著者
新井 孝昭 小林 庸浩 新井 達也
出版者
筑波技術短期大学学術国際交流委員会
雑誌
筑波技術短期大学テクノレポート (ISSN:13417142)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.1-7, 2003

本学(筑波技術短期大学)聴覚部において、授業時における教員の発言を学生が苦労せずに読み取れる状況になることは、教員が意図した教育的成果を期待する上でも、必要不可欠な教育環境である。そこで我々は、授業記録テープをろう学生と聴者教員のそれぞれが読み取り、それらの比較・分析をおこなった。その結果、授業における学生の読み取りの誤りが、聴者教員(話者)に気づかれることなく、いくつも生じていることが改めて確認できた。本稿では、読み取り分析から明らかになった表現の問題点を指摘し論考するとともに、本学での教育的成果を上げるためにも、ろう(または「難聴」)学生に通用するもう一つのコミュニケーションスタイルの必要性について論述する。
著者
根本 匡文 松藤 みどり 生田目 美紀 三牧 敏太郎 萩田 秋雄 櫻庭 晶子 川島 光郎 渡辺 隆 皆川 洋喜 石原 保志 中瀬 浩一
出版者
筑波技術短期大学学術国際交流委員会
雑誌
筑波技術短期大学テクノレポート (ISSN:13417142)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.69-77, 2003

筑波技術短期大学聴覚部では、授業に関する情報を共有し、個々の教官の授業改善に資するために、平成14年度に授業研究 FD を3回実施した。そこでは5つの学科専攻及び一般教育等からビデオに記録した授業素材が提供され、意見交換と協議が行われた。本稿では、実際に提供された授業素材の内容とビデオ視聴後の協議の概要を整理・記録し、あわせて、FD に関する聴覚部教官の評価結果を記述した。授業改善のための努力をこれからも続ける必要がある。
著者
一幡 良利 浅賀 久美 池田 尚弘 木村 佳代 竹谷 恵美
出版者
筑波技術短期大学研究委員会
雑誌
筑波技術短期大学テクノレポート (ISSN:13417142)
巻号頁・発行日
no.6, pp.269-272, 1999-03

皮膚表面に常在する細菌に対するエタノールの消毒効果と持続性を検討した。消毒回数と生菌数の減少ならびに出現は一致しており、消毒回数の多いほど生菌数の減少が著しく、持続性も長かった。皮膚表面から分離した表皮ブドウ球菌の消毒薬に対する効果を形態学的に観察したところ、細胞壁の断裂ならびに細胞質内のタンパク変性が顕著で確実に死滅していた。以上の事実から、消毒用エタノールの細菌に対する効果は、殺菌的に働く故に的確に用いれば、持続性もあり有効な薬剤であることが判明した。
著者
一幡 良利 浅賀 久美 池田 尚弘 木村 佳代 竹谷 恵美
出版者
筑波技術短期大学研究委員会
雑誌
筑波技術短期大学テクノレポート (ISSN:13417142)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.269-272, 1999-03

皮膚表面に常在する細菌に対するエタノールの消毒効果と持続性を検討した。消毒回数と生菌数の減少ならびに出現は一致しており、消毒回数の多いほど生菌数の減少が著しく、持続性も長かった。皮膚表面から分離した表皮ブドウ球菌の消毒薬に対する効果を形態学的に観察したところ、細胞壁の断裂ならびに細胞質内のタンパク変性が顕著で確実に死滅していた。以上の事実から、消毒用エタノールの細菌に対する効果は、殺菌的に働く故に的確に用いれば、持続性もあり有効な薬剤であることが判明した。
著者
今井 計
出版者
筑波技術短期大学研究委員会
雑誌
筑波技術短期大学テクノレポート (ISSN:13417142)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.45-48, 1994-05-02

平成3年4月本学に着任し,学生の要請に応じてバレーボール指導している。まず,バレーボール経験の有無を聞き,経験者・未経験者のプレーぶりを見て指導を始めた。1年間指導して,健聴者のように声で連携プレーができないため,アウトボールに触ったり,お見合いをした。そこで聴覚障害を加味した実戦法として,指でサインを送る指導をした。2年目に新体連北区連盟,3年目に関東大学男子バレーボール連盟に加盟し(本学運動部で大学連盟に登録するのはバレーボール部が初めて),リーグ戦に出場した。その際,健聴者との違い(笛が聴こえない,審判の問題)をわかっていただいた。健聴者との試合では,私が声を出さずに手話で作戦を与えることがプラスになった。またトラブルを少なくするために,体育館にフラッシュランプの設置の普及という問題点もあった。聴覚障害学生を手話で指導する際に「指のサインプレー」「反復練習から体で覚える」「状況判断」が大切だということがわかった。
著者
加藤 宏 青木 和子 永井 伸幸 近藤 邦夫
出版者
筑波技術短期大学学術・社会貢献推進委員会
雑誌
筑波技術短期大学テクノレポート (ISSN:13417142)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.7-13, 2005

