著者
江口 昭彦 齋藤 寛 田中 静恵 田中 恵子 中野 篤浩 有澤 孝吉 小林 誠
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.177-182, 1999-06-01 (Released:2010-02-09)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

種々の食品中の硫黄含量を明らかにすることにより, 硫黄の摂取量また硫黄の人体に対する生理的意義や健康状態との関連を知るための基礎資料の作成を目的とし, 予備的な回収実験の後, ICP発光分析法により12群77種 (各5検体) の食品について硫黄含量を測定した。この結果に基づいて, たんぱく質, 含硫アミノ酸と硫黄含量との相関を解析した。1) システイン溶液を用いた回収実験の結果, 過酸化水素水, 硝酸, 過塩素酸を加える操作法が, 最も高い回収率 (97.8±2.1%) を示した。2) 魚介類, 卵類, 豆類, 獣鳥肉類, 藻類 (あまのりのみ) 等の食品は, 硫黄含量が多かった。3) いも類, 野菜類 (にんにくを除く), 果実類, きのこ類などの食品は, 硫黄含量が少なかった。4) 今回測定した食品の硫黄含量とイギリスで発表されているもの20種 (24品目) との比較を行ったところ, 数値に若干の開きがあるものもあったが, 相関係数はr=0.89 (p<0.001) と極めて強い有意な正相関が認められた。5) たんぱく質及び含硫アミノ酸含量と硫黄含量との間には, 有意な正の相関が認められた。6) いいだこ・いか・ほたてがい・あまのり等の硫黄含量が特に多いのは, タウリンが多く含まれている食品であったり, 含硫アミノ酸以外に酸性ムコ多糖類似物質等も含まれている食品であるためと考えられる。7) にんにく, あさつき, グリーンアスパラガスの硫黄含量が比較的高いのは, 硫化アリルを含んでいるためと考えられる。
著者
嶋根 歌子 江口 昭子 竹内 美智代
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.169-178, 1997-03-31
被引用文献数
1

女子大学生22名を対象に,姿勢に対する認識調査,身体計測,及びモアレ縞等高線写真による背面形状の検討により,日常の習慣が背面形状にどのような影響をおよぼし,さらにその個人差,左右差がどこに生じているのかを明らかにした。主な結果は次の通りである。1.姿勢に対する認識調査結果 普段姿勢を気にしている者が61.5%で姿勢に対する関心が高くかつ,姿勢が悪いと自覚している。利き腕は,89.7%の者が右利きである。上肢は,右側が動きの中心でありかつ,支点であり,下肢は,体重を支えながら動作を行う機能を有することから,行動を起こす側が右脚で,支点は左脚であると解釈できた。2.人体の形態及び背面の特性 1)マルチン計測器による人体計測 本実験の被検者の平均的体型は,膝が高く位置し,背部や上腕の脂肪量が多く,全体的にふっくらしている。体重,皮下脂肪にややバラツキが,殿部後突角度に著しいバラツキがあり,厚みや背面突出度,脊柱の弯曲に個人差があることが明かとなった。2)足部及び足底面積の計測結果 22名の平均は,足長右22.84cm,左22.99cm,足幅右9.28cm,左9.30cm,足囲右22.49cm,左22.45cm,母趾角度右12.05度,左13.0度であった。全国平均と比較すると,今回の結果はすべての項目で大きい値となった。左右差を見ると,足長,足幅,母趾角度では左足が大,足囲のみ右足が大であった。立位時床と接触した足底面積は,右98.46cm^2,左99.17cm^2,左足が約0.72%大であった。体表面積に対する両足底面積の割合は,約1.3%にすぎなかった。3分割した足底部分の面積が最も大である部分は,a次いで,c,bの順で,右側が左側よりやや大きく,趾先部位や土踏まず部の個人差が考えられた。3)モアレ縞等高線写真による背面形態の計測結果 正中線における腰部角度は,殿部最大突出長と,最突出長はその部位の角度と相関が認められた。肩甲部,殿部ともに右側が上方の者(I)が最も多く11名,次いで両部ともに左側が上方の者(II)7名,肩甲骨は左が上方で,殿部は右が上方の者(III)4名であった。アンケート結果の,上肢は右側が利き腕であり動きの中心で,左腕に荷物を持ったり掛けたりすること,下肢は左足を支点とすることが,右上がりで左に傾いた背面を形成すると考えられた。正中線の胸椎,腰椎の弯曲を基準にして分類した結果,中間型であるMM型は,13名で約60%,次いで腰部が平らなMS型4名,背部が平らなSM型2名,背部弯曲の強いLM,LS型は各1名,背部腰部共に平らなSS型は1名であった。20代前半の女子では,中間群が多数を占めるものの,わずかではあるが背部での弯曲の強い者が出現していた。背面形態と関係の深い項目であると思われる,前述の肩甲骨及び殿部の突出角度及び突出長と左右の肩傾斜角度,背部皮下脂肪厚をもとに,主成分分析を行い,分類した。その第1主成分は人体の肥満度,即ち,皮下脂肪の厚さや殿部の突出を示し,第2主成分は,肩部の大きさ,即ち,肩のあがり方や肩甲骨の突出を示した。
著者
渡辺 弘 宮村 治男 林 純一 高橋 善樹 篠永 真弓 江口 昭治
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.301-306, 1996-04-15
参考文献数
10

