著者
米田 英嗣 間野 陽子 板倉 昭二
出版者
JAPANESE PSYCHOLOGICAL REVIEW
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.39-50, 2019 (Released:2019-11-22)
参考文献数
85
被引用文献数
1

This paper reviews the role of empathy in autism spectrum disorders and psychopathy. Empathy can be subdivided into two categories: cognitive empathy (i.e., the ability to identify the emotions of others) and affective empathy (i.e., the ability to share or match the emotions of the self with those of others). Individuals with autism spectrum disorders lack cognitive empathy, whereas individuals with psychopathy lack emotional empathy. The similarity hypothesis states that people empathize with other people who are similar to themselves in personality and in conditions such as developmental disorders or typical development. The similarity hypothesis predicts that individuals with autism spectrum disorders would emotionally empathize with other people with autism spectrum disorders, and individuals with psychopathy would cognitively empathize with other people with psychopathy. Finally, we attempted to interpret autism spectrum disorders and psychopathy as resulting from the neurodiversity of empathy.
著者
板倉 昭二
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.262-266, 2006-07-01 (Released:2011-12-12)
参考文献数
14

他者の心的状態を見出したり推論したりすることをメンタライジングという. メンタライジングは, 人が円滑な社会的生活を営む上で重要な能力となる. メンタライジングの萌芽は, 乳児期初期の社会的知覚だと考えられる. すなわち, 人に対する志向性から始まり, 母子関係に代表される二項関係, さらに第三者もしくは対象物を含む三項関係の成立, そして他者の誤信念を理解する「心の理論」の成立へと続く. 本稿では, こうしたメンタライジングの発達を, 人に対する志向性, 人以外のエージェントに対する目標志向性の帰属や意図の理解, 誤信念の帰属について, われわれの実証的な研究を概略する.
著者
東山 薫 IMUTA Kana SLAUGHTER Virginia 北崎 充晃 板倉 昭二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.440, pp.103-107, 2015-01-30

心の理論研究は,誤信念課題の通過年齢におけるメタ分析が行われるほど膨大なデータが揃った。その結果,最もデータ数の多い欧米を基準とするとオーストラリアの子どもはそれより早く,日本の子どもは最も通過が遅れることが明らかになった。Naito & Koyama(2006)は,日本語は心的状態語を明確には表現しないために心の理論の発達が遅れると指摘したが,各文化内における検証はなされていても,文化間において共通の文脈下で検証している実証研究はない。子どもの心の理論の発達には母親の言語使用が密接に関わっていることから大人の言語使用についての文化差を見ることが重要だと考えられる。欧米よりも通過が早いオーストラリア,そして最も遅れる日本の文化差の原因を言語使用から検討する。
著者
石黒 浩 中村 泰 西尾 修一 宮下 敬宏 吉川 雄一郎 神田 崇行 板倉 昭二 平田 オリザ 開 一夫 石井 カルロス寿憲 小川 浩平
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

人と関わるロボットの自律動作と遠隔操作の機能を統合することで,人間やロボットが存在する社会的で現実的な場面において, 発話やジェスチャーなどの社会的振る舞いを行い, 社会に参加できるロボットシステムの実現を目指すとともに, 社会的な対話の認知心理学的な理解とモデリングに取り組んだ.今年度は, 以上の取り組みを開始したところであったが, 本提案をさらに発展させた, 人間に酷似したロボットであるアンドロイドの機構の改良や BMI の導入を含む基盤研究 S "人のような存在感を持つ半自律遠隔操作型アンドロイドの研究" が採択されたため,5月31日をもって,本研究課題を廃止し, 基盤研究 S の一部として研究を推進している.本研究課題実施時の具体的な研究内容としては, 1. 対人状況における注意制御機能と遠隔操作機能の統合の一部として, 学習アルゴリズムに基づくロボットの自律制御に関する研究, 及び, 2. 社会的状況における対話の認知科学的モデル化の研究の一部として, ロボット演劇中のロボットが人にアプローチするシーンの演出データからの社会的振る舞いの抽出に取り組んだ.現在, 基盤研究 S として, 物理的なインタラクションをも自然にするための電磁リニアアクチュエータを用いたアンドロイドの開発,複数人による雑談などの具体的な社会的状況における対話とそれに伴う行動の記録と分析に基づく対話モデルの構築や, 遠隔操作の記録を基にしたアンドロイドの自律化に取り組んでおり, 今後,行う予定のブレインマシンインターフェースによる遠隔制御の導入などとともに, 人との多様な相互作用を行うアンドロイドの開発, 社会的存在としての機能の実現, 現実社会におけるアンドロイドの社会参加の実現に取り組む.
著者
奥村 優子 鹿子木 康弘 竹内 祥惠 板倉 昭二
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.85, no.3, pp.248-256, 2014 (Released:2014-08-25)
参考文献数
40
被引用文献数
1 3

