- 著者
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相川 りゑ子
阿久澤 さゆり
永島 伸浩
川端 晶子
- 出版者
- The Japanese Society of Applied Glycoscience
- 雑誌
- 澱粉科学 (ISSN:00215406)
- 巻号頁・発行日
- vol.39, no.3, pp.165-174, 1992-08-30 (Released:2010-06-28)
- 参考文献数
- 22
- 被引用文献数
-
3
カタクリ鱗茎から澱粉を調製し,対照として馬鈴薯および食用カンナ澱粉を用いて,理化学的性質を検討し,以下のような結果を得た. 1)カタクリ澱粉の平均粒径は24.3μmで,馬鈴薯,食用カソナ澱粉よりもやや小さかった.パンクレアチンによるカタクリ澱粉粒の分解性は馬鈴薯や食用カンナ澱粉粒に比べて高く,SEM像より,中心部から層状に穴のあく崩れ方が観察された. 2)電流滴定法によるアミロース含量はカタクリ澱粉が22.8%,馬鈴薯および食用カンナ澱粉が21.5および23.9%であった.澱粉をイソアミラーゼで枝切り後,生成物のゲル濾過分別を行った結果,アミロペクチンの枝切りされた直鎖部分と考えられるFr.IIとFr.IIIの数平均鎖長は,カタクリ澱粉は47.4と14.6で,馬鈴薯および食用カンナ澱粉に比べていずれもやや長く,また,カタクリ澱粉のFr.III/Fr.IIは2.0,馬鈴薯および食用カンナ澱粉は1.7および1.9であった. 3)糊化特性について,フォトペーストグラフィー,示差走査熱分析,ビスコグラフィーおよび動的粘弾性の測定を行い検討したところ,糊化開始温度ではビスコグラフィーによるものがいずれの澱粉でも数度高く,他の3種の機器による測定値は比較的近似しており,カタクリ澱粉は45~47℃と,低い値を示した.ビスコグラムの最高粘度は,馬鈴薯澱粉がもっとも高い値を示したが,冷却カーブはカタクリ澱粉と近似していた.動的粘弾性の最高ピーク時の貯蔵弾性率および損失弾性率は同様に馬鈴薯澱粉が最も高い値を示したが,tanδの経時変化では,カタクリ澱粉が最も低い値を示し,アミロースおよびアミロペクチンの微細構造の違いが示唆された.