著者
辰巳 健一 中埜渡 丈嘉 三浦 勝巳 成田 隆広 神 和夫 眞柄 泰基 橘 治国
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
環境工学研究論文集 (ISSN:13415115)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.257-266, 2002-11-14 (Released:2010-06-15)
参考文献数
14

The Toyohira River, the source for Sapporo's waterworks, receives inflow discharged from mines and hot springs. The concentration of potentially hazardous substances in such inflow is high for some flow regimes, which raises concerns related to water quality management. We conducted a water quality survey during and after rainfall (Aug. 21-24, 2001). Rainfall totaled 79 mm. This report reviews the movement of arsenic identified from its runoff characteristics based on continuous observation of water quality during the rainfall. Dissolved arsenic was found to showpoint-type discharge (distilled) whereby the concentration decreased according to the increase in discharge. Suspended arsenic was found to show a non-point-type (outflow) discharge, as was true for suspended solids. Arsenic stored in thesilt and clay of bottom sediment at normal times is tracted by the turbulent flow that occurs during rainfall, becomes suspended, and flows down in high concentration.
著者
田中 恵理子 代 英杰 林 永波 古月 文志 田中 俊逸 神 和夫 平間 祐志
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.58, no.9, pp.807-813, 2009-09-05
参考文献数
18
被引用文献数
1 5

2005年11月中国吉林市にある吉林石油化学会社の工場で起こった爆発事故によって,ニトロベンゼンが中国東北部を流れる松花江に流入し,河川を汚染した.本研究では,汚染物質が通過したハルビン市内の松花江で採取された魚試料中のニトロベンゼンの測定を行った.また,ニトロベンゼンの代謝によって生成すると予想されるニトロフェノール類の定量を行った.ニトロベンゼンの抽出と濃縮には,精油定量装置を用い,魚試料の調製,魚試料の前処理,抽出条件等について検討した.その結果,2006年3月と10月に採取した魚試料からは比較的高い濃度のニトロベンゼンが検出された.また,魚試料からニトロベンゼンの代謝物と思われる<i>o</i>-,<i>m</i>-,<i>p</i>-ニトロフェノールが検出された.
著者
岸 玲子 吉岡 英治 湯浅 資之 佐田 文宏 西條 泰明 神 和夫 小林 智
出版者
北海道大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

いわゆる化学物質過敏症を疑って札幌市内1医院を受診した患者全員(30人)に基本調査票の記入を依頼し、男性2名を含む26名から回答を得た。平均年齢は44.5歳、発症からの経過年数は2-5年が10人、発症時と比べて症状が悪化した11名、症状頻度が増加した13名だった。ドイツのBeilerらが開発した化学物質過敏症尺度(IEI尺度)を用いた結果、主訴は「においを強く感じる、頭痛、集中力の低下、疲労感、眠気」であり、原因物質は「ある種の香水、塗料または希釈液、タバコや葉巻、ガソリンのにおい、整髪料、マニキュア」だった。化学物質曝露による「健康状態、職場や学校での能力、余暇、家庭生活、身体的能力」への影響の有訴が高かった。この結果、先行研究同様に本研究対象者にとってもいわゆる化学物質過敏症は複数の身体症状が長く続く状態であるといえた。このうち同意が得られた18名(内男性1名)に芳香療法(アロマセラピー)の介入を、無作為化クロスオーバー比較試験として実施した。IEI尺度、および不安尺度については、介入期間前後と対照期間前後の得点差には統計学的有意差は見られなかったが(p>0.05)、各回のアロマセラピー前後では気分尺度の6つ全ての下位尺度に有意な改善が認められた(p<0.05)。化学物質過敏症は臨床的な疾病概念が定義されていない。しかし患者にとって身体症状は事実であり、症状コントロールが必要であるにもかかわらず、現在までに有効性が示された療法はない。本研究は化学物質過敏症へのアロマセラピーの効果を初めて検討した。対象者数が少なく、アロマセラピー介入による症状改善効果は本研究では明らかにならなかったものの短期には気分の改善が認められ、対象者の多くは機会があればこれからもアロマセラピーを受けたいと答えたことから、本研究の課題を改善することでさらなる研究の可能性が示唆された。
著者
神 和夫
出版者
北海道立衛生研究所
巻号頁・発行日
2002-11-29

1996年以降、北海道東部を中心に急増したオオワシ、オジロワシの鉛中毒の原因がエゾシカ猟に使用された鉛製ライフル弾であることを解説した。増えすぎたエゾシカの個体数管理が急務とされ、有害駆除や冬季の猟銃が行われているが、ハンターによって回収されず、放置される個体がある。こうしたエゾシカ体内にはライフル弾の鉛破片が残っており、越冬のために飛来したワシ類がこの死体を摂食するため鉛中毒を発症する。オオワシ・オジロワシは海ワシ類と呼ばれ、本来は主に沿岸で魚類を餌としているが、最も餌の不足する厳冬期にエゾシカの死体があることから、ワシ類の生態に変化が生じたと考えられた。鉛弾の使用禁止、純銅弾・フェイルセーフ弾の推奨など、行政の取り組みについても触れた。