Recent research demonstrates that social preferences for native language speakers emerge early in development, indicating that infants prefer speakers from their own society. Dialect may also be a reliable cue to group membership because it provides information about an individual’s social and ethnic identity. We investigated whether infants showed social preferences toward native-dialect speakers over those with unfamiliar dialects. Infants at 9 and 12 months of age were shown videos in which two adults (a native-dialect speaker and an unfamiliar-dialect speaker) each spoke to and then offered an identical toy to the participating infants. Next, two real versions of the toys were presented to the infants in person. The 12-month-old infants preferentially reached for the toy offered by the native-dialect speaker. The 9-month-old infants also showed a preference for native-dialect speakers but this finding was not statistically significant. Our results suggest that dialects may be a reliable cue to group membership, and that infants’ orientation toward members of their native community may guide their social and cultural learning.
著者
田中 文英 小嶋 秀樹 板倉 昭二 開 一夫
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.455-462, 2010 (Released:2012-01-25)
参考文献数
32
被引用文献数
4 3

Robotics intersects with children in diverse ways; it opens new scientific research fields of understanding humans with collaborating with psychologies and other related fields. At the same time, it is expected to offer useful applications for early childhood education and therapy. But, it has to be recognized that the robotics technology could be a double-edged sword, meaning that it could be hazardous if we did not exploit it in appropriate ways. Robots are thought to have double character; sometimes they show human-like features but other times they just look like an object. We need to understand the character well and consider appropriate forms of application based on the character. In this paper, firstly we will review the past studies around robotics and children, and we will also discuss the potential risk of robotics for children. Then, we will propose some new ideas for the application of robotics for early childhood education and therapy, considering the double character of robots.
著者
板倉 昭二
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.215-216, 2016 (Released:2018-02-06)
参考文献数
1
被引用文献数
1
著者
古畑 尚樹 板倉 昭二
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.236-252, 2016 (Released:2018-02-06)
参考文献数
51

Collaboration, the behavior of cooperating with others to achieve common goals, is a recent major topic in developmental psychology. Previous studies have demonstrated that the ability to collaborate with others develops at approximately 1 to 3 years of age. However, the mechanisms by which collaborations are achieved in young children are not well understood. The present article reviews recent collaboration studies in young children and identifies the importance of action interaction, which provides a basis for collaboration with others, as part of the development of collaboration in young children. Moreover, the authors propose two empirical findings as future research directions: interpersonal synchrony or social contingency and first-person plural cognitive perspective on self-other interactions called “we-mode”. These findings will help to explain the developmental changes that lead to collaboration in young children.
著者
石黒 浩 開 一夫 板倉 昭二 西尾 修一 宮下 敬宏 神田 崇之 中西 英之 中村 泰 吉川 雄一郎 松本 吉央
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、 人間に酷似した遠隔操作型アンドロイドのシステムを開発し、実験室実験と実環境における実証実験により、その効果を確かめた。特に、遠隔操作する操作者と、 アンドロイドと関わる訪問者の双方がアンドロイドシステムに適応できることを、認知科学的・脳科学的に確かめた。また、得られた知見を基に、人と親和的に関わることができる遠隔操作型アンドロイドのミニマルデザインを考案し、その効果を確かめた。
著者
奥村 優子 池田 彩夏 小林 哲生 松田 昌史 板倉 昭二
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.201-211, 2016

