著者
永美 大志
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.683-692, 2014 (Released:2015-03-10)
参考文献数
31

近年, 遺伝子に関する検査技術の発達は目を見張るものがあり, 農薬の人体への慢性影響についても, 化学物質の代謝と細胞膜の通過を司る遺伝子の多型性との関係を研究した報告が増加している。このあたりを中心に文献的考察を行なった。 発癌に関する研究では, 様々な農薬曝露指標と遺伝子多型との間に交互作用を認めていた。胆嚢癌, 前立腺癌, 腎癌, 乳癌, 膀胱癌, 小児白血病, 小児脳腫瘍などの多様な発癌が対象となっていた。農薬曝露指標としては, 血清DDTレベル, マラチオン, DDVPなどの農業使用, 職業歴, 小児期の殺虫剤曝露, 出生前殺虫剤曝露などについて関係が認められていた。遺伝子多型としては, シトクロムP450, グルタチオン-S-転移酵素, P糖タンパク質, フラビン含有モノオキシゲナーゼ, キノンオキシドレダクターゼなどについて関係が認められていた。 パーキンソン病についても, 農薬曝露と, パラオキソナーゼ, ドーパミントランスポーター多型との交互作用を認める報告があった。 出生障害と小児発達についても, ①有機塩素農薬曝露とシトクロムP450の多型と早産, ②有機リン曝露とパラオキソナーゼ多型と出生頭囲の低下または小児発達の遅延, など関係を認める報告があった。 化学物質過敏症についても, いくつかの遺伝子多型との関係を認める報告があった。農薬曝露との交互作用を含めて, 疫学的に検討が進められることが望まれる。
著者
木根渕 英雄 松島 松翠 西垣 良夫 前島 文夫 永美 大志 臼田 誠 浅沼 信治
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.724-741, 2003-01-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
66

本学会では, 農薬による中毒 (障害) について長年にわたり, 学会員から臨床例の集積・解析研究を行い, 予防, 治療に貢献してきた。しかし, 相当程度存在すると思われる農薬の慢性期の中毒 (障害) については, ほとんど報告されていないのが現状である。そこで, 1999年に農薬の神経障害等特別研究班を発足し, 農薬急性中毒患者救命後に発症した神経障害の症例を調査するとともに, 内外の文献から慢性期の神経・精神障害についての知見を得るべく調査・研究してきた。本学会の臨床例調査では, 遅発性神経障害を疑われる症例が1例報告された。有機リン系農薬を服毒し救命しえたものの, 数十日後に神経障害が認められた症例である。また, 内外の文献を見ると, 1951年にマイパフォックスについて報告された遅発性ニューロパチーは, 主に有機リン系農薬について報告されてきた。この10年でも, 様々な症例が報告されている。また, カーバメイト系殺虫剤などの農薬でも, 遅発性ニューロパチーの報告が散見されている。1984年に使用され始めた除草剤グルホシネート (バスタ) では, 逆行性健忘, 失見当識などが経験されている。これらについては, 各農薬 (系) ごとに総括した。農作業者, 羊害虫の防除者など, 多種類の農薬を長期的に暴露される労働者について, 神経学的・精神学的疫学調査が行われている。また, 有機塩素系農薬および汚染物の母性経路暴露による, 小児の神経・精神発達についても疫学的調査が内外に見られる。それぞれに総括した。
著者
永美 大志 前島 文夫 西垣 良夫 夏川 周介
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.14-22, 2015 (Released:2015-07-10)
参考文献数
45
被引用文献数
3

農薬は第二次大戦後急速に使用量が増加し, 農薬中毒が農村医学の主たる課題になって久しい。本学会はこの課題に長年取り組んできており, 特別研究プロジェクト・農薬中毒部会では全国の関連医療施設の協力のもと臨床例調査を行なってきた。2010~12年分について報告する。 農薬中毒 (障害) の症例が, 37施設から137例報告された。性別では男女ほぼ同数で, 世代別では, 70歳代 (22%) が最も多く, 60, 80歳代 (各18%) が続いていた。中毒に関わる農薬曝露状況は, 自殺が71%を占め, 誤飲誤食 (13%), 散布中等 (12%) が続いていた。月別に見ると, 5月が16%で最も多かった。 診断名としては, 急性中毒 (83%) が大部分で, 皮膚障害 (6%), 眼障害 (5%) もあった。散布中などの曝露では, 急性中毒の割合が42%に低下し, 皮膚障害 (47%) が上回った。 原因農薬としては, アミノ酸系除草剤 (29%) が最も多く, 有機リン系殺虫剤 (25%), ビピリジリウム系除草剤 (8%) が続いていた。成分別にみると, グリホサート (38例) が多く, スミチオン (18例), パラコート (12例) が続いていた。 死亡例が23例報告された。うち8例がパラコートによるものであり, 3例がスミチオンによるものであった。 パラコートは, 致死率 (80%) において, 他の農薬成分を大きく引き離していた。死亡数は減少の傾向にあるが, このことは同剤の国内流通量の減少と相関していた。
著者
永美 大志
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.681-697, 2009-01-30 (Released:2009-04-08)
参考文献数
76

