著者
芳賀 嘉久 荻野 祥樹 大橋 秀一 味戸 忠春 橋本 和典 沢田 拓士
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.115-120, 1997-02-25
参考文献数
24

Actinobacillus pleuropneumoniaeの溶血性菌体外毒素であるA. pleuropneumoniae RTX-toxin I(Apx I)およびApx IIの防御効果を豚で評価した. 供試したヘモリジンは, A. pleuropneumoniae血清型1, HA-337株の培養上清から, Apx IおよびApx IIの両方を認識する単クローン抗体をリガンドに用いたイムノアフィニティークロマトグラフィーにより精製した. 精製ヘモリジンにリン酸アルミニウムゲルアジュバントを混合したワクチンを4頭の豚に注射した. 対照群の4頭にはプラセボーを投与した. 溶血中和抗体は, ブースター注射後ワクチン接種群にのみ認められた. 同一菌株での噴霧攻撃後, 4頭の対照豚のうちの1頭が死亡した. 生残した3頭も重度の肺炎症状を呈し, 剖検時にはこれらの豚に広範囲に及ぶ肺病変が認められた. 対照的に, ワクチン接種群に死亡豚はなかった. 攻撃後, 2頭のワクチン接種豚に一過性の発熱だけが観察された. 剖検時に, 本群の2頭の肺にわずかな限局した病変が認められたが, 残りの2頭には肺病変はまったく認められなかった. これらの結果から, Apx IおよびApx IIから成るヘモリジンワクチンは, 血清型1に起因する豚胸膜肺炎に対して有効な防御活性を有することが示された.
著者
Zarkasie Kamaluddin 沢田 拓士 吉田 孝冶 高橋 勇 高橋 敏雄
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.87-90, 1996
被引用文献数
6

血清型2型の豚丹毒菌5株の液体培地における増殖性, 全培養菌液で調製した不活化ワクチンのマウスにおける免疫原性, 菌体表層蛋白のSDS-PAGEプロファイル, およびそのイムノブロット像を比較したところ, 多摩-96株は安定した増殖性を示し, 免疫原性が最も高かった. 菌体表層蛋白のSDS-PAGE像とイムノブロット像は供試株間でほぼ類似し, 66-64kDa蛋白が主要共通抗原として認められた.
著者
仲嶺 マチ子 大城 守 天久 勇市 大城 喜光 慶留間 智厚 沢田 拓士 江崎 孝行
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.1225-1227, 1992-12-15
被引用文献数
3

1990年11月に沖縄県で飼育されていたフランス鴨の1群200羽に元気食欲の廃絶, 起立不能, 下痢を主徴とする疾病が発生し50羽が死亡した. 死亡例の全臓器からPasteurella multocida subsp. multocidaが純粋に分離され, 芙膜抗原がCarterのA型, 菌体抗原がHeddlestonの3・4・12型, Namiokaの5 : A型と同定された. 病理学的検査では家禽コレラに特徴的な病変が認められた. 分離菌10^8個を90日齢ニワトリの静脈内に接種した結果21時間以内に全羽が死亡した. 以上の成績から, 本例はフランス鴨の家禽コレラの初発例と診断された.
著者
沢田 拓士 村松 昌武 瀬戸 健次
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.565-570, 1982-08-25

豚丹毒生菌ワクチンを皮下接種した豚29頭の感染防御能と血清の受身マウス感染防御能の関係を調べた. ワクチン接種前(18例), ワクチン接種後攻撃直前まで(115例)および攻撃後(38例)の血清, 合計171例についての受身マウス感染防御試験の結果, マウス生残率(SRM)と生菌発育凝集抗体価(GA価)の間には正の相関関係(P<0.01)が認められた. ワクチン接種後10あるいは15日目の血清のSRMとワクチン接種2, 3, 4力月後の強毒菌による攻撃に対する豚の感染防御能とには関連性が認められた. このことから, ワクチン接種後早期の豚血清のマウス感染防御能は接種豚の免疫の持続性を示唆すると思われた. ワクチン接種後1力月以内に攻撃された豚は, 攻撃前血清でのSRMが低いか, 多くは陰性であったにもかかわらず, 何ら接種部位における限局性皮膚反応(発疹)を示さなかった. 一方, ワクチン接種後3あるいは4力月目で攻撃された豚の多くは, 攻撃前血清でのSRMが陽性であったにもかかわらず, 種々の強さの発疹を呈した. これらの結果から, ワクチン接種豚血清のマウス感染防御能のみからその免疫状態を推測することは困難であると思われた.