<p>評判は,人間社会における利他行動の促進や社会秩序の維持に重要な役割を果たしている。評判を戦略的に獲得するために成人は"評判操作",つまり,他者に見られていることに敏感となり,他者の自分に対する印象や査定を操作する行動をとることが示されている。一方で,就学前の子どもにおいて,幼児が場面に応じてどのように評判操作をするのかは不明な点が多い。そこで本研究では,幼児の評判操作に関して2つの検証を行った。1点目は,5歳児が他者に観察されている場合に良い評判を得るように,また悪い評判を付与されないように評判操作をするかどうかであった。2点目は,5歳児が目のイラストのような他者を想起させる些細な刺激によって評判操作をするかどうかであった。研究1では,幼児が自分のシールを第三者に提供することで良い評判を得ようとするかを検討した結果,観察者,目の刺激,観察者なしの3条件で分配行動に有意な違いはみられなかった。研究2では,幼児が第三者のシールを取る行動を控えることにより悪い評判を持たれないようにするかを検討した結果,観察者条件では観察者なし条件に比べて奪取行動が減少した。一方,目の刺激条件と観察者なし条件とでは,行動に違いはみられなかった。これらの結果から,5歳児は悪い評判を持たれることに対して敏感であり,実在の他者から見られている際に戦略的に評判操作を行うことが示された。</p>
著者
板倉 昭二
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究課題では、乳幼児が、他者にも自分と同様に「心」があることを理解し、そうした他者の心の概念の発達過程を分析することを目的とした。そして、それに関連する複数の実験的分析をおこなった。以下、おもな成果を概略する。まず、1)ロボットを対象とした誤信念課題の実験から、幼児は、ヒトに対するのと同様にロボットにも誤信念を帰属させたが、「考える」といったような心的動詞は帰属させないことがわかった。そこに、ヒトとロボットに対する評価の違いが明確になった。2)「他者の心」を表象するためには、シンボルの二重表象性を理解する必要がある。そのことを検討するため、スケールモデル課題を用いて、2歳児と3歳児を対象に、その発達を調べた。その結果、シンボルの二重表象の理解は、2歳半から3歳にかけて劇的に発達することが明らかになった。3)テレビに映った映像と実際の映像はどのように関連づけられるのだろうか。ヒトと同じ霊長類のテナガザルを対象として、選択課題の手がかりを映像の中で呈示する条件と、実際に呈示する条件で正答率を調べたが、どちらの条件でも差は見られなかった。同様のことをヒト幼児で検討するため、データを収集している。4)乳児を対象として、コンピューター画面に呈示されるアニメーションオブジェクトに心的状態を帰属させるか否かの検討を通して、基礎的な「心」の想定条件を調べた。その結果、ある物体の行為を邪魔しているように見える物体よりも、その行為を達成するために援助しているように見える物体のほうを好んで見ることがわかった。
著者
板倉 昭二
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