農薬による慢性的人体影響は,神経・精神障害,臓器障害,発癌,出生障害,発達障害など多岐に渡る。今回筆者は,出生障害について,近年の内外の文献を収集し,総括した。 出生障害については,出生児欠損,流産,死産,早産,出生体格の低下,出生性比異常について近年の農業用農薬使用,住居近傍での農薬散布,住居内での農薬曝露,有機塩素農薬残留との関係を検討した報告が欧米を中心に多数あった。それぞれの影響について過半数の報告が関係を認めていた。出生時欠損については,全般について関係が認められた報告が多く,無脳症など特定の欠損についても報告があった。尿道下裂・停留精巣については,DDT類よりはむしろ,クロルデン類,農薬暴露全般との関係が認められていた。 一方,東南アジア,南アフリカで行なわれた,2つの地域における研究からは,農業農薬暴露と出生時欠損,流産との間に強い関係が見出されていた。熱帯・亜熱帯地域の発展途上国では,農薬用防護具の使用が,気候的にまた経済的に困難であり,農薬暴露が多いことも推察され,これらの知見を検証する疫学研究が求められる。同時に,低毒性農薬への移行,農薬暴露の低減のための施策,活動も求められよう。さらには,欧米でも都市部および農村部の低所得マイノリティーについて,有意な危険度がみられているようで,農薬による人体影響についても社会経済的な因子が重要と推測された。 残念ながら日本国内では疫学的研究が極めて少ないのが現状である。出生障害は,農薬のヒトへの影響の中でも重要な位置を占めると考えられ,農村医学会として取り組むべき課題の一つといえよう。また,東南アジア地域における農薬曝露と慢性影響の疫学調査,低毒性農薬への移行,農薬暴露を低減させる活動が推進されるために,日本農村医学会も貢献すべきであろう。
著者
永美 大志 八百坂 透 前島 文夫 西垣 良夫 夏川 周介
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.109-112, 2012-07-31 (Released:2012-11-21)
参考文献数
14

本学会関連の一施設から,某中学校において集団有機リン中毒発生の報告があり,患者を受け入れた地域の4医療施設を対象に調査した。 7月下旬,学校関係者がアリの駆除のため,有機リン系殺虫剤メチダチオン40%製剤の原液を,10時から11時の間に校舎近くのアリの巣に散布した。付近の教室内にガスが流入し,中学生たちが自覚症状を訴えて,昼ごろから16名が4病院に搬送された。 患者の訴えた症状は,「頭痛」13名,「吐気・嘔吐」11名,「めまい」4名などであった。うち1名は2回嘔吐した。コリンエステラーゼ活性値,瞳孔径および対光反射は,いずれも正常範囲内であった。3名が経過観察のため入院したが全員治癒し後遺症は見られず,軽症に止まったものと考えられる。 しかし,劇物である有機リン殺虫剤の原液を,そのまま中学校の教室付近で散布したことは,厳に戒められるべきであり再発防止が図られる必要がある。
著者
松森 堅治 西垣 良夫 前島 文夫 臼田 誠 永美 大志 矢島 伸樹
出版者
農業・食品産業技術総合研究機構農村工学研究所
雑誌
農村工学研究所技報 (ISSN:18823289)
巻号頁・発行日
no.209, pp.105-115, 2009-03

高齢者においては、加齢に伴い身体機能が低下し、日常生活能力も低下する。日本の人口動態において介護を必要とする人が加速度的に増加することが、高齢社会の進展に伴い予測されている。近年「健康寿命」という概念が提唱され、普及してきたことでも分かるように、元気で活動的に暮らすことができる期間をいかに延ばすかが大きな政策的課題となっている。適度な身体活動・運動、精神活動、社会参加が高齢者の様々な身体機能の低下を軽減する効果を有することは定説になってきている。本研究で対象にする農業労働については、歴史的には過酷な労働に伴う様々な健康影響について「農村医学」の分野において、解明が積み重ねられ、労働改善の努力もされてきた。戦後期、高度成長期前においては問題告発型の学問として栄養不良、過重労働、劣悪な労働・生活環境が与える健康状態、各種疾病を主要な問題としていたが、近年では農村の生活環境も激変し、基本的な生活形態は都市と大差なくなり、疾病構造も、都市と同様の過食、栄養過多、運動不足等から引き起こされる生活習慣病、著しい長寿化を達成した結果である高齢者の老人性疾患の増加、社会問題としては、都市部より急速に進展している人口構成の超高齢化に焦点が移行している。本研究では、高齢者の健康指標のデータを豊富に所有する長野県厚生連健康管理センターの健診データを用い、健康指標データと農作業体験の有無、生活習慣を総合的に検証する。それにより農作業に関わる頻度と高齢者の健康の関連を総合的に検証することを目的とした。なお、本報は農村工学研究所運営交付金プロジェクト研究「中山間地域における対流に伴う教育・保健等機能の評価手法の開発」において(財)日本農村医学研究所への委託により実施された研究の成果の一部である。
著者
永美 大志 西垣 良夫 矢島 伸樹 浅沼 信治 臼田 誠 広澤 三和子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第54回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.2, 2005 (Released:2005-11-22)