重度視覚障害者に対する学力判定試験として音声による試験の可能性を検討するために英語と国語問題の試行試験を行った.点字触読技能を十分に習得していない重度視覚障害学生のためのリスニングによる試験方法を検討するためである.問題はコンピュータの合成音声,デジタル・ボイスレコーダで録音した肉声をパソコン再生,DAISY レコーダの3方式で提示された.科目は英語の語彙力テスト,英語読解問題と国語の読解問題であった.いずれの形式でも視覚障害者は音声のみで回答可能であり,試験における特別措置の方法としての可能性が示唆された.解答所要時間は問題録音時間の1.1 倍から2.6 倍要した.点字や墨字試験との比較を行い特別措置としての標準化研究が必要である.
著者
後藤 豊
出版者
筑波技術短期大学学術国際交流委員会
雑誌
筑波技術短期大学テクノレポート (ISSN:13417142)
巻号頁・発行日
no.8, pp.227-230, 2001
被引用文献数
4

郵政省(現総務省)電気通信技術審議会は2000年9月25日,「電波を使用する音声アシストシステムの技術的条件」について郵政大臣へ答申した。この音声アシストシステムは音声情報をFM電波に乗せて視覚障害者が持つ受信機に届けるものである。このようなシステムが駅、交差点,バス停,公共施設などに備えられ,ランドマークとしての機能を果たせば,視覚障害者のメンタルマップ形成・照合に役立ち,単独歩行の安全性が著しく高まるとともに,行動範囲の拡大にもつながると期待される。筆者は電気通信技術審議会音声アシストシステム分科会の構成員として答申案の審議に参加したので,音声アシストシステムの概要を視覚障害関係者にいち早く紹介することとしたい。
著者
山下 仁 丹野 恭夫 一幡 良利
出版者
筑波技術短期大学研究委員会
雑誌
筑波技術短期大学テクノレポート (ISSN:13417142)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.273-277, 1999-03

灸の免疫学的効果を明らかにするため,施灸したウサギに黄色ブドウ球菌Smith株を用いて免疫を行い,血清中の抗体価を酵素標識免疫定量法(ELISA)により測定した。その結果,施灸の時期や期間によって差はあるものの,同株に対するIgMおよびIgG抗体は無施灸対照群よりも上昇していた。今回の実験から,古来より疾病予防を目的として用いられてきた灸に免疫学的根拠があることがわかった。
著者
村上 佳久 落合 厚子
出版者
筑波技術短期大学学術国際交流委員会
雑誌
筑波技術短期大学テクノレポート (ISSN:13417142)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.27-31, 2004-03

新しい電子録音図書DAISYは、その立ち上がりから急速に普及し始め、カセットテープに代わり録音図書の主流となりつつある。昨今、点字図書館をはじめとする視覚障害者のための図書関連施設では、一斉にDAISY作製方法がバージョンアップし、電子録音図書から電子マルチメディアへの転換が行われた。ここでは、新しい電子録音図書DAISYのマルチメディア対応への取り組みと、視覚部図書館におけるDAISYの取り組みについて報告する。
著者
夏目 武
出版者
筑波技術短期大学学術国際交流委員会
雑誌
筑波技術短期大学テクノレポート (ISSN:13417142)
巻号頁・発行日
no.8, pp.243-245, 2001

国際規格に関する活動母体であるISOとIECが古くからNGOとして活動していることは周知のことであろう。現在の国際標準化活動はIEC/ISO Directive‐IEC及びISO活動指針に基づいて行われている。昨年2000年10月に「高齢者と障害を持つ者のニーズの規格化への取りくみ」と題するPolicy Statement - 所信表明文書が発行された。ADA(American Disability Aids)から遅れること10年、しかし、やっとのことで機能障害(Disability)に対する諸製品の操作性、サービスの適用性及び諸環境状況に関する配慮(accessibility)についての指針が表明された。この指針に基づき世界規模での工業規格の見直しと概念の導入が進めば、これからの製品やサービス等のアクセシビリティ機能の向上が期待されることになる。ここではこの文書の紹介及びそこにある精神性と適時性と効用等を評価する。
著者
長岡 英司
出版者
筑波技術短期大学学術・社会貢献推進委員会
雑誌
筑波技術短期大学テクノレポート (ISSN:13417142)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.21-26, 2005-03