経験は、知覚システムの発達に大きな影響を与える。発達初期には、知覚情報の弁別は、広くチューニングされているが、経験とともに選択的に狭小化されることがわかっている。これを知覚狭小化(perceptual narrowing)といい、初期知覚発達の重要な特徴である。この現象は、顔の知覚や言語の知覚の発達においてよく知られている。本研究課題では、1)このような知覚狭小化が領域に関わらず、共通なものであるか(領域一般性:domain general)、または、領域に固有なものであるか(領域固有:domain specific)を実験的に検証すること、また、2)知覚狭小化の可塑性を、幼児、児童、成人を対象に検討することを主要な目的とする。本年度は、これまで取りためていた、乳児における知覚狭小化のデータを再分析し、まとめた。異なる領域における狭小化が、相互に関係するのか否かを、被験者間デザイン(N=72)を用いて、自人種の顔と他人種の顔の弁別、および、母語と非母語の弁別が可能かどうかを調べた。対象となったのは、3カ月児、6カ月児、9ヵ月児、そして12カ月児であったその結果、3カ月児は、自人種顔と他人種顔の弁別および母語と非母語の弁別ができたが、6,9,12カ月児ではその限りではなかった。2つの領域の関係は、12カ月齢までに変化するらしいことが示された。分析は、弁別スコアと2つの変数(顔と言語)の相関を再分析したもにおである。本結果をまとめ、国際学術誌のJournal of Experimental Child Psychologyの投稿し、近々に採択されると思われる。また、乳児、成人、サルのフィールドワーカーを対象として、チアック狭小化の観点から、サルの顔認知テストを開始した。
著者
東山薫 IMUTA Kana# SLAUGHTER Virginia# 北崎充晃# 板倉昭二#
出版者
日本教育心理学会
雑誌
日本教育心理学会第58回総会
巻号頁・発行日
2016-09-22

問 題 心の理論(theory of mind)は,幼児を対象に主に誤信念課題を用いてその通過年齢について議論されてきた。そのデータが蓄積され,誤信念課題の成績に関するメタ分析が行われた。最もデータ数の多い欧米を基準とすると韓国の子どもは同じくらいの年齢で通過し,オーストラリアやカナダの子どもはそれより早く,日本やオーストリアの子どもは最も通過が遅れることが指摘された(Wellman, Cross,& Watson, 2001)。この通過年齢における文化差については,“個人主義vs.集団主義”理論がよく引用される(Markus & Kitayama, 1991)。西洋は個人主義であるため,誤信念課題のように自分と他者の視点を切り離した課題に関して,集団主義である東洋の子どもと比べて早いうちから通過できるというのである。しかし,同じ集団主義である韓国の子どもは西洋の子どもと同じくらい年齢で誤信念課題を通過できると報告されているため,個人主義vs.集団主義理論では説明がつかないと考えられる。そして,これまで個人主義vs.集団主義の観点から心の理論の文化差を検討した実証研究はない。文化とは“ヒトの生活を媒介する人工物の集合で,多くは世代を超えて共有されるもの”(波多野・高橋, 2003)とあるように,子どもの心の理論の文化差を論じる際に大人の文化差を考えることが重要である。そこで本研究では,西洋の子どもよりも早く誤信念課題を通過できるオーストラリアと西洋よりもかなり通過が遅れる日本の大学生における個人主義もしくは集団主義の程度と心の理論の成績との関連を見ることで文化差を説明できるか否かを明らかにすることを目的とする。方 法1.調査対象者:日本人大学生334名とオーストラリア人大学生131名を対象とした。2.調査内容:(1)7種からなる心の理論課題(東山,2011; Wellman & Liu, 2004))を実施した。すなわち,①自分と他者の異なる欲求の理解,②自分と他者の異なる信念の理解,③自分と他者の異なる知識の理解,④予期せぬ中身課題タイプの誤信念の理解,⑤位置移動課題タイプの誤信念の理解,⑥自分と他者の異なる信念と感情の理解,⑦他者の隠された感情の理解に関する課題である。日本の大学生には質問紙もしくはwebで回答できる形式を用い,オーストラリアでは質問紙で回答を求めた。ターゲット質問は他者の隠された感情の理解課題で2問,他の6課題は1問ずつ計8問であるため合計点8点満点となった。また,記憶質問も含めると合計14点満点となった。(2)相互独立・相互協調的自己観尺度(木内,1995)を用いて個人主義が集団主義かの得点を算出した。この尺度は16問からなり,得点が高いほど集団主義の傾向が強く,64点満点であった。結 果1.心の理論課題得点 8点満点での日本人の平均は7.60点(レンジ4-8,SD=.73)でオーストラリア人は7.76点(レンジ6-8,SD=.50)であった。14点満点での日本人の平均は12.91点(レンジ8-14,SD=.99)でオーストラリア人は13.02点(レンジ10-14,SD=.75)であった。8点満点においてのみ,日本人よりもオーストラリア人の方が得点が有意に高かった(t(463)=2.23, p<.05)。2.個人主義vs.集団主義得点 日本人の平均は44.34点(レンジ16-64,SD=7.78)でオーストラリア人は33.63点(レンジ21-55,SD=6.84)であった。オーストラリア人よりも日本人の方が集団主義傾向が強かった(t(463)=9.89, p<.001)。3.心の理論課題と集団主義との関連 日本人における8点満点の心の理論課題と集団主義得点の相関は認められず(r=.08, n.s.),14点満点の心の理論課題と集団主義得点には有意な正の相関が認められた(r=.14, p<.05.)。オーストラリア人においては8点満点,および14点満点のいずれの心の理論課題とも集団主義得点と有意な相関は認められなかった(それぞれr=.01, n.s.; r=-.01, n.s)。考 察 オーストラリアと日本では確かに日本の方が集団主義傾向が強かったが,心の理論の文化差を“個人主義vs.集団主義”でを説明することはできなかった。今後は,同じ集団主義である韓国でも同様の検討をする必要があるだろう。謝辞:本研究は,科研費若手研究(B)15K21577の助成を受けて行っている。また,オーストラリアのデータはクイーンズランド大学のスローター先生に協力を得て収集してもらった。
著者
池田 彩夏 小林 哲生 板倉 昭二
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.8-21, 2016-03-01 (Released:2016-09-01)
参考文献数
41

