著者
細田 耕 浅田 稔
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究課題では,筋肉によって駆動される骨とそれを覆う柔らかい皮膚,そして皮膚に埋め込まれた多種の受容器を持つヒトの手に酷似した構造を持つバイオニックハンドを開発した.このハンドを使った実験によって,ハンドの優れたセンサ特性や柔軟性を利用した観測の安定性が示され,また人工筋によって実現されるやわらかい動作によって経験を通した適応的なマニピュレーションが学習できることが示された.
著者
細田 耕 浅田 稔 高橋 泰岳
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究では,多数の未分化なモダリティの受容器を持つロボット指を開発し,把持,操りなどの技能を発達的に獲得する方法を検証することである.得られた主な成果を以下に示す.1.多数の受容器をランダムに内蔵した柔らかい指の作成シリコンゴムの内部にひずみゲージとフッ化ポリビニリデンフィルムを検出素子としてランダムに埋め込んだ指先センサを構成した.この指先センサをロボットハンドに搭載し,ハンドシステムを構成した.2.試作したセンサの性能評価試作したセンサの性能を,さまざまな対象をこすった際の弁別能力によって評価した.その結果,押し付け,こすることにより数種類のテクスチャを弁別できることがわかった.3.視覚・すべり覚連合学習法の提案視覚によってすべりを観測する初期状態から,経験を通してすべりに関する情報を獲得するニューラルネットワークを構成し,視触覚統合によってロボットを動作させる学習則を提案した.この学習則を用いると,学習初期にはすべりを視覚で捉えているのに対し,学習が進むことによって,視覚・すべり覚による冗長かつ頑健な表現を獲得することができた.4.はめあい作業の学習実験対象物を持ち,クリアランスの少ない穴にはめ込むはめあい作業を対象として,学習初期には視覚に頼って作業を実現し,その作業を通してすべり感覚を学習,作業後半では,視覚を用いなくてもすべり感覚のみで作業の遂行確率を上げられることを実験的に示した.5.持ち上げ動作の学習実験持ち上げ動作を学習することによって提案するネットワークの有効性を検証した.その結果,視覚のみを用いるよりもすべり覚を組み合わせたほうが,すべりの発生を迅速に検出することができ,すべりを防ぐ動作をさせることができることを確認した.また,持ち上げる対象の質量を変化させた場合にも,すべり検出によって把持を継続できることができた.
著者
細田 耕 鈴木 昭二 浅田 稔
出版者
大阪大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1997

本研究では、視覚情報に基づいて生成される脚式移動ロボットの行動に基づく環境表現手法を提案し,実機によってそれを検証することを目的とする.具体的には視覚誘導により基本的な行動を生成する段階と,それを用いて環境表現を構築する段階に分かれる.使用する脚式移動ロボットに,まず「転ばない」,「脚が接地したまま揺れ動く」,「遊脚を利用して移動する」などの基本サーボ系を埋め込む.これを利用して,断続的に提示される視覚目標に対し,これに追従するよう行動し,この間に,環境中の適当な視覚情報を獲得,これとロボットの行動の相関をとることにより,環境表現を獲得する.さらにこの環境表現に基づき行動し,環境表現の更新及び修正を繰り返す.以下のような項目について,理論の整備,及び実験による検証を行った.(a)脚式ロボットにカメラを装着し,視覚・運動系を構築した.(b)環境に対する先験的な知識がない場合にも,「脚が接地したまま揺れ動く」ために,視覚目標に追従するための制御系と,脚間距離を保つための制御系を組み合わせたサーボ系を開発した.(c)ZMPを観測し,バランスを崩しそうになると,それを回復するための方策を検討し,遊脚を決定するアルゴリズムを開発した.(d)「遊脚を利用して移動する」ためのサーボ系を開発した.(e)以上の方法を実機を用いて,その有効性を検証した.
著者
西川 輝彦 港 隆史 荻野 正樹 浅田 稔
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集 2011 (ISSN:24243124)
巻号頁・発行日
pp._2P2-M02_1-_2P2-M02_4, 2011-05-26 (Released:2017-06-19)

This paper proposes a hierarchical model which is composed of a slow feature analysis (SFA) network to extract multi-modal representation of a humanoid robot. The experiment with humanoid robot shows that the network can integrate multi-modal information and detect semantic features by the extraction of the slowly varying features from the high-dimensional input sensory signal, and it shows that the multi-modal representation is useful as state representation for reinforcement learning compared with using state representation without the integration of the multi-modal information.
著者
横山 裕樹 浅田 稔
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.29, 2015

TD学習は価値関数の学習に広く用いられているが,状態空間が連続である場合や環境が非マルコフ的である場合における最適性について,多くの解析がなされていない.本研究では,木村ら(2000)の提案したactor-criticアルゴリズムをもとにして,criticの学習にTD誤差ではなく新たな基準を用いることで,より頑健性の高いアルゴリズムを提案する.また,その有用性について実験的,解析的に評価する.
著者
河野 圭祐 横山 裕樹 森 裕紀 浅田 稔
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.29, 2015

ある変数の影響を除いた上で2つの多変量間の関係を強さを求める手法として偏正準相関分析があり,グレンジャー因果などの因果指標の計算などに用いられている.しかし偏正準相関分析は複数の異なる関係をもったデータが混ざったデータに対しては適用することが出来ない.本研究では偏正準相関の混合モデルを仮定することで,この問題の解決を試みる.また人工データを用いた実験を行い既存手法に対する優位性を示す.
著者
石黒 浩 浅田 稔 板倉 昭二 細田 耕 宮下 敬宏 神田 嵩行 港 隆史 池田 徹志 MACDORMAN K.F.
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

知的な情報システムを実現する方法には2つあり,人間のように,比較的数の少ないセンサと;脳が行うような高度な情報処理機能を組み合わせる方法と,ロボットだけでなく環境もセンサでくまなく覆い,目的達成のために必要な情報をより直接的に得る方法である.本研究では後者のアプローチにおいて,知的な情報処理システムを実現する研究に取り組んだ.具体的には,本研究とは独立に開発してきた知覚情報基盤プロトタイプ(多数のセンサからなる次世代のコンピュータネットワーク)を発展させ,これまでに開発してきた人間との対話を目的としたロボットを組み合わせることで,人間の行動に応じて知的に振舞う知的情報処理システムを実現した.研究期間における研究は,(a)行動に関する知的情報処理,(b)ロボットの行動支援のためのセンサネットワーク,(c)環境一体型ロボットの知的情報処理の主な3項目からなる.行動に関する知的情報処理では,ロボットの歩行や腕の制御,皮膚感覚の学習等,ロボットの基本機能と,ロボットやアンドロイドの見かけの問題をはじめとする人と関わるロボットに関する研究に取り組んだ.センサネットワークに関する研究では,基礎アルゴリズムに加え,床センサやカメラネットワークの利用法を研究した.環境一体型ロボットに関する研究では,センサネットワークと連動して活動するロボットを実装すると共に,遠隔操作等,それに関わる機能について研究を行った.