著者
泉 桂子
出版者
一般財団法人 林業経済研究所
雑誌
林業経済 (ISSN:03888614)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.1-16, 2016 (Released:2016-11-07)
参考文献数
34
被引用文献数
2

山梨県内に位置する小菅村、丹波山村、道志村、早川町、西桂町を対象として1985年前後~2010年までの(1)高齢化、(2)町村財政、(3)女性就業率の推移を明らかにした。(2)には、小菅村、丹波山村固有の視点として、東京都水源林の事業費支出の推移と水道事業におけるその位置づけを含めた。まず第1に、高齢化について、対象町村は全国に比べ、高齢化のピークをいち早くくぐり抜けた高齢化先行地であること、第2に、西桂町を除く対象町村の財政は人口1万人未満の他町村に比べ人口1人あたり歳出総額が多く、同様に人口1人あたり町村税収入が少ないことが明らかになった。道志村、早川町、西桂町や近年の小菅村は人口1人あたり町村税収入を一定割合保っている。また、対象町村の女性就業率は全国平均、県平均に比べて、小菅村、道志村、西桂町で高く、上記3町村では第2次産業の女性就業者が減少した分、第3次産業の女性就業者が増加し、加えて道志村では第1次産業の女性就業者が一定数見られた。
著者
泉 桂子
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.20-28, 2010-11-01 (Released:2017-08-28)
参考文献数
50

1兆円超の累積債務を抱える全国の林業(造林)公社について,既往の研究文献により以下2点を明らかにした。第1に公社債務問題は研究史上,1980年から言及され,1985年には公社ビジネスモデルそのものの欠陥が指摘されたが,債務問題に対しては対処療法が示されたに過ぎなかった。1992年以降公社研究は下火となり,公社解散が現実となるが,解散によってその債務問題が解決したとはいえない。研究史上農林漁業金融公庫の貸し手責任が明言されたことは成果であった。第2に,設立当時,公社には1.拡大造林の推進,2.地域振興,3.森林所有と森林経営の分離,4.農林漁業金融公庫の資金活用の4つの役割が期待された。これらの役割は1970年代前半〜1990年半ばに終了した。役割の終了にもかかわらず債務問題を抱えなおも公社が存続し得たのは,公社形態を取ったことによる信用膨張,事業と経営の分離,無責任体制に一因がある。
著者
泉 桂子
出版者
東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林
雑誌
東京大学農学部演習林報告 (ISSN:03716007)
巻号頁・発行日
vol.103, pp.21-106, 2000

近年,森林の公益的機能に対する一般の関心が高まりつつある。特に森林の水源かん養機能は森林管理とも密接に関係している。筆者は既に東京都水源林及び横浜市道志水源かん養林を対象とした経営計画の変遷,東京都水源林の形成過程を明らかにしてきた。今回は,山梨県甲府市により水道水源かん養のために所有・管理されている甲府市水源林(昭和22(1947)年経営開始)を対象として取り上げた。水源林問題は河川をめぐる上下流の相互関係とも捉えられ,水源林経営問題の解明に当たってはこの上下流の関係成立過程が極めて重要な意味を持つ。そこで本研究では,甲府市水源林の経営前史における上下流の相互関係について明らかにすることを目的とした。分析に当たっては(1)上下流対立の発生と解消過程(2)森林の所有と利用の変遷(3)当時の森林経営計画の3点に着目した。
著者
泉 桂子
出版者
東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林
雑誌
東京大学農学部演習林報告 (ISSN:03716007)
巻号頁・発行日
vol.99, pp.133-184, 1998

近年,森林の公益的機能に対する一般の関心が高まりつつある中で,従来の木材生産中心の森林経営計画にかわって,森林の木材生産機能と公益的機能の両方に配慮した森林経営計画が求められている。このような多目的型の森林経営計画のあり方を展望する上で,90年余の経営蓄積を持ち,日本を代表する大都市水道局の所有・管理する森林である東京都水道水源林を対象として,研究を進めていく。筆者はこれまで,東京都水源林の経営計画の変遷について報告し,現在の経営計画は水源かん養機能高度発揮を目的とした水源林独自のものであることを明らかにした。しかし,水源林問題は河川をめぐる上下流の相互関係とも捉えられ,経営計画の変遷問題の解明にあたっても,この上下流の関係成立過程が極めて重要な意味を持つ。そこで,本研究では,水源林の経営前史における上下流の相互関係について明らかにすることを目的とした。