In the field of language development, one interesting issue is how Japanese-speaking children acquire the case markers that play a role in understanding a sentence’s struc-ture, because previous studies reported that caregivers often omit them when talking to their children (e.g., Rispoli, 1991). Although grasping the characteristics of parental input on case markers is crucial for understanding a child’s acquisition process of them,the studies so far have shown insufficient data to clarify the qualitative and develop-mental characteristics of case marker inputs because of small sample size or a limited target age. This study used a larger sample of mothers (N=52) with children who ranged from 1 to 3 to measure their tendency to talk to their children using a struc-tured production-elicited task. Our results revealed that Japanese-speaking mothers tended to omit case markers more frequently when speaking to children than to adults. The omission rate also differed depending on the child’s age, the type of case mark-ers, verb transitivity, and maternal views about speech to children. Additionally, the mothers tended to omit arguments more frequently when speaking to children, sug-gesting that Japanese-speaking children have fewer opportunities for listening to case markers because of sentence simplification. These findings have important implications for investigating the relationship between parental language input and child language development.
著者
池田 彩夏 小林 哲生 板倉 昭二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.412, pp.89-94, 2013-01-17

オノマトペとは、音、動き、質感など様々な感覚表現を表す言葉であるが、その一部に複数の感覚に由来するものが存在する。例えば、「ざらざら」は視覚と触覚の両方のイメージを喚起するが、このことを幼児も大人と同じように理解できるかはよくわかっていない。本研究では、視触覚表現を表すオノマトペを対象に、日本人4歳児がオノマトペの示す視覚表現及び触覚表現をどの程度理解しているかをクロスモーダルマッチング法を用いて検討した。その結果、4歳児はオノマトペと視覚及び触覚のマッチング課題に成功し、両課題に正答する幼児も多かった。また課題成績は対象年齢内でも月齢とともに上昇し、その個人差は幼児の語彙力や母親の言語入力との関連を示した。これらの結果から、4歳児はオノマトペの示す視触覚表現とそのクロスモーダルな表現をすでに理解しているが、この時期にそれらの理解をより精緻なものに向上させていることが示唆された。
著者
板倉昭二編著
出版者
ミネルヴァ書房
巻号頁・発行日
2014