<はじめに> 農薬中毒(障害)において、パラコート剤による中毒は、死亡率、死亡数の高さから重要な位置を占める。演者らは、本学会の農薬中毒臨床例特別研究班として、1998-2003年度の調査を担当し、調査の概要を報告してきた(西垣ら 2002、2005)。ここでは、自殺企図によるパラコート中毒について考察する。<方法> 本学会が行なってきた農薬中毒(障害)臨床例調査の1998-2003年度分の中で、自殺企図でパラコート製剤を服毒した症例71例について、製剤、性、年令階級、服毒量などと転帰との関係について検討した。<結果>1.製剤別の転帰 パラコート製剤は、1960年代に販売され始めたが、その中毒による死亡の多さに鑑み、1986年に24%製剤(主な商品名;グラモキソン、以下「高濃度製剤」)の販売が自粛され、5%パラコート+7%ジクワット製剤(主な商品名;プリグロックスL、マイゼット、以下「低濃度製剤」)が販売されるようになった。高濃度製剤の販売自粛から10年以上経過した、1998-2003年の調査でも高濃度製剤を用いた自殺症例はあり、8例全てが死亡した。一方、低濃度製剤による症例は48例あり39例(81%)が死亡した。また、尿定性、血中濃度の測定などからパラコートの服毒であることは明らかであるが製剤名が不明であった15症例も全て死亡した。2.性別の転帰 性別では、症例数で、男31例、女39例であり、死亡数(率)は、男25例(81%)、女36例(92%)であった。3.年令階級別の転帰 症例を、20-49才、50-69才、70-89才の3群に分類したところ、死亡数/症例数(死亡率)はそれぞれ、17/21(81%)、23/27(85%)、22/23(96%)であり、比較的若い群でも死亡率が高かった。4.服毒量と転帰 高濃度製剤、製剤名不明の症例については、上記のとおり死亡例のみである。低濃度製剤については、20mL以下、50mL以下、50mLを超える量を服毒した群に分類したところ、死亡数/症例数(死亡率)はそれぞれ、4/9(44%)、2/4(50%)、22/23(96%)であり、数十mLの服毒であっても、半数近くが死亡し、50mLを超える群ではほとんどが死亡した。5.尿定性と転帰 尿定性の判定結果を、陰性、陽性、強陽性に分類したところ、死亡数/症例数(死亡率)はそれぞれ、1/2、12/17、24/27であり、陽性で71%が、強陽性では89%が死亡した。6.血清中パラコート濃度 Proudfood(1979)が提案した、50%生存曲線との比較を行なったところ、おおむね、死亡例は曲線の上に、生存例は曲線の下に位置した。<まとめ> パラコート中毒の転帰を予測する因子としては、服毒量、服毒からの時間と血清中濃度などが考えられた。<謝辞> 本調査にご協力いただいた、全国の医療施設の方々に、深謝いたします。<文献>西垣良夫 他(2002).日農医誌 51:95-104 西垣良夫 他(2005).日農医誌 (投稿中) Proudfood AT et al.(1979) Lancet 1979;ii:330-332
著者
永美 大志 大谷津 恭之 加藤 絹枝 前島 文夫 西垣 良夫 夏川 周介
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.44-49, 2010-05-30 (Released:2010-06-24)
参考文献数
15
被引用文献数
1

石灰硫黄合剤は,春先に果樹の殺虫,殺菌に使用される農薬である。製剤は,強アルカリであり,しばしば難治性のアルカリ腐食を本態とする深達性の潰瘍を引き起こす。 我々も2007年に50代男性の症例を経験した。患者は,3月上旬,防水性の防護具を着用せず庭木に本剤を散布し,ズボンなどへの付着にかまわず,そのまま作業を続行した。夕方より皮膚付着部の疼痛が惹起し,翌朝になっても継続したため受診した。初診時,両下腿後面に白色潰瘍を伴う3度の熱傷を認めた。第6病日デブリードマン術を施行したが,潰瘍は真皮層から脂肪層に及んでいた。人工真皮で被覆して肉芽形成を促した後,第20病日に植皮術を施行した。経過は順調で,約1か月で退院となった。 わが国において2000年代に入ってからほぼ毎年,本剤による化学熱傷の症例が報告されており,他の研究報告を見ても,この熱傷の発生数がなかなか減少していないことが伺われた。 この熱傷を防止するには,(1) 防水性の防護具で全身を覆うようにすること,(2) 万一本剤が身体に付着した場合は,迅速に洗浄すること,の2点が肝要である。障害防止のためのさらなる啓発活動が必要と考え,啓発パンフレットを作成した。
著者
永美 大志 西垣 良夫 矢島 伸樹 浅沼 信治 臼田 誠 広澤 三和子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.2, 2005