小児例におけるIABPでは小容量のバルーンを細いカテーテルを介して高心拍で駆動させる必要があるため、駆動装置の特性によりバルーンの応答速度が異なる。駆動装置の特性が応答速度に及ぼす影響をin vitroで評価した。2、4、7、10ccのバルーンを4種類の装置を用い、成人用の通常モードと、2種類の装置では小児用モードで併せて評価した。密閉したモック内で90~180bpmで駆動し、inflation時間、deflation時間を測定した。駆動装置の多くの機種は、成人用のバルーンカテーテルの駆動を目的にしているが、いずれの駆動装置であっても小児用バルーンカテーテルの駆動は可能であった。小児用IABPでは小容量バルーンを細いカテーテルを介して高心拍で駆動するため、駆動装置によりバルーンの応答性は異なった。小児用バルーンのより効果的な駆動のためには、駆動装置の小児用IABPモードへの対応が必要と考えられた。
著者
諸 久永 富樫 賢一 土田 昌一 藤田 康雄 小管 敏夫 大関 一 林 純一 斉藤 憲 山崎 芳彦 江口 昭治
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.507-510, 1989-04-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
10

IABPの腎血行動態に及ぼす効果について、腎交感神経切除を施行して、腎血流と腎交感神経トーヌスの関係を中心に、検討した。雑種成犬10頭を用い、熱希釈法にて腎血流量、心拍出量を測定し、腎血流量分配率、腎血管抵抗および末梢血管抵抗を算出し、次の結果を得た。1. IABP作動時の腎血流量の増加は、主として腎血管抵抗の低下によりもたらされた。2. denervation後では、IABP作動の有無に拘らず、腎血管抵抗は低値を維持し、腎血流量は変化しなかった。3. 腎血管抵抗は交感神経トーヌスにより影響されているが、IABPは、かかる交感神経支配下でも、血管抵抗の低下をもたらした。
著者
半澤 節子 二之宮 実知子 小川 るみ 江口 昭 西村 大輔 濱元 覚 中尾 理恵子 志水 友加 溝口 静子 三根 妙子 保利 恵 久松 三枝子 渕本 規子 山下 美保子 中野 弘恵 鍵下 佳子 桑原 香織
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大学医学部保健学科紀要 (ISSN:09160841)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.97-104, 2002-06

以下は,平成14(2001)3月1日午後2時間にわたって長崎大学医学部講義室で行われた,第39回長崎県総合公衆衛生研究会自由研究集会「精神障害者の地域活動所という場における新たな出会い」の記録の概要である.実習関係者の方々による話題提供と,多様な参加者の方々とのフリーディスカッション,そして,大学の教育担当者の立場から若干の考察をまとめたものである.