著者
三上 進 山田 俊郎
出版者
The Malacological Society of Japan
雑誌
貝類学雑誌 (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.70-72, 1979-04-30 (Released:2018-01-31)

オオベソオウムガイの生きているままで, 殻及び軟体部の重量を推定するため, 飼育実験中に斃死した7標本につき, 総体重, 殻重量及び軟体部重量を計測した。これから殻と軟体部の重量比を算出し, 解体の際失われる体液, 殻房内に含まれる液体重量は極めて小さい事を明らかにした。これらの値をWARD他(1977)の報告したオウムガイの計測値について吟味した結果, 極めて近い値を示した。将来幾つかの解決すべき問題もあるが, 本調査で求められた殻・軟体比率は重要な基礎的資料と認められる。
著者
岸田 直裕 松本 悠 山田 俊郎 浅見 真理 秋葉 道宏
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.70-80, 2015-04

目的:我が国における飲料水を介した健康危機の発生実態を明らかとすることを目的とした.方法: 1983年 1 月から2012年12月までの30年間を対象期間とし,期間中に発生した飲料水を介した健康危機事例を収集し,健康危機の発生傾向について分析を行った.結果:過去30年間に飲料水を介した健康危機事例は約590件発生しており,化学物質が原因の事例が最も多かったが,明らかな健康被害が発生した事例では,原因物質の大半は微生物であった.地下水を水源とする専用水道や飲用井戸等の小規模の施設において健康被害を伴う水質事故が高頻度で発生しており,主要な発生要因は消毒の不備であった.また,飲料水を介した病原微生物が原因の健康リスクは米国やEUと比べ低く維持できていると示唆された.結論:我が国の飲料水を介した健康リスクを減少させるためには,飲用井戸,専用水道等の小規模施設の適切な衛生管理を実施していくことが重要である.
著者
廣瀬 通孝 小木 哲朗 石綿 昌平 山田 俊郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.81, no.5, pp.888-896, 1998-05-25
参考文献数
7
被引用文献数
130

本論文では, 5面のスクリーンを有する多面型全天周ディスプレイCABINの設計, 試作ならびにその特性評価について述べる.このシステムの特徴としては, 利用者の体重を支えることができるように下面スクリーンに強化ガラスを用いていること, CG映像と実写映像の両方を投影できること等を挙げることができる.5面スクリーンを使用することによって, 映像を見渡す際の視野角を大きくとることができ, 更に画面から飛び出して見える3次元物体をいろいろな方向から見回す際の視点の移動可能領域が格段に大きくなることが期待できる.試作システムについてその領域の大きさを定量的に解析した結果, 5面のスクリーンの必要とされる領域が非常に大きいこと, スクリーン枚数の増加による視野角の増大が顕著なことなどが明らかになった.また, 生成された仮想空間の精度についても評価を行ったところ, 中央付近から全体を見渡すような場合には, かなり実空間に近い視空間が生成できていることを実験的に検証することができた.
著者
山田 俊郎 棚橋 英樹 小木 哲朗 廣瀬 通孝
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.531-538, 1999-09-30 (Released:2017-02-01)
参考文献数
11
被引用文献数
3

The multi-screen display using video projector has concerned interest and become popular for virtual reality display. In this paper, we discuss a visual effects that depends on the number of screens of a cubic display and report a development of COSMOS. COSMOS is a CAVE-like 6 screen display and the user is surrounded by screens completely. We examined a visual effect of multi-screen display and confirmed that the 6 screen display has an outstanding visual effect comparing to display that has less than 6 screens. By using the COSMOS, we investigated the effects of full immersion in the large scale virtual space navigation. The result suggests that the changes from 5 screens to 6 screens are not only "quantitative difference" but also "qualitative difference".
著者
吉岡 明 山田 俊郎
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.56-64, 1990-01-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
50
被引用文献数
5 6

An economical synthetic process of methyl jasmonate has been established.Total yield of this process is higher than 60 % for all five steps from cheaply available adipic acid. 2-Pentyny1-2-cyclopentenone, the key intermediate in this route, is synthesized by applying the improved palladiumcatalyzed enone formation from allyl β-keto carboxylate as a key reaction. The pentynyl moiety is introduced by the use of pentynyl chloride which is prepared in two steps from 2-butyne, our original source, cheaply.
著者
菅 夏海 柴沼 成一郎 山田 俊郎 檜垣 直幸 門谷 茂 Natsumi Suga Seiichiro Shibanuma Toshiro Yamada Naoyuki Higaki Shigeru Montani 北海道大学大学院環境科学院 北海道大学大学院環境科学院 株式会社西村組研究開発室 北海道立総合研究機構地質研究所 北海道大学大学院環境科学院 Graduate School of Environmental Science Hokkaido University Graduate School of Environmental Science Hokkaido University Nishimuragumi Co. Ltd. Geological Survey of Hokkaido Graduate School of Environmental Science Hokkaido University
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 = Umi no Kenkyu (Oceanography in Japan) (ISSN:21863105)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.19-36, 2011-01-05
参考文献数
28

