著者
冨田 寛 田中 真琴 生井 明浩
出版者
日本微量元素学会
雑誌
Biomedical Research on Trace Elements (ISSN:0916717X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.54-62, 2007 (Released:2007-05-29)
参考文献数
22
被引用文献数
7

1. In Japan, patients with taste disorder as a primary symptom of zinc deficiency are increasing.2. The incidence of taste disorder due to diet (insufficient intake of zinc) is especially high. The serum zinc value in patients with taste disorder due to diet was 20μg/dl (in many cases mean value is 60-79μg/dl )lower than the healthy group, but the half cases remained in more than 80μg/dl.3. The efficacy of oral administration of zinc in patients with taste disorder due to diet did not correlate with the zinc value before this therapy, but about 85%.4. Increasing rate of serum zinc values after the oral zinc therapy in patients with taste disorder due to diet was significantly high more than the placebo group. Lower serum zinc values in the patients were more effective. Correlate with the amount of oral administration of zinc.5. We would like to propose 80μg/dl as the diagnosis value(cutoff value) of zinc deficiency, referring to the above results and the conclusion of the Yokoi's study(Association between plasma zinc concentrations and zinc kinetic parameters in premenopausal women).
著者
福谷 直人 任 和子 山中 寛恵 手良向 聡 横田 勲 坂林 智美 田中 真琴 福本 貴彦 坪山 直生 青山 朋樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1512, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】腰痛は,業務上疾病の中で約6割を占める労働衛生上の重要課題であり,特に看護業界での課題意識は高い。近年では,仕事に出勤していても心身の健康上の問題で,労働生産性が低下するプレゼンティーイズムが着目されている。しかし,看護師の腰痛に着目し,急性/慢性腰痛とプレゼンティーイズムとの関連性を検討した研究はない。したがって,本研究では,看護師における急性/慢性腰痛がプレゼンティーイズムに与える影響を明らかにすることを目的とした。【方法】大学病院に勤務する看護師807名(平均年齢:33.2±9.6歳,女性91.0%)を対象に,自記式質問紙を配布し,基本属性(年齢,性別,キャリア年数),腰痛の有無,腰痛の程度(Numeric Rating Scale)を聴取した。腰痛は,現在の腰痛の有無と,現在腰痛がある場合,その継続期間を聴取することで,腰痛なし,急性腰痛(1日から3ヶ月未満),慢性腰痛(3ヶ月以上)に分類した。さらに,プレゼンティーイズムの評価としてWork Limitations Questionnaire-J(WLQ-J)を聴取した。WLQ-Jは,労働生産性を数値(%)で算出できる質問紙であり,“時間管理”“身体活動”“集中力・対人関係”“仕事の結果”の下位尺度がある。統計解析では,対象者を腰痛なし群,急性腰痛群,慢性腰痛群に分類し,Kruskal Wallis検定(Bonferroni補正)およびカイ二乗検定にて基本属性,WLQ-Jを比較した。次に,従属変数に労働生産性総合評価および各下位尺度を,独立変数に急性腰痛の有無,または慢性腰痛の有無を,調整変数にキャリア年数・性別を投入した重回帰分析を各々行った(強制投入法)。統計学的有意水準は5%とした。【結果】回答データに欠測のない765名を解析対象とした。対象者のうち,363名(47.5%)が急性腰痛,131名(17.1%)が慢性腰痛を有していた。単変量解析の結果,腰痛なし群に比べ,急性および慢性腰痛群は有意に年齢が高く,キャリア年数も長い傾向が認められた(P<0.001)。加えて,“労働生産性総合評価”“身体活動”“集中力・対人関係”において群間に有意差が認められた(P<0.05)。重回帰分析の結果,急性腰痛が労働生産性に与える影響は認められなかったが,慢性腰痛は“集中力・対人関係”と有意に関連していた(非標準化β=-5.78,標準化β=-1.27,P=0.016,95%信頼区間-10.5--1.1)。【結論】本研究結果より,看護師の慢性腰痛は“集中力・対人関係”低下と有意に関連することが明らかとなった。急性腰痛は,発症してから日が浅いため,まだ労働生産性低下には関連していなかったと考えられる。しかし,慢性腰痛では,それに伴う痛みの増加や,うつ傾向などが複合的に“集中力・対人関係”を悪化させると考えられ,慢性腰痛を予防することで労働生産性を維持していくことの重要性が示唆された。
著者
田中 真琴
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.153-155, 2017-06-01 (Released:2017-07-05)
参考文献数
8
著者
田中 真琴
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.242-246, 2020-10-15 (Released:2021-10-15)
参考文献数
18