重度の視覚障害を持つ学生にJava 言語を点字教材で学習させ、プログラミングを行わせた。プログラミング環境には、スクリーンリーダの音声読み上げに加えて、点字ディスプレイ出力を導入した。その結果、重度の視覚障害者もテキストベースのプログラミング環境でならインターネット関連の初歩的なプログラムを作成できること、その過程で点字の活用が有効であること、などが明らかになった。
著者
内野 權次 三好 茂樹 森山 利治 小林 正幸
出版者
筑波技術短期大学学術国際交流委員会
雑誌
筑波技術短期大学テクノレポート (ISSN:13417142)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.75-80, 2002

筑波技術短期大学の聴覚部では通常の学内放送の代わりに、ケーブルテレビシステムを利用して開学時から文字と画像を中心とした学内広報〔1〕〔2〕や、学生に必要な様々な情報伝達を行ってきた。またこの設備は、通常のテレビ放送を受信し、再転送放送も行っており、時代の変遷に伴って用途に応じた様々な改善や機能増設を施しつつ活用されている。ここ数年間に一般のテレビ放送局においても、聴覚障害者のための情報保障として字幕放送番組が増えつつある。また、放送大学でも本学と単位互換協定を結んで、昨年から字幕入りの講義科目を開設している。一方全日本ろうあ連盟では独自の聴覚障害者専用デイジタル衛星放送「目で聴くテレビ」を平成12年度から開始した。そこで本学では、これを期に学生達が寄宿舎の個室で様々な学習情報や生活情報など、字幕放送を通じてより多くの知識が吸収出来るよう設備の改善充実を実施した。その内容について報告し、活用状況と運用上の課題および今後の検討事項などについて触れてみたいと思う。
著者
隈 正雄
出版者
筑波技術短期大学学術国際交流委員会
雑誌
筑波技術短期大学テクノレポート (ISSN:13417142)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.145-149, 2002

本学視覚部情報処理学科における就職支援の現状についての報告である。はじめに、情報処理学科の就職支援体制について説明する。次に、SPIの模擬試験や企業採用責任者による模擬面接等の受験テクニックの指導方法について報告する。本学科の支援の特色として、学生に企業の視覚障害者採用の実態を理解させることがある。本学科ではその理解を元に、企業選定、職種選定、企業へのアプローチの方法をアドバイスしている。
著者
齊藤 まゆみ
出版者
筑波技術短期大学学術国際交流委員会
雑誌
筑波技術短期大学テクノレポート (ISSN:13417142)
巻号頁・発行日
no.7, pp.43-47, 2000

ステップ系の運動は、聴覚‐ 運動連合を発達させるものであり、聴覚のサポートにより音楽と動作を同期させ、運動をコントロールしている。しかし、聴覚に障害がある学生は、視覚情報に頼って運動をコントロールしなければならず、リズミカルな動きを苦手とする者が多いことが指摘されている1) 聴覚部では、エアロビクスダンスを教材とした保健体育授業を展開し、音楽をスポーツ感覚で取り入れ、踊ることの楽しさとリズミカルな動きやボディバランスの向上を図ることを目指してきた。そこで、基本のステップa をもとに5 種類の基本のステップを段階的に展開するエアロビクスダンスプログラムの教材としての検討を行った。その結果、技術的な面に着目すると、基本のステップa による技能レベル差は、その後のパフォーマンスレベルに大きく関与していることが示唆された。しかし、運動技能の低い者でも、持久力の面から十分効果が期待できる教材になることも示唆された。これらのことより、大学体育におけるエアロビクスダンスは、新しいステップの獲得、複雑な動きの獲得による達成感・楽しさだけでなく、体力・持久力の維持、向上という面でも達成感・楽しさを得ることができると考えられた。
著者
齋藤 玲子
出版者
筑波技術短期大学学術国際交流委員会
雑誌
筑波技術短期大学テクノレポート (ISSN:13417142)
巻号頁・発行日
no.8, pp.247-254, 2001

