著者
加藤 友香 浅野 和之 並木 誠 久楽 賢治 佐々木 由枝 手島 健次 枝村 一弥 田中 茂男
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.54-57, 2005-01-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
9

特発性乳糜胸と診断された猫に対し, 高用量ルチン療法 (500mg, 1日3回, 経口投与) による治療を行った. 治療開始後, 胸水量は徐々に減少した. さらに29日後にルチンの1日投与量を1, 500mgから2,000mgに増量したところ, 治療開始後150日目には胸水貯留がほとんど認められなくなり, 最終的に治療開始後450日目にルチン投与を中止することができた. 現在, 治療開始後約2年を経過したが, 胸水の貯留や臨床症状は認められていない. 以上の結果から, 猫の特発性乳糜胸に対して高用量ルチン療法が右効である可能性が示唆された.
著者
村上 昭弘 浅野 和之
出版者
日本獣医がん学会
雑誌
日本獣医がん学会雑誌 (ISSN:18843344)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.13-18, 2017-10-31 (Released:2017-11-15)
参考文献数
14

A 10-year-old castrated Miniature Dachshund with hypercalcemia showed normal serum levels of parathyroid hormone (PTH-intact) and parathyroid hormone-related protein (PTHrP). Computed tomography revealed no mass formations in the cervical area. However, serum concentration of 1α,25-dihydroxyvitamin D (1,25(OH)2D) was increased and a small nodule in the right thyroid gland was detected by using ultrasound. Therefore, the right total thyroidectomy was carried out. The resected mass was histopathologically diagnosed as a parathyroid adenoma. The patient showed no complications and clinical signs after surgery, and the serum calcium level decreased to the normal range. This case report suggests that the measurement of serum 1,25(OH)2D can be useful for finding out canine parathyroid adenoma patients with hypercalcemia, even when their serum PTH-intact and PTHrP levels are within the normal range.
著者
堀切園 裕 石垣 久美子 西村 麻紀 飯塚 恵悟 南雲 隆弘 関 真美子 枝村 一弥 賀川 由美子 浅野 和之
出版者
一般社団法人 日本獣医麻酔外科学会
雑誌
日本獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:21896623)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3+4, pp.20-25, 2018 (Released:2019-06-27)
参考文献数
20

前胸部腫瘤を主訴に、12歳齢、去勢雄のチワワが来院した。初診時に患者は無症状であったが、約5ヶ月間で腫瘤が増大するとともに発咳を呈するようになった。第184病日に胸骨正中切開による前胸部腫瘤摘出術を実施した。腫瘤は前大静脈や気管を圧迫し、周囲組織と癒着していた。摘出した腫瘤の内部は広範囲で壊死が起こっていた。病理組織学的診断は甲状舌管遺残腺腫であり、腫瘤摘出後に患者の臨床症状は改善し、良好な経過が得られた。本疾患は犬の前縦隔腫瘍の鑑別診断として考慮する必要があると考えられた。
著者
関 瀬利 関 真美子 萩原 聡子 八重樫 昌也 手島 健次 浅野 和之 山谷 吉樹
出版者
一般社団法人 日本獣医麻酔外科学会
雑誌
日本獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:21896623)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.1-5, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
14
被引用文献数
1

頸部のオンコサイトーマと診断された10歳齢の避妊雌のスピッツが腫瘤再発の精査のために紹介来院した。胸部X線検査で肺水腫が確認され、症例はその検査時に重度の呼吸困難を呈し始めた。挿管し、陽圧換気と呼気終末陽圧を実施したところ、第2病日後に肺野の浸潤陰影が消失した。頸部腫瘤に関連した陰圧性肺水腫が示唆され、切除不可能な腫瘤によって生じた上部気道狭窄を緩和するために永久気管開口術が実施された。犬は第13病日に退院し、術後312日まで生存した。
著者
原田 佳代子 上地 正実 千葉 菜穂 海老澤 崇史 阪本 裕美 浅野 和之 水越 崇博 福井 亨
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.390-394, 2008-05-20
参考文献数
16

キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、去勢雄、7歳齢が運動不耐性、発咳、呼吸困難を主訴に紹介来院した。グレード5/6の心雑音が左側心尖の領域で聴取された。胸部X線検査では、心陰影は著しく拡大し、肺水腫が認められた。心臓超音波検査では著しい僧帽弁逆流と拡張した左心房が観察された(LA/Ao:3.5)。これらの所見から、腱索断裂による重篤な僧帽弁閉鎖不全症と診断した。僧帽弁閉鎖不全は、人工心肺を使用して僧帽弁形成術によって整復された。手術2カ月後では、症例は臨床的に健康であり、心臓超音波検査で僧帽弁逆流が顕著に減少していることを認めた。この症例から、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルの僧帽弁閉鎖不全が僧帽弁形成術によって修正できることが示唆された。