著者
本田 由紀 濱中 義隆 中村 高康 小山 治 上西 充子 二宮 祐 香川 めい 小澤 昌之 堤 孝晃 河野 志穂 豊永 耕平 河原 秀行 西舘 洋介
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、人文社会科学系大学教育の分野別の職業的レリバンスを把握することを目的とし、①大学3年時点から卒業後2年目までのパネル調査、②25~34歳の社会人を対象とする質問紙調査、③大学生・卒業生・大学教員を対象とするインタビュー調査を実施した。その結果、主に以下の知見が得られた。(1)人文社会科学系の大学教育の内容・方法には分野別に違いが大きく、教育の双方向性・職業との関連性の双方について教育学・社会学は相対的に水準が高いが、経済学・法学等の社会科学は前者の、哲学・歴史学等の人文科学は後者の、それぞれ水準が相対的に低い。(2)大学教育の内容・方法は卒業後の職業スキルに影響を及ぼしている。
著者
河野 志穂
出版者
日本インターンシップ学会
雑誌
インターンシップ研究年報 (ISSN:18811663)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.9-15, 2011-12-25 (Released:2017-11-13)
参考文献数
8

本論文は、従来、職業意識の涵養や就業力の育成という観点から語られることが多かったインターンシップ経験に関し、大学ならではの知や認知面の能力・スキルの獲得にそれがいかなる効果を及ぼしているのかを明らかにしようとするものである。インターンシップ経験者・未経験者に、白身の能力・スキルの自己評価等をアンケート調査で尋ねた。分析の結果3点が明らかになった。(1)インターンシップ経験者はその経験を通じて対人スキルや自己管理能力の獲得に効果を感じており、因果関係を推論する力や文章読解・表現力といった認知能力、大学での専攻に関係した専門知識等の獲得にはあまり効果を感していない。(2)インターンシップ経験者と未経験者とでは、現在の能力・スキル等に対する自己評価は経験者の方が高く、特に「主体的に大学の学習に取り組もうとする」「遅刻をしない」「心や身体をコントロールする」「資格・検定をとろうとする意欲・努力」といった、個人に内在する意欲に近い項目で両者に有意な差がみられた。(3)インターンシップ経験者は、未経験者に比べ、大学の授業に対しその活用法を知りたいと望み、インターンシップが大学の専攻と関わりがあると認識しているにも関わらず、インターンシップが大学での学びに与えるフィードバックは少ないというジレンマがある。以上の知見をもとに、学生の意識や大学が提供するインターンシッププログラムのあり方が、インターンシップの効果の実感に影響を与えている可能性があるという示唆を導きだした。