過去に日本で用いられた数学点字記号を資料に基づいて収集整理し、現行体系成立の過程を調査した。明治時代から現在に至る日本数学点字記号の歴史的変遷を年代順に一覧表に示す。2002年向け暫定改訂版も併せて示す。
著者
荒木 勉
出版者
筑波技術短期大学研究委員会
雑誌
筑波技術短期大学テクノレポート (ISSN:13417142)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.157-161, 1996-03

筑波技術短期大学機械工学科では学内LANおよびインターネットによるコンピュータネットワークを利用して,マルチメディアによるビジュアルコミュニケーションや,文字,画像・映像(含音声)等の各種データの送受信を行っている。これは学内ばかりではなく,姉妹校やライバル校とのデータの交換や,視覚情報による遠隔コミュニケーションを可能にしている。また,本学における設計製図教育の特徴ある取り組みとしてペーパーカーレースの模様をカラー写真を添えてホームページに載せ公開を始めた。これによりインターネットを通して世界中から自由にそのページにアクセスでき,ネットワークの活用の幅が急速に広がってきた。そして設計製図やCAD/CAM等の教育のように図面を多く用いての取り組みにおいても効果的に利用できるばかりではなく,ネットワークを介した教育活動におけるコラボレーションへと発展が見られるようになった。
著者
Martin Pauly 青木 和子 市川 あゆみ 島田 啓史 野村 香介 日向 賢
出版者
筑波技術短期大学学術国際交流委員会
雑誌
筑波技術短期大学テクノレポート (ISSN:13417142)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.67-73, 2004

平成15年7月4日から7月18日までの日程で、学生3名、教官2名、技官1名が本学の姉妹校であるアメリカのニューヨーク州立大学バッファロー校(UB)とナショナル聾工科大学(NTID)を主として訪問した。これは、視覚部アメリカ研修旅行としては第4回目である。UBでは、リハビリテーション・サイエンス学部、障害補償技術センター、障害者サービス室、スポーツ医学施設見学やELIの英語のクラスへ参加した。さらには、バッファロー市の視覚障害センターや自立生活センターの訪問などを通じアメリカにおける高等教育の現状や障害者へのサービス、社会自立の状況について理解を深めた。ロチェスターではNTIDの施設見学を行った。他には、ナイアガラの滝、エリー運河、博物館なども訪れ、アメリカの自然、歴史に触れる機会となった。参加者各自がそれぞれの視点で今回の海外研修についてレポートする。
著者
長谷川 洋 菊池 真里 竹中 佐和 斉藤 康幸 佐々木 寿子
出版者
筑波技術短期大学学術国際交流委員会
雑誌
筑波技術短期大学テクノレポート (ISSN:13417142)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.57-63, 2001

本学の在学生を対象に聴覚障害児教育における分離教育(聾学校)と統合教育についてアンケートを実施した結果を報告する。統合教育における問題点は、授業が分からないことと友人との人間関係の構築が難しい点にある。統合教育を受けた学生の半数は難聴学級もない学校で学んでいる。それにも拘わらず、統合教育を受けて良かったと評価している。一方聾学校の場合は、学力が低い、人数が少なすぎる、通うのに遠いなどの問題がある。こうした結果をもとに、統合教育と分離教育のあり方について考察する。
著者
伊藤 三千代 松井 智
出版者
筑波技術短期大学研究委員会
雑誌
筑波技術短期大学テクノレポート (ISSN:13417142)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.165-170, 1998-03

聴覚障害者の施設利用時の情報受容と行動の関係から、聴覚障害者への情報提供の配慮点を明らかにすることを目的にテーマパーク内の情報環境調査を行った。その結果、施設内で提供される情報は、1)従業員のコミュニケーションによる情報、2)スピーカーから流れる音声案内・音・音楽等の情報、3)表示物、印刷物などからの視覚的情報、4)空間の配置や風景から得る視覚情報であった。本研究では「テーマパークにおける情報保障・サービス」に関するいくつかの提案のうち、2)スピーカーからの音声案内情報で、情報の構成要素(仕掛け)となる発信源が人間側にあり現実に改善が可能なジャングルクルーズに着目し、その音声言語情報の現状把握と問題点から聴覚情報の入手に障害を持つ来園者が健聴者と同じ水準でアトラクションを楽しめるための手話表現によるガイドの可能性と具体的なガイド方法を提案するものである。