。統計解析では,対象者を腰痛なし群,急性腰痛群,慢性腰痛群に分類し,Kruskal Wallis検定(Bonferroni補正)およびカイ二乗検定にて基本属性,WLQ-Jを比較した。次に,従属変数に労働生産性総合評価および各下位尺度を,独立変数に急性腰痛の有無,または慢性腰痛の有無を,調整変数にキャリア年数・性別を投入した重回帰分析を各々行った(強制投入法)。統計学的有意水準は5%とした。【結果】回答データに欠測のない765名を解析対象とした。対象者のうち,363名(47.5%)が急性腰痛,131名(17.1%)が慢性腰痛を有していた。単変量解析の結果,腰痛なし群に比べ,急性および慢性腰痛群は有意に年齢が高く,キャリア年数も長い傾向が認められた(P<0.001)。加えて,“労働生産性総合評価”“身体活動”“集中力・対人関係”において群間に有意差が認められた(P<0.05)。重回帰分析の結果,急性腰痛が労働生産性に与える影響は認められなかったが,慢性腰痛は“集中力・対人関係”と有意に関連していた(非標準化β=-5.78,標準化β=-1.27,P=0.016,95%信頼区間-10.5--1.1)。【結論】本研究結果より,看護師の慢性腰痛は“集中力・対人関係”低下と有意に関連することが明らかとなった。急性腰痛は,発症してから日が浅いため,まだ労働生産性低下には関連していなかったと考えられる。しかし,慢性腰痛では,それに伴う痛みの増加や,うつ傾向などが複合的に“集中力・対人関係”を悪化させると考えられ,慢性腰痛を予防することで労働生産性を維持していくことの重要性が示唆された。
著者
阿久津 智子 櫻田 宏一 横田 勲
出版者
科学警察研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

まず、前年度までの成果である血液・唾液・精液multiplex RT-PCR系に、膣液multiplex RT-PCR系を統合し、さらに鼻汁マーカー1種を加えた、5種の体液に対する16-plex RT-PCR系を構築した。標準的な体液試料を用いて16マーカーの増幅バランスを確認したところ、血液マーカー1種および膣液マーカー1種の増幅が著しく低下していた。両プライマーの配列から、プライマーダイマーが形成されることが判明したため、血液マーカーのプライマーを再設計したところ、増幅バランスが改善した。つづいて、新たに整備されたジェネティックアナライザーSeqStudioを用いたフラグメント解析による、16-plex RT-PCR法の増幅産物の検出を試みた。検出条件の最適化のため、PCR産物の希釈、プライマーの希釈、PCRサイクルの調整等を行ったところ、PCR増幅産物を適宜希釈することで、PCR条件を改変することなく、SeqStudioによるフラグメント解析にも対応可能であることが確認できた。併せて、フラグメント解析・ジェノタイピング用ソフトウェアGenemapperによる解析条件も決定した。決定した分析・解析条件により、標準的な各種体液試料における16-plex RT-PCR法の増幅産物をSeqStudioで解析し、各マーカーの特異性を確認した。その結果、各マーカーは、概ね想定される体液に対して特異的であったが、一部のマーカーで他の体液との交差性が認められた。