認知症と味覚障害との関連についての研究は, 嗅覚障害に関する研究を比べて非常に少ない。 アルツハイマー病において, 味覚障害は生じないとする報告, 特定の味質のみの味覚が低下するとする報告, すべての味質の味覚が低下するとする報告などその結果もさまざまで, 一定の見解が得られていない。 味覚機能は加齢に伴い低下するものの, その感受性は個人差が大きいこと, また, 味覚機能の評価法が統一されていないため一貫性のある研究に繋がらないことなどが問題であり, 今後の研究の発展が期待される。
著者
松田 慶士 田中 真琴 野村 泰之 鴫原 俊太郎 大島 猛史
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.55-61, 2022 (Released:2022-07-15)
参考文献数
15

症例は70歳代男性.数ヵ月前から39℃を超える発熱,咽頭痛,皮疹の出現を繰り返していた.初診時,口腔内および咽頭喉頭にアフタ性潰瘍が多発していたため,急性咽喉頭炎による重症感染症を疑い抗菌薬治療を行った.咽頭喉頭所見は加療により概ね改善し,皮疹も消退傾向であったが,軽微な炎症反応,弛張熱,大球性貧血は遷延していた.貧血の精査目的に骨髄生検を施行.精査中に新たな皮疹も出現したため,皮膚生検を施行した.生検の結果,骨髄異形成症候群を合併したSweet病の診断に至った. 急性咽喉頭炎に皮疹を合併した症例で,抗菌薬治療を行っても症状が遷延する場合には,背景にSweet病や自己免疫疾患などが存在する可能性がある.
著者
川島 徹治 川上 明希 蘆田 薫 田中 真琴
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.763-771, 2021 (Released:2022-03-02)
参考文献数
30

目的:集中治療領域での終末期患者とその家族に対するインフォームドコンセント(Informed Consent: IC)における看護実践の実施程度に関連する要因を明らかにすること.方法:集中治療領域で働く看護師(96病院955名)を対象に集中治療領域での終末期患者とその家族に対するICにおける看護実践尺度の得点に関連する要因を重回帰分析にて検討した.結果:尺度合計得点が高いことと有意な関連を示したのは,研修参加経験有(β = .098, p = .010),学生時の学習歴有(β = .103, p = .006),他者への相談頻度が高い(β = –.214~–.034, p < .001),最終学歴(β = .057~.063, p = .010),診療体制:セミクローズド(β = .093, p = .023),フリー看護師がいる頻度が高い(β = –.044~–.141, p = .021),看護提供方式:パートナーシップ(β = .095, p = .007)であった.結論:ICでの看護実践の充実には,問題対処への積極的な姿勢や学習経験,看護提供体制の重要性が示唆された.
著者
田中 真琴
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.122, no.10, pp.1279-1284, 2019-10-20 (Released:2019-11-06)
参考文献数
6
被引用文献数
1

味覚障害患者の訴える症状は, 味覚低下・脱失といった量的味覚異常から, 自発性異常味覚や異味症のような質的味覚異常まで多岐にわたる. その原因は多様で, 単一ではなく複合的な場合も多く, 治療で改善がみられないケースもある. また, 味覚定量検査 (電気味覚検査・濾紙ディスク検査) は, 残念ながら限られた施設でしか行われていないのが現状である. これらの理由から, 味覚障害診療は, 耳鼻咽喉科医でも馴染みの薄い分野であると思われる. 味覚障害は, 60歳以上の高齢者に多い, 生活の質 (QOL) を著しく損なう疾患である. その診療の需要は, 高齢化に伴い今後さらに増加することが予想され, 耳鼻咽喉科の専門性をアピールできる領域と考えている. 味覚障害診療での, 問診, 視診, 臨床検査, 機能検査, 診断, 治療, フォローアップの概略を述べる.
著者
高橋 良 田中 真琴 任 和子
出版者
京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻
雑誌
京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻紀要 : 健康科学 : health science (ISSN:18802826)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.41-51, 2014-03-31

We conducted a qualitative research project to determine the coping mechanisms of male nurses in facing the challenges of being males in a predominantly female field. Health care workers and the patients face issues of stigmatization in their interactions within the health care environment. Our team conducted interviews with five male nurses. The purpose was to identify the sources and coping mechanisms of work-induced stress for male nurses in the female-dominated professional field. We found that they faced 3 sources of stress. The 3 main sources of stress were: difficulty in interacting with female patients; difficulty in interacting with female nurses; and anxiety regarding their future career development. The coping strategies of the male nurses consisted of both problem-oriented coping and emotion-oriented coping, with the male nurses gravitating to one or both orientations depending on the source of stress. In order to face the 3 sources of stress, the male nurses used seven coping mechanisms: a tendency to assign tasks among the female members of the team; constructing their own new coping mechanisms such as blocking out unpleasant situations; developing a mature experience-based response procedure for dealing with female patients; realization of their personal strengths as males; relieving stress by sharing challenges with other male nurse peers; developing an awareness of professional pride and responsibility; habituation of being a minority gender in a group of females. We believe the research reveals a need for hospitals to provide specialized support and training to male nurses.