<はじめに><BR> 農薬中毒(障害)において、パラコート剤による中毒は、死亡率、死亡数の高さから重要な位置を占める。演者らは、本学会の農薬中毒臨床例特別研究班として、1998-2003年度の調査を担当し、調査の概要を報告してきた(西垣ら 2002、2005)。ここでは、自殺企図によるパラコート中毒について考察する。<BR><方法><BR> 本学会が行なってきた農薬中毒(障害)臨床例調査の1998-2003年度分の中で、自殺企図でパラコート製剤を服毒した症例71例について、製剤、性、年令階級、服毒量などと転帰との関係について検討した。<BR><結果><BR>1.製剤別の転帰<BR> パラコート製剤は、1960年代に販売され始めたが、その中毒による死亡の多さに鑑み、1986年に24%製剤(主な商品名;グラモキソン、以下「高濃度製剤」)の販売が自粛され、5%パラコート+7%ジクワット製剤(主な商品名;プリグロックスL、マイゼット、以下「低濃度製剤」)が販売されるようになった。高濃度製剤の販売自粛から10年以上経過した、1998-2003年の調査でも高濃度製剤を用いた自殺症例はあり、8例全てが死亡した。一方、低濃度製剤による症例は48例あり39例(81%)が死亡した。また、尿定性、血中濃度の測定などからパラコートの服毒であることは明らかであるが製剤名が不明であった15症例も全て死亡した。<BR>2.性別の転帰<BR> 性別では、症例数で、男31例、女39例であり、死亡数(率)は、男25例(81%)、女36例(92%)であった。<BR>3.年令階級別の転帰 症例を、20-49才、50-69才、70-89才の3群に分類したところ、死亡数/症例数(死亡率)はそれぞれ、17/21(81%)、23/27(85%)、22/23(96%)であり、比較的若い群でも死亡率が高かった。4.服毒量と転帰<BR> 高濃度製剤、製剤名不明の症例については、上記のとおり死亡例のみである。低濃度製剤については、20mL以下、50mL以下、50mLを超える量を服毒した群に分類したところ、死亡数/症例数(死亡率)はそれぞれ、4/9(44%)、2/4(50%)、22/23(96%)であり、数十mLの服毒であっても、半数近くが死亡し、50mLを超える群ではほとんどが死亡した。<BR>5.尿定性と転帰<BR> 尿定性の判定結果を、陰性、陽性、強陽性に分類したところ、死亡数/症例数(死亡率)はそれぞれ、1/2、12/17、24/27であり、陽性で71%が、強陽性では89%が死亡した。<BR>6.血清中パラコート濃度<BR> Proudfood(1979)が提案した、50%生存曲線との比較を行なったところ、おおむね、死亡例は曲線の上に、生存例は曲線の下に位置した。<BR><まとめ><BR> パラコート中毒の転帰を予測する因子としては、服毒量、服毒からの時間と血清中濃度などが考えられた。<BR><謝辞><BR> 本調査にご協力いただいた、全国の医療施設の方々に、深謝いたします。<BR><文献><BR>西垣良夫 他(2002).日農医誌 51:95-104 <BR>西垣良夫 他(2005).日農医誌 (投稿中) <BR>Proudfood AT et al.(1979) Lancet 1979;ii:330-332
著者
永美 大志
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.19-23, 1996-05-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
11

近年, 国内農業の重要性が認識される一方で, 農産物の輸入は年毎に増加しており, その農薬残留, とくに長距離輸送, 長期保存を可能にするためのポストハーベスト使用農薬の残留は, 衛生学上の問題点の一つである。今回筆者は, ポテトチップス中の発芽防止剤, マレイン酸ヒドラジドとクロルプロラァムの簡便な同時残留分析法を作成した。本分析法による, 両剤の回収率および検出限界は, それぞれ81±5, 79±4%, 0.1, 0.01μg/g-rawであった。本方法を用いて市販品の残留調査を行った。マレイン酸ヒドラジドは, 0.3μg/g-rawを最高に25%の検体から残留を認めた。クロルプロファムは, 0.11μg/g-rawを最高に45%の検体から残留を認めた。