著者
沢村 正義 鈴木 悟 小原 典子 佐藤 美夢 東谷 望史
出版者
公益社団法人 日本アロマ環境協会
雑誌
アロマテラピー学雑誌 (ISSN:13463748)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.39-47, 2016-09-30 (Released:2016-09-30)
参考文献数
44

本研究は,精油の安全使用に関するアロマテラピー情報を提供することを目的として,光毒性をもつフロクマリンの定量分析を行ったものである。ガスクロマトグラフィー-質量分析(GC-MS)において,内部標準としてp-クロロベンゾフェノンを使用し,また選択イオンモニタリング(SIM)モードで分析を行った。光毒性をもつソラレン,キサントトキシン,ベルガプテン,イソピムピネリン,そしてクマリン類の一種で光毒性のないオーラプテンの正確な一括分析法を確立するために9種類の質量イオンを選択した。分析した116種類の市販精油のうち,フロクマリンはセリ科およびミカン科の精油試料で,それぞれ4種類,9種類検出された。一方,オーラプテンは6種類のミカン科精油で検出された。
著者
沢村 正義 下田 満哉 米沢 崇夫 筬島 豊
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.7-13, 1977 (Released:2008-11-21)
参考文献数
13
被引用文献数
7 5

温州ミカン果汁の加熱臭成分である硫化水素およびDMSの同定ならびに定量を行った.両物質は,果汁の加熱によって顕著に増加し,100°C,8時間でそれぞれ約300 ppb,約560 ppbに達した.硫化水素は,定性釣に8種の全カンキツ果汁に検出されたが,一方DMSは温州ミカン果汁とバレソシア果汁のみに検出され,他のカンキツ果汁には検出されなかった.バレンシアの場合,生成した量は温州ミカンに比べてきわめてわずかであった.温州ミカン果汁のDMS発生因子としてpH,加熱温度およびカチオン画分の影響を検討した.その結果,pH増大とともに発生量は増加し,pH 7で最高値に達し,それ以上はほぼ一定となった.また,加熱温度80°C以下では発生量は少なかったが,90°C以上で急激に増加した.カチオン画分を除いた温州ミカン果汁では,加熱によってもDMSオミまったく発生しなかった.しかし,カチオン画分のみを加熱するとDMSが発生したことから,DMS前駆体がカチオン画分に存在すると推察した.果汁のアミノ酸分析では,各果汁を通してプロンが主要アミノ酸であった.含硫アミノ酸は,温州ミカンでは加熱前後にほとんど変化が認められなかった.
著者
沢村 正義 佐藤 彰洋 芦澤 穂波 中島 悦子 石鍋 佳子 浅野 公人 東谷 望史
出版者
公益社団法人 日本アロマ環境協会
雑誌
アロマテラピー学雑誌 (ISSN:13463748)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.37-46, 2021-06-25 (Released:2021-06-25)
参考文献数
38

本研究は,アロマテラピー向けの22種類のキャリアオイルに存在するビタミンEおよびフィトステロール含量を明らかにしたものである。キャリアオイル中のビタミンEの8種類の同族体であるα-, β-, γ-, δ-トコフェロール,α-, β-, γ-, δ-トコトリエノール,およびフィトステロールであるカンペステロール,スチグマステロール,β-シトステロールを選択的イオンモニタリング(SIM)モードを使ったガスクロマトグラフィー-質量分析(GCMS)により分析した。抗酸化能,皮膚の角質化の防止,抗炎症などの機能活性を有しているビタミンEおよびフィトステロールが,多くのキャリアオイルで含量の違いはあるが検出された。22個のオイル試料のうち,トコフェロール含量がもっとも高かったのは有機カレンデュラオイルであり,次いで小麦胚芽オイル,有機アルニカオイルであった。トコトリエノールは13種類のキャリアオイルで検出された。グレープシードオイルは,ビタミンEの8種類の同族体をすべて含有するキャリアオイルであり,また,α-トコトリエノールの含量がもっとも高かった。フィトステロールに関しては,小麦胚芽オイル,ホホバオイル・バージンのみならず,ほとんどのオイルでも顕著に多く含まれていた。本研究の結果から,トリートメントにおけるキャリアオイルの役割は皮膚に対する物理的効果に加えて,ビタミンEおよびフィトステロールによる生理的効果の可能性が示唆された。
著者
深田 陽久 橋口 智美 柏木 丈拡 妹尾 歩美 高桑 史明 森岡 克司 沢村 正義 益本 俊郎
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産學會誌 = Bulletin of the Japanese Society of Scientific Fisheries (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.678-685, 2010-07-15
参考文献数
33
被引用文献数
5 9

養殖ブリの高付加価値化を目的として下記の試験を行った。試験 1 ではユズ果汁をブリ飼料に添加することによって血合筋の褐変を抑制できるか検討した。飼料 1 kg にユズ果汁を段階的に添加し,ブリ幼魚に 40 日間給与した。ユズ果汁の添加によって,成長を損なう事無く,血合筋の褐変が抑制されていた。試験 2 としてユズ果汁を添加した飼料を 30 日間与えたブリの筋肉中からユズ香気成分の検出と同定を行い,香りの成分が果汁を添加した飼料より移行し,蓄積されたことを明らかにした。<br>
著者
沢村 正義 楠瀬 博三
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.26, no.11, pp.503-507, 1979
被引用文献数
2 1

ユズ,ナオシチ,ムカクユ,オオユ,ベニユ,ユコウ,スダチ,ダイダイ,スミカン,キヨオカダイダイ,トコス,ウジュキツ,タチバナの13種類の酸用カンキツ及びウンシュウについて有機酸,糖,ペクチン,アスコルビン酸の分析を行った。<BR>(1) 搾汁率はトコス,ムカクユ,ユコウで30%以上あり,一方,ユズ,スミカン,ウジュキツでは20%前後と低かった。<BR>(2) 有機酸分析の結果,9~15個のピークが検出された。主要な酸であるクエン酸とリンゴ酸を始め,乳酸,酢酸,ギ酸,ピルビン酸,フマール酸,t-アコニット酸の存在が認められた。クエン酸とリンゴ酸を合せた濃度はほとんど酸用カンキツで4~6%に達した。<BR>(3) 糖酸比の逆数は酸用カンキツの特徴を明瞭にし,ウンシュウ1.0に対して,ムカクユ,ユズ,スダチ,オオユが20以上,キヨオカダイダイ,ダイダイ,ユコウ,ナオシチ,トコス,スミカンが10~20であった。<BR>(4) アスコルビン酸含量は,酸用カンキツでは40mg%以上のものが多く,とくにオオユ,キヨオカダイダイ,トコスで高かった。
著者
深田 陽久 橋口 智美 柏木 丈拡 妹尾 歩美 高桑 史明 森岡 克司 沢村 正義 益本 俊郎
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.678-685, 2010 (Released:2010-10-11)
参考文献数
33
被引用文献数
6 9

養殖ブリの高付加価値化を目的として下記の試験を行った。試験 1 ではユズ果汁をブリ飼料に添加することによって血合筋の褐変を抑制できるか検討した。飼料 1 kg にユズ果汁を段階的に添加し,ブリ幼魚に 40 日間給与した。ユズ果汁の添加によって,成長を損なう事無く,血合筋の褐変が抑制されていた。試験 2 としてユズ果汁を添加した飼料を 30 日間与えたブリの筋肉中からユズ香気成分の検出と同定を行い,香りの成分が果汁を添加した飼料より移行し,蓄積されたことを明らかにした。