北海道道東に位置する火散布沼(ひちりっぷぬま)はラムサール条約登録湿地の一部でありながらも, 沼内ではアサリをはじめとする様々な漁業生産活動が行われている非常に特異な汽水域である。本研究ではこの火散布沼にて, 潮位, 流速などの物理環境を調査するとともに, 水温, 塩分, 栄養塩, クロロフィルα濃度の時空間分布を詳しく示し, 火散布沼の水理構造と, その生物過程の基盤となる栄養塩の起源について考察した。一日に供給される淡水量は沼容積の0.9~8.0%であったのに対し, 一潮汐周期にて沼に流入する外海水は沼容積の34~59%であったことから, 火散布沼は淡水供給よりも潮汐による外海水の流出入の方が卓越した系であることが確認できた。また, 試料中の窒素/リン(N/P)比, ケイ素/窒素(Si/N)比は, 火散布沼はNが制限的に作用しやすい環境であることを示していた。塩分と栄養塩類の相関関係, および潮汐による栄養塩類の流出入フラックスから, 火散布沼への無機態Nの供給源として外海水及び沼内生物による再生産の重要性が示唆された。河川(淡水)からの栄養塩供給が汽水域の基礎生産を支えるという報告例が多いが, 淡水供給量が小さい火散布沼のような汽水域においては, その基礎生産は外海水や再生産によって供給される栄養塩に支えられており, 本稿は火散布沼を淡水から供給される栄養塩に支配されない汽水生態系システムの典型例として報告する。Monthly field observations and a 36-hour survey were conducted in the brackish lagoon of Hichirippu in the eastern part of Hokkaido, Japan (43°02'N, 145°00'E). The lagoon covers an area of 3.58km^2 and has a mean water depth of ca. 70cm. It is inhabited by many animals and benthic plants (e.g. short-necked clam, swan, and the Japanese red-crowned crane), and is designated as a wetland under the Ramsar Convention. The rich natural environment of the lagoon, with a catch yield of fish, shellfish and seaweeds of about 90ton/yr, should therefore be preserved as a fishery area. In Hichirippu lagoon, we investigated the spatial and temporal distribution of nutrients and physical properties. The daily volume of freshwater input was 0.9~8.0% of total volume of the lagoon, while the volume of water entering the lagoon on the rising tide per half tidal day was 34~59%. The N : P and Si : N ratios were nearly below 16 and higher than 1, respectively, indicating nitrogen limitation. Plots of nutrients vs. salinity suggested nitrate+nitrite supply from the adjacent sea (Pacific Ocean), while the origin of ammonium was neither the adjacent sea nor freshwater. The results of the 36-hour survey showed that tidal nitrate+nitrite influx and outflux was 4.3 and 3.1kmol/half tidal day, respectively. It implicates 1.2kmol/half tidal day was supplied to the lagoon. Tidal ammonium flux values are nearly conserved. This suggests that ammonium is mainly regenerated by clam excretion in summer. Previous studies generally have shown that the freshwater input plays an important role in controlling estuarine primary production. Our results suggest that in Hichirippu lagoon both the nutrient import from the adjacent sea and the processes of nutrient regeneration within the estuary have an important effect on the primary production rather than the freshwater input.
著者
小木 哲朗 山田 俊郎 栗田 裕二 服部 陽一 廣瀬 通孝
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.37-46, 2003
参考文献数
54
被引用文献数
4

Video avatar technology has become very popular as a high presence communication tool in the shared virtual world. In order to generate a realistic video avatar, several modeling techniques, such as the 2D plate model, 2.5D surface model or 3D voxel model have been proposed. This paper discusses the features and the usage of the various video avatar techniques. The appropriate video avatar that is used in the application system should be selected according to the purpose and the system environments. In addition, we also discuss the video avatar studio and the video avatar server technologies that were developed to utilize the various video avatar methods effectively in the networked virtual environments.
著者
井上 隆信 永淵 修 山田 俊郎
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

インドネシアのカリマン島のカハヤン川流域では金採掘が活発であり、下流に位置する中央カリマンタン州の州都のパランカラヤ市では、金採掘に伴う水銀汚染が社会問題となっている。本研究では、カハヤン川と主な支川であるルンガン川について、河川水、底質、魚の水銀濃度の調査を行い、汚染レベルの調査を実施した。カハヤン川ではパランカラヤの上流約100kmのツバングミリまで、ルンガン川ではカハヤン川流入地点から約50km上流のムングクバルまでの問で、本川と支川で行った。河川水の総水銀濃度は、200ng/L以下であり、インドネシアの環境基準の1000ng/Lよりは低かった。濃度の高い場所は、金採掘の盛んな地域の支川であり、金採掘近傍の地域では高濃度になる可能性があることがわかった。河川底質の総水銀濃度は0.01〜0.1mg-Hg/kg-DWであり、他の汚染地域と比べて高くなかった。魚中の濃度は0.02〜0.5mg-Hg/kgであり、特に底生魚のナマズの一種で高かった。最高濃度は、厚生労働省が発表した「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」で2週に一度の摂食が望ましいとされる魚と同程度の濃度(注意が必要な魚の4段階のレベルで上から3番目)であった。カハヤン川沿いには部落が点在し、農業と漁業により自給自足的な生活をしている。イスラム教徒の割合が高く豚肉と牛肉は食べないため、魚は鶏肉とともに重要なタンパク源となっている。これらのことから、現時点では金採掘に伴う水銀排出による河川の水銀汚染が深刻な状況までに至っていないと考えられるが、魚を通して、人体への影響が懸念される状況であり、今後のさらなるモニタリングが